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【 White page 3 】


けいちゃん...

何度もお手紙書いては
出せずにいました...
いつもポストの前で立ち尽くして
出せなかったお手紙が
何通も何通もたまっています

このお手紙だけは
直接渡したくて来ました

けいちゃん...
私ね 彼が逝ってしまってから
人に言えない生活してたの
汚れちゃった
汚れちゃった...

彼は自分が死ぬことわかってて
どうして私と付き合ってたの?
何年経ってもわからない...
置き去りにされて
私はどうすればよかったんだろう...

悲しくて悲しくて
どうしていいのかわからなかった
彼の後を追いたかった...
でも 出来なかった...
愛する人が死んだのに
それでもまだ生きてる自分が
赦せなかった...

けいちゃん
彼はとっても優しかったのよ
優しくて あったかくて
そしてね
なんにもなかったのよ...
彼は 一度も私に触れなかったのよ
そういう人だったの
ねえ...
ずっと一緒にいられないなら
どうして彼は私と付き合ったの?
遺される私のことは
考えなかったのかな...

けいちゃん...
人は生きれば生きるほど
汚れていくものなのかな...
私 こんな風な生き方
望んだわけではないのに
私は汚れちゃった...

この何年か
思い出すのは 彼ではなく
あなただったのよ...
どうしてだろう
小さいときのこと
よく思い出していたの

雪の中
赤いコート着て
はしゃいでる自分がいる
優しい目をしたけいちゃんがいる
寒いのに 心はあったかくって
とても懐かしい...
でも
もう 私はあの頃の私じゃないのね...

けいちゃん...
あなたに愛される人がうらやましい
あなたに大切にされる人がうらやましい
あなたの心の中に住んでる人が
うらやましい...

勝手だわね 私
悲しいときだけ あなたに甘えて
泣きごと言って
汚れた生活送ってたのに
今さら 遅すぎるよね...

けいちゃん...
それでもあなたに聞いてみたかった
あなたはどのくらい
私と一緒にいてくれるだろう
何ヶ月?何年?
どのくらい そばにいてくれるだろう...
あなたも去って行ってしまう?
いつかはいなくなってしまうの?
あなたを失いたくない...
そばにいて
そばにいて
小さいときみたいに
そばにいて
...ずっと
そう言いたかった...

けいちゃん...
ホントはずっとあなたといたい
でも こんな私じゃいやよね...
それに
もう ひとりぼっちにされるのは
いや...
だから 私は消えます
けいちゃん
ごめんなさい...

雪が見たい
何も知らなかった
小さい頃に帰りたい...
雪のように
真っ白に清くなりたい...

けいちゃん
けいちゃん
私の心が探していたのは
あなたでした...

さようなら
さようなら...



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