法華験記について 序
法華経という名前で有名な「妙法蓮華経」にまつわる霊験記、「大日本国法華経験記」(法華験記 ほっけげんぎ)という書物があります。
以前からこの本について読みたいと思い、自分で読みながらみなさまにもこの法華験記の事を紹介したく、個人的な解釈のもと順番に投稿をしていきます。私は漢文の専門家ではありませんので誤訳、誤解釈があるかもしれません。法華験記の世界を一緒に楽しむのが目的ですので、その点は何卒お手柔らかにお願いします。
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序
法華経というお経は、お釈迦様がはるか昔に悟りを開かれてから、目に見えなくてもずっと私たちのすぐ傍におられる仏さまであることを説いたお経で、誰もみんなが悟りを開くことが出来ることを証明したお経です。
法華経は世の中のあらゆるお経の総まとめとして、そして地獄から仏様のお浄土まで全ての世界に通じています。その徳は飛びぬけて素晴らしく、その功徳の量は計り知れず深海の奥深くまでその恵みが潤っています。
だからこそ、1600年も昔に中国におられた鳩摩羅什(くまらじゅう)さんは元々インド語だったお経を中国語に訳して、訳されたお経は海を渡って遥か日本まで届き聖徳太子さまが詳しく解説されてに全国に広く知られました。そしてこの法華経を写経すること、覚えたりお唱えすることによる不思議な力(御利益)は有名になりすぐに多くの人に伝わりました。
大昔、中国の唐におられた義寂さんという人が法華経にまつわる不思議なお話をまとめて世間に流布されました。思い返すと、日本にはそのような本がありませんので、今法華経が盛んに広がっている中、法華経の霊験やご利益について沢山耳にします。
歴史書などを紐解けばそのような不思議なお話が載っていますが煩わしくて難しく、不思議な話は人々の記憶にあっても本として存在していません。雪山童子は諸行無常の偈文を岩に残したように、また、昔の高僧が竹の皮に教えを記したように、今こうして残しておけばきっと後世の人に役に立つと思います。
ですので、私の近く遠くから、お坊さん、在家の方、高貴・貧相な方問わず聞いたこと、見たことを集めてここにまとめます。全部で三巻になりました。立派なお坊様の為にまとめたのではなく、出来の悪い自分の為にまとめました。長久(1044年あたり)の秋に記します。
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