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紀行文『太陽を頬張る(奈良・MIA'S BREAD)』

旅先の土曜日の朝、ならまちにあるパン屋MIA'S BREADを訪ねた。
この店のことは、店主の森田美和さんのエッセイ集『サンドイッチ・ブルース』で知った。
読んでいて顔を上に向けたくなるような日当たりのいい本だった。
最近はあまりサンドイッチを食べていなかったのだけれど、本の中で、サンドイッチには無限の可能性がある、みたいなことが書かれていて、俄然興味が湧いてきた次第である。
2階にあるイートインで、できたてのホットサンドを頬張る。
千切りにされたレタスとにんじんはシャキシャキで、ベーコンとはカリッとして、ソースが甘くて……。
おいしい。
しっかりと、おいしいが伝わってくる。
体と心にやさしい味だ。
噛みしめたいからゆっくり食べようと思ったのだが、もぐもぐと頬張る口を止めることができず、あっとういう間に食べ終わっていた。
コーヒーを飲んで、一服。
しばし、ぼーっとしていた。
もし家の近くにこんなお店があったら、元気を補充したくなった時に自然と足が向いているだろう。
ひなたのサンドイッチ。
空になったバスケットを見ていると、そんな言葉が口から転がり出ていた。


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