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ばあちゃんの赤飯のおにぎり

前回の記事に書いた「餅ばあちゃん」にぼくが反応するのは、原体験の「ばあちゃんの赤飯のおにぎり」があるからだと思います。それと餅ばあちゃんが重なります。

その原体験は、20代の後半に初めて個展、自分だけの作品展を開いた時のこと。企画・運営を一人でやり、自分なりに工夫し開催できたことにちょっと誇らしげでした。アーティストぽいことができたなみたいなことを感じていたと思います。

会期中のある日、祖母が親戚とやってきて、お重に詰めた赤飯のおにぎりを持ってきてくれました。それを見た瞬間、「この会場で一番のアーティストは、ばあちゃんや」と感じ、祖母に伝えましたが何言ってるかわからんわ〜みたいな顔で笑ってました。

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祖母が赤飯を作るところはこれまで何度も見ていたので、作る光景がお重の赤飯からぼくには視えます。実家のもち米。祖母が畑で育てた小豆。乾燥させて殻をむいて一升瓶に詰め保存する。前の晩からもち米と小豆を水につけ、朝早く起きてから蒸し器にかける。日本人にとって特別なカタチ、おにぎりにこしらえる。孫の晴れの日のためのお祝いの品。

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個展会場で見たことによって、赤飯とアートがリンクしたんだと思います。赤飯は祖母にとって、祝いの表現であり作品。それを作るために地元の土地、光、気候、農作業を一緒にする家族や、そこに伝わる文化までも味方につけていることに気付きました。アトリエで一人制作する自分は敵わない、ばあちゃんみたいな作品を作りたいと思いました。

以来、アート・アーティストとは何なのかを考えるようになり、今は地域のアート性、LOCAL Curationにつながっています。

「読み取る力。それにつながる体験があることによって、アートだと感じる。」 LOCAL Curationにとって大事なことです。

ぼくにとってのArt Literacyは、Local LiteracyとNature Literacyです。

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