反対意見に対して

『お金のいらない国』の反対意見にもいろいろあるようです。

1.お金がなければ人間社会は成立しない。

●お金がなくなれば人は仕事をしなくなる。社会が進歩しなくなる。

確かに、技術などがこれほど急速に進歩してきたのは、お金の存在が関係していたかもしれません。しかし、そのせいで大量生産、大量消費、大量廃棄が起き、環境が破壊され、人々の心身が犠牲になったのではないでしょうか。そもそもそんなに急激な進歩が必要だとは思わないし、お金が存在しなくなれば、もっと余裕を持って仕事を進めたり、予算を気にせずに研究開発もできると思います。また、仕事をしたくない人はしなくていいと思います。

●お金がなくなっても、それに代わるものができるのではないか。無法地帯になり、暴力で強い者が支配する世の中になるのではないか。

いったい、誰が、何のために、何を支配したいと思うのか。私には想像がつきませんが、たとえ、何らかの支配が起きたとしても、お金に支配されている今よりはいいかもしれません。

●お金のいらない社会は、性善説でなければ成立しない。

たしかにある意味、善人といいますか、他人を思いやれる人ばかりでないと成立しない社会かもしれません。でも、お金が存在しない社会ではお金を盗む必要もないわけだし、そんなに悪いことをしようと思うのでしょうか。何が悪いことかも考える必要がありそうです。

2.貨幣制度の廃止に伴い、他の制度がなくなることが不安。

●結婚制度がなくなったら、自分の愛する人が他の人と浮気をしても社会が認めてしまうだろうからいやだ。どこかに逃げられてしまいそうでいやだ。

制度がなくなっても、一生、自分だけと一緒にいてくれる人がいるなら、その人たちはそうすればいいのですから、心配はいりません。たしかに、人それぞれが自分なりの価値観を持ち、他人はそれを認めるようになると思いますから、常識や固定観念は少なくなるでしょう。制度がなくなったら逃げられてしまうとしたら、相手は今でも逃げたいと思っているかもしれません。

●独占欲や嫉妬心は動物の本能だ。必要なものだし、お金や制度がなくなっても消えるものではない。

そうかもしれません。ただ、それによって苦しむのなら、苦しみを軽減する方法を考えたほうがいいのではないでしょうか。これは今の社会でも同じです。価値観や生き方が多様になれば、人々の意識も今とは違ってくると思います。私は、愛する人が自由にすること、幸せであることが、自分の幸せでもありたいと考えています。

3.経済社会で優位に立っており、その立場を失うことを恐れる。

●他人と競争して、お金や地位や名誉を勝ち取ることが人間の生きる目的だ。

俗にいう勝ち組になれた人はいいでしょうが、負け組になってしまった人が悪いわけでもないと思います。競争社会は、勉強だろうと運動だろうと仕事だろうと、何にでも差をつけることが当然という価値観の社会です。人に勝たないと気が済まない人はこの社会に毒されていると思います。皆が幸せになれる社会ではいけないのでしょうか。

●お金をたくさん持っているから、人より贅沢ができるし、羨ましがられるし、力も持てるのに、誰もが平等になってしまうのはいやだ。

この社会でお金をたくさん持っていても、それをどう使うかは人間性の問題です。もちろん、せっかく稼いだお金ですから、とりあえずご自身で思う存分使えばいいと思います。でも余った分は世の中のために使ったらいかがでしょう。本来、人の間を回すべきお金をただ貯め込むことは、社会の害です。お金持ちになっても、お金に固執しないことが大切かと思います。

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