帝都コトガミ浪漫譚 勤労乙女と押しかけ従者 レビューをお届けします

帝都コトガミ浪漫譚 勤労乙女と押しかけ従者
ことのは文庫 2020年3月24日 発売予定
道草家守

NetGalley様より発売前の作品を頂き、読了いたしました。

内容紹介には、

本には神様が宿っている。
想いを紐解くレトロモダン・ファンタジー!

と書かれていました。

舞台は日本と近しいイメージではないかと思われる「大倭帝国(だいやまとていこく)」の帝都。澁谷、親宿、丸之内、氷比谷等、聞いたことのある、でもちょっと異なる感じが当てられていることからも、日本の東京をイメージした舞台であることは間違いないでしょう。
おそらく、食べ物や街の感じから、大正時代を元に作られていると思われますので、レトロモダン・ファンタジーという言葉は、なるほどしっくりくるな、という印象です。

主人公は「御作朱莉」という女性。苗字は「みつくり」とルビがふられていましたが名前にはふられていないので、私は作中「あかり」と読んでいました。物語の最後のほうでアカリで正解だったのがわかるまで、なんて読むのかなぁって気になったな。
もう一人が、朱莉につきまとう言神である「夜行智人」。うーん、これも読み方がわからないなぁ。。私は「やこう ともひと」って呼んでました。合ってるのかどうか、これはわからなかったです。
朱莉は天涯孤独という設定で、物語が始まって早々にある事件がきっかけで住んでいる場所を失い、自分の意志よりも「とりあえず生活をするため」にその事件に巻き込まれていきます。
事件の中心は、帝都を騒がす「神魔」という存在。人外にして、人では対応できないモノ。
そんな存在に対抗するべく生まれたのが、神魔を書物に綴り封印する「言語り」を行い、言葉で語ることによって使役する活動弁士という職業。

上記に書いたのは読み始めてから10ページくらいなのですが、その設定に引き込まれていきます。
読み進めていくと、朱莉は「物語」というものが嫌いであるとか、智人は言語りという定義から外れたような存在であるとか、少しづつ謎というか伏線が出てきながらストーリーは進んでいくのですが、その伏線の回収がきれいに落とされていくので、読んでいてストレスがないのはいいなぁと感じました。
あまり伏線を張り巡らせすぎると、伏線のせいで何を書いているのかわからなくなってしまうことがあったりするのですが、この作品はちょこちょこヒントというか、伏線にかかわることをさりげなくかいてくれていたりするので、楽しんで読めましたね。

朱莉の生活が書かれたパートも好きですね。何気ない、毎日の生活ですが、そこに人外の存在である神魔がいることで、ある意味刺激的な、それでいてほっこりするような会話だったり食事だったり。
この作品は、神魔と言神の戦いが大きな主軸として書かれていると思いますが、その対比としてのこのような生活感が漂うシーンというのは、ストーリーに深みをもたらしてくれると感じます。
やっぱりバトルシーンっていうのはドキドキするし、ワクワクもするんだけど、それがずっと続くようじゃ飽きちゃうもんね。締めるところは締める。メリハリがあるのは好きですね。

まだ発売前の作品ですので、どこまで書いていいのかわかりませんが、あまり内容に触れるのはやめておきます。本当はもっと書きたいキャラクターであったり、設定であったり、色々あるんですけど、それは実際に読んでもらったほうが楽しめますからね。

あ、でも1個だけ。これだけは書かせて。
とは言っても、読んでない人には何のことやらって感じでしょうけど。

「箕島勘助の言語りは予想できたし、大好きなシーンです!かっこいい!」

サポートを頂けるような記事ではありませんが、もし、仮に、頂けるのであれば、新しい本を購入し、全力で感想文を書くので、よろしければ…