H25 事例Ⅱ/中小企業診断士2次 過去問

H25 事例Ⅱ 水産練物の製造小売業

第1問(20点)
副社長着任以前のB社は売上の拡大は見込めないまでも、小規模企業でありながら存続することができた。その理由を80字以内で述べよ。

出題の趣旨
副社長着任以前のB社が、小規模企業でありながら継続的な顧客の維持に成功してきた複数の要因を整理・分析する能力を問う問題である


解答
理由は、主力のさつまあげの食感が他社にはなく、顧客から高い評価を受けてきた為。「代々の味を守る」方針で生産設備導入時にも味わいを変えず、顧客離れが発生しなかった。


第2問(20点)
B社のさつまあげの新商品開発において農商工の連携が実現した要因のひとつに、副社長が農家に対して地域ブランドの確立につながるようにパッケージ・デザインの工夫を提案したことがある。

地域ブランドの価値を高め、かつ原材料の農産物の質の高さを訴求するためにはパッケージをどのように工夫すべきか。80字以内で述べよ。ただし、パッケージは筒状のビニール素材で、小判型のさつまあげを12枚程度重ねて包装するものである。形状を変更することはできないが、ビニール素材表面のデザインは柔軟に変更ができる。また、シールの貼り付けも容易である。


出題の趣旨
B社新商品のパッケージとシールを有効に活用し、X 市の地域ブランド価値の向上および原材料農産物の高品質訴求を実現するための助言能力を問う問題である。


解答
パッケージ表面を地元で採れた季節の旬な野菜写真を掲載し、その野菜の生産者の顔写真シールを貼って、顧客に明確なイメージを与え、地域ブランド価値と品質を訴求する。


ポイント
設問文に「ただし」や「また」と補足的に書かれています。
これを使って解答を書いてくださいという岩崎邦彦さん(問題を作っている方)のメッセージですね。

・パッケージを定期的に変更する
・シールを活用する
・農家の顔写真・写真

第3問(30点)
次の表は、取引先に対してYスーパーが無償公開したPOSデータを集計したものである。・・・(中略)・・・。このデータを踏まえて、以下の設問に答えよ。(表略。)


(設問1)かまぼこに関するイベント開催およびPOP掲出が当年8月のB社販売実績に与えた影響は、どのように評価することができるか。かまぼこカテゴリーの競争構造の変化を踏まえつつ、根拠となる数値を用いて100字以内で述べよ。


出題の趣旨
Y スーパーのPOSデータを分析し、これらの数値に基づきB社から見たブランドレベルのイベント・POP効果を評価する能力を問う問題である。


解答
かまぼこ全体の売上が11.8%増加している中で、B社のシェアは21%から26%に増加、競合のZ社は56%から51%に減少、PBは23%で横ばいである為、Z社からシェアを奪う事ができてB社にとって効果があったと言える。


ポイント
・競争構造の変化⇒シェアの変化を書く
・設問「評価できるか」なので、「効果があった」等で締める

(設問2)Yスーパーの水産練物担当バイヤーの立場から見たとき、かまぼこに関するイベント開催およびPOP掲出が当年8月の販売実績に与えた影響は、どのように評価することができるか。根拠となる数値を用いて100字以内で述べよ。

出題の趣旨
Y スーパーのPOSデータを分析し、これらの数値に基づきYスーパーから見た部門・カテゴリーレベルのイベント・POP効果を評価する能力を問う問題である。


解答
Yスーパー全体の売上高がほぼ横ばいであるにも関わらず、水産練物全体では7%増収。更にかまぼこカテゴリーは11.8%増加したため、他の売り場の減収を補い店舗全体の売上維持・客単価上昇に寄与した。


ポイント
・店長視点⇒スーパー全体の売上が横ばい⇒あまり評価できない
・水産練物担当バイヤー⇒水産練物全体+かまぼこの売上UP⇒評価できる

スーパーの責任:客を増やす
各部門の責任:客単価を増やす(インストアプロモーション)
売上=客数×単価(品数×平均単価)

第4問(30点)
(設問1)B社が計画する水産練物のインターネット販売が開始された場合、B社の売上に占める店頭販売の比率が減り、FAX、インターネットによる通信販売の比率が増えると想定される。その際の利益確保上の注意点を100字以内で述べよ。


出題の趣旨
通信販売の比率拡大に伴う収益構造変化に関する注意点を整理し、マーケティングにおける対策を助言する能力を問う問題である。


解答
注意点は、①発送業務が増える為、人件費や発送費、発注データ管理等のコストを抑える事、②遠方などの新規顧客開拓や、既存顧客に定期購入を促し、購入頻度向上させるなど新たな需要和開拓して売上を拡大させる事。


ポイント
利益=売上-コスト
・コスト面は発送業務にかかるコストの抑制
・売上は新規顧客の獲得(商圏の拡大)+既存顧客の購入頻度向上

(設問2)副社長はX市地域以外の消費者をターゲットに、オフラインでの施策により、B社のインターネット販売(オンライン)の売上拡大を目指している。そのためにはどのようなコミュニケーション戦略あるいはセールス・プロモーション戦略が有効と思われるか。助言内容を80字以内で述べよ。


出題の趣旨
オフラインの施策を活用し、B社販売サイトへの誘導を実現するための助言能力を問う問題である。


解答
観光客に対して、X市と連携して地域の旬な野菜を使用したさつまあげの手作り体験イベントなどを開催し、感動を共有して口コミを誘発させる。そして検索へ誘導する。

ポイント
・対象:観光客
・イベント開催→感動を共有→口コミを誘発→検索誘導



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