顧客にとことん向き合う

社長自らの給料はゼロの月もあった。長女のミルク代のために帰宅後の缶ビールをあきらめた。

次第に社員や幹部が辞めていった。

このサービスをどうしても諦めたくない社員とともに、自分も営業マンとして単身で会社訪問し、要望を聞き小さな改善を繰り返した。

マーケ担当もいなくなったので自分でやった。それまでやれていなかったインバウンドマーケティング(顧客がウェブ検索などの結果向こうからやってくること)へ抜本的転換をした。顧客の獲得効率は3倍になった。

やむを得ない事情で競合他社に乗り換える顧客に、ある社員が「円滑な乗り換えになるよう当社のサービス利用終了後も2カ月無償でサポートします」と言った。意をただすと「長年使っていただいたお客様です。当然です」と胸を張った。

短期的には自社の利益にならずとも顧客のために行動するという創業時からの文化が不況の時に研ぎ澄まされていくのを感じた。

10名足らずのメンバーで2年間耐える中、顧客の解約率が創業以来の低い数字になった。

トンネルの出口が見えた。不況のどん底から売り上げが4倍になっていた。

黒字化した瞬間は今でも忘れない。赤字の決算しか見たことがなかった経理担当が「間違いではないですか」と何度も財務データを見せに来た。数千円だったが、黒字だった。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
!ありがとうございます!
2
GMOペイメントゲートウェイ 副社長 GMO VenturePartnersファウンディングパートナー。 99年、決済スタートアップを起業。05年にGMOベンチャーバートナーズ設立。12年よりシンガポール拠点にインド、東南アジア、北米への投資と事業開発
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。