城主と蜘蛛娘の戦国ダンジョン 1 レビューをお届けします

城主と蜘蛛娘の戦国ダンジョン 1
講談社 2020年3月7日 発売予定
朽木外記

NetGalley様よりゲラを頂き、読了いたしました。
内容紹介には、

自立型根拠地設営精霊は、相棒の絡新婦とともに敵の大攻勢が迫るこの辺境の地を守ることができるのか!?

と書かれていました。

読書という行為は、昔から好きでした。お気に入りの作家が見つかると集中して作品を読み漁り、眠れぬ夜を過ごしたものです。
もちろん、有名な作家さんばかりでなく、デビューしたて、あるいは陽の目を浴び始めた作家さんを見つけることも楽しみであり、デビュー作で惜しげもなく才能を披露してくれる作家さんは憧れだったりしました。
今でも変わっておりません。
そこでこの作者、この作品です。これはいいですよ!
最後まで読ませていただきましたが、最初に受けた感想は「自分と同じ世代で、RPGもしくはタワーディフェンス」が好きな方は、絶対にはまる!でした。(ちなみにこれを書いている時点で40半ばな年齢です。。。)
出てくるキャラクターはRPGでおなじみのゴブリンやらヴァンパイアやらゴーレムやら。自身の片腕となる存在はアラクネ(絡新婦)。いやー好きな人はたまらないでしょう。
そして、主人公といえば「自立型根拠地設営精霊、識別番号丙三〇五六号」なる量産型中規模拠点精霊とのこと。これって、簡単に言えば、モンスター配備機能付き全自動ダンジョン作成機械、ですよね?ファンタジーかと思えば、モンスターと類似する存在が跋扈するSF的な話なのかな?
てな感じでストーリーは進んでいきます。
ざっくり書くと、丙三〇五六号が自我を覚醒すると同時に告げられた「地下防御陣を構築し、敵軍を可能な限り阻止せよ」という命令に従い、ほぼ0に近い状態から、少しづつ陣容を整え、来るべき時に備える、という感じですか。うん、いいぞ。無機質な機械が時間を経て成長していきそうな気配を感じます。

もちろん、何後もなく淡々と進んでいくわけがなく、様々な困難が降ってきます。
このあたりがこの作品の素晴らしいところで、コミカルなのです。置かれた状況やアクシデント等を考えれば笑っていられるような状況ではないんですが、この作者様は細かいところに遊び心をぶちこんできます。
ストーリーを破綻させずに、キャラクター達にコミカルな立ち回りを演じさせ、シリアスな展開に戻す。この間は癖になりますし、難しく考えずに楽しんでほしいという作者様の気持ちなのかな、と感じました。

シリアスとコミカルを組み合わせて到達するラストは、この作品自体が発売前のゲラであることを考えれば、未完なのかあえてこのような終わり方をしたのかわかりません。あえてこのようなラストを用意したのであれば、どのような意図があったのでしょうか。
あまりにも唐突な終わり方であったため、もしかしたら製品版にはこの続きがあるのかもしれません。また、この終わり方が作者の意図した終わり方なのかもしれません。
あと数日で書籍が店頭に並びますので、このラストシーンの解答を探すために、読んでみようと思います。

あ、そうそう。この作品で一番好きなシーンは、召喚されたスライムがダンジョンの掃除に使われていたところ。某掃除ロボットの代わりにスライムが動いて掃除をしているシーンを想像して、ほっこりしました。

サポートを頂けるような記事ではありませんが、もし、仮に、頂けるのであれば、新しい本を購入し、全力で感想文を書くので、よろしければ…