龍神と繋がる旅『魂の宮古島 ⑬』
おばぁの案内のもと
私たちは崖沿いの海をそろりそろりと歩き
たどり着いたその場所は
薄暗い洞窟の中でした。
島のどこまでも明るい海。
そこから切り離された様な
凛と張り詰めた空間。
足下の海の中に広がる白い砂が
洞窟の隙間から入る光に反射しています。
おばぁが手を差し伸べた方向を見ると
洞窟の天井近くの岩場。
視えなくても
そこに”いらっしゃる”のは分かります。
ん・・・・・”そこ”でもないのか。
祈りの方向はそちらでも
根源は宇宙
という感覚です。
おばぁは ともさんを自分の傍らに寄せて
私たちはその後ろを固めるように
ぐるりと囲みました。
あのときの感覚は
畏怖や畏れ多いというより
ここにいる感謝と愛以外はありませんでした。
おばぁの祈りの声が洞窟に響き渡り
私たちの祈りも始まりました。
腰まで海に浸かった状態なのに
海水の温かさが身体と同化しているようでした。
そして
ともさんが鈴を鳴らし
なみさんが遊琴を奏で始め
私たちは神に宇宙に捧げる踊りを舞いました。
くるくると舞い踊る私の身体は
いつしか巫女装束をまとっていました。
もちろん視えることはない装束です。
でも・・・・
腕からは透明の袖が振られ
Tシャツではなく
襟のある装束を
確かに着ていたのでした。
どれくらいの時間が経ったのか
おばぁは祈りを終えると
私たちを洞窟から連れ出し
さらに先へ進んで行きました。
そこは陸地から徒歩で行くことが出来ない場所。
崖の沿いの海の中を歩いて行かなければたどり着けない場所。
荒々しい波が打ち付ける海岸は
おばぁの最後の祈りの場所でした。
「ここで今までの自分をすべて流しなさい」
ここまで生きてきて
もう不要になったものを手放す場所。
すべての穢れを流す場所。
そこは明るく解放された氣持ちで
みんなで大笑いをしながら
打ち寄せる波を頭からかぶり
また踊り
宇宙への感謝を心から祝いました。
ふと そらを見上げると
鳳凰と龍神が重なったような雲がありました。
おばぁも同じようにその雲を見上げて
「鳳凰と龍神が統合したねぇ」
龍神がさらに神上りをすると
鳳凰になると読んだことがあります。
私はその時
龍神が鳳凰へさらなる神上りをする瞬間を視たのです。
そして右側の森から飛び立った鳥たち。
その数も9羽
おばぁはその鳥の数も意味があって
すべては統合されたのだと説明してくれました。
神様事は氣を抜くと
魂を持って行かれます。
今回は おばぁが護りにいたので
私たちは無事に神事を終える事が出来ました。
お昼近くになったので
私たちは おばぁと一緒に沖縄そばのお店へ行きました。
もう今日の夜には宮古島を出発します。
しっかりと最後の沖縄の味を堪能して
みんなで楽しい旅の思い出を語り合っていました。
おばぁは ともさんと何やら話し込んでいます。
そして・・・・
「ともちゃん。内地に帰ったら
この人(私のこと)を茨城に連れて行って」
え・・・・?私を茨城へ?
「いま宮古島の龍神や精霊たちはたくさん死んでいる。
また宮古島の水も死んでいる。
復活のためには
日本の内地の龍神の水が必要なんだ」
そして内地の龍神の水をたくさん集めて
また宮古島へ持って来て欲しい。
そのために最初に茨城へ連れて行く必要がある。
「息栖神社。香取神社。鹿島神宮」
ともさんは東京へ戻ったら日程調整をしようと言ってくれました。
宮古島で済むことではない。
宮古島の龍神や精霊が死に絶えたら
日本が死んでしまう。
神話の世界だと思っていたお話が
私たちが内地を巡り
龍神の力を取り戻す。
私たち人間に出来るのは
ほんの小さなことだけれど
ひとりの力が大勢の力となって
日本の助けとなっていく。
おばぁからの話に
私はさらに氣持ちを引き締めて
関東へ戻ってからの私の役目をかみしめていました。
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