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(ミニ)真空管ギターアンプを作ってみた

ギター弾きであれば、定番のFender、ヘビメタやハードロックで使われるMarshall、ブリティッシュ・ロックで定番のVOXその他、真空管アンプの、特にオールド・アンプあの独特のきらびやかでウォームな音は、一度ならず憧れたことがあるはずです。

私自身もKUSTOM Tube-12Aというプリアンプだけ真空管のハイブリッドギターアンプを持っていますが、普段はRoland micro cubeとFender Mustang mini、さらにMacBook付属の音楽制作ソフトGarageBandの、いかにもFeoder Twin RevebやMarchall JCMを模したようなソフトウェアのモデリングアンプを使い、オールドの真空管アンプの気分だけは日々味わっています。

ところが、数ヶ月前に何冊も本を出しているような経験豊富な方が管理人をする、真空管アンプ自作研究会をFB上に見つけて、日々大先輩方の取組みを横目で見ていたら自分も猛烈に作りたくなってきました。

エレキギターはアンプやエフェクターなど電子機器が必須であるため、電子機器好きが多く、さらに電子工作好きも多いとは認識していましたが、こんなにディープで活発な世界があるとは感動しました。果ては真空管の産地にもこだわり、精緻に作り上げる様は驚くやら感動するやら。

昔の古いFenderの真空管アンプなど、世界中のマニアが書き起こした回路図がネットにいくらでも転がって公開されており、確かに作ろうと思えば自作は出来ます。真空管とかトランスとか、大容量コンデンサとか、部品を揃えるには、アキバの専門店に行かないとならないのですが。

アキバで定番のキットを買う

真空管アンプを自作する上で大変なのは、真空管などの部品を集めること、そして頑丈な作りの金属製シャーシに部品を取り付ける穴を開けることだと思います。

穴を開ける電動ドリル、穴を広げるリーマー等を持っている必要があります。後者はありますが、前者は手回しドリルしかなく、あの金属ボディにいくつも穴を開けるのは電動ドリルを買わないと無理そうです。

いずれにせよ、何かヒントになるものもあるかもしれない、と週末にアキバに行き、ラジオデパートや有名な部品ショップを回り、最後に真空管自作派の聖地(?)ゼネラルトランスさんに行ってみました。

すると、雑誌やネットで見たことのある同社のギターアンプ製作キット・GA-01Rのデモ機が店頭に置いてありました。

雑誌やネットで記事を見てはいましたが、正直、上述のKUSTOM Tube-12Aのプリアンプにも使われているAX12Aという小さな真空管1つで、これじゃ大した音は出せないだろうと、あまり気にしていませんでした。

店の奥には激安エレキギターの銘機・Legendの黒いストラトキャスターもあり、「デモ演奏どうぞ」とあったので試奏してみました。このアンプキットにはスピーカーはなく、本体後部の端子から、VOXか何かのミニアンプのスピーカーユニットにつながれていました。

とりあえずモノは試し、と弾いてみたら、これが安物の中華ストラトキャスターとプリアンプ用の小さな真空管12AX7一発でここまで出来るのかと感動するほど、無茶苦茶気持ちのいいクランチ具合と痺れるような甘い音色。

普通のアンプみたいに歪み具合(GAIN)と音量(VOLUME)に分けられておらず、コントロールはVOLUMEとTONEだけ。それでも、VOLUMEを上げると、音量だけでなく気持ちよくクランチし始めて、小さくても真空管アンプの音。

このサウンドに一発でやられました。

また売値20,000円→今だけ16,800円のキャッチにも負け、持参した現金をほぼ全額投じ、他の買い物は諦めて即座にゲットしました。

お店のかなり高齢のアキバの歴史のような店主に「これ、ください」と頼むと、後ろの棚からあまり大きくない箱を出してきました。特に飾りもない、小さめの段ボール箱です。

部品点数は少ないが

日曜の夕方から作り始めました。

箱を開けると、電子部品のビニール袋、真空管回路の命である大きなトランスと小さなトランス、そして小箱に入ったAX12真空管。

加工済みの金属ケースが付いているのは、ビギナーにとっては有り難いことです。おそらく、電子回路を作る前に、ケース加工で挫折してしまったかと思います。

通常の電子工作キットのようなプリント基板はなく、ラグ板という、電子工作用の、絶縁体の細長い強化樹脂板の両脇に、部品を取り付けるポイントになる端子が並んだ部品をベースに、回路を組み立てていきます。

ビギナーでもできるように、回路図だけでなく、以下の実体配線図が付けられており、これと同じようにハンダ付けしていくことになります。

とはいえ、実際に適度な長さに電子工作用のケーブルをカットし、被覆を剥き、中の銅線をきちんと接触するよう、慎重にハンダで付けて、となかなかキツい作業です。最近、老眼も始まっていて、手元がぼやけるのも辛く、悲しいところです。

配線図と実体配線図を作業机の前に貼り、さんざん見比べながら、夕飯を挟んで4時間くらいでようやく組み上がりました。そして、まず電源をつながないで、実体配線図と見比べながら各部の配線を入念にチェック、いくつかイモ半田を直しました。

ようやく電源につなぎ、真空管の脇の端子のところを、テスターで電圧を測りました。1次増幅の後ろで274V出ています。

触れれば死ぬこともある高圧で、さすがに緊張の汗が出ました。何か配線ミスとかあると、部品が壊れるくらいならともかく、我が身まで壊れる危険があるため、ここのチェックは何度も慎重に行いました。

とりあえず電圧や接続にミスがないことを何度か確認して、ようやく完成です。

アンプの後ろの端子にワニ口クリップのケーブルの片方をつなぎ、もう片方を手持ちの小さいスピーカーにつなぎました。シールドでギターをつなげて鳴らすと、なかなか良い音が出ました。ただ、ジーというノイズが残っています。金属ケースに触れるとノイズが減るので、アースの取り方や配線等に、改善の余地がありそうです。

ちなみに真空管アンプクラブの先輩方に以下の写真を見せたら、線のまとめ方が汚い、ラグ板の位置が悪い、パーツ類はもっとトランスから離せ、アースの取り方に注意しろ、と温かくも情け容赦のないアドバイスをたくさんいただきました(笑)。

まずようやくスタート地点に立てたので、もう少し理論的なことを学びつつ、これで実験、改造したり、いずれは自分で設計し、もう少し高出力のものに挑戦してみたいと思います。

とか言いつつ、セットアップが面倒で、日頃はRoland microcubeばかり使っているのですが💦

こんな小さな真空管1本でも、可愛くクランチします

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