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Plan

”どうしてそんな形になったのか。
他の誰にも聞こえない 長い時間重ねられてきた会話。
きっとそこには私たちには思いもよらない
知恵や工夫が詰まっているのだろう。”

Planは珪藻(けいそう)がモチーフとなったシリーズです。

珪藻とは字が表すように藻の仲間で
体長0.005~1mmほどのとても小さな生き物で
種類は10万以上とも言われ、水のある場所には
赤道直下から北極海までどこにでも生息しています。

また「シリカ」というガラス質でできた
多孔質の大変美しい殻を持ち
その中に葉緑素が包まれています。

光合成を行うことで分裂を繰り返して数を増やし、
動物プランクトンや魚、貝などの
多くの生き物の命を支えているのは勿論のこと、
全ての光合成生物が放出する酸素の約25%は珪藻によるものと言われ、
地球環境に大変大きな役割を担っている存在でもあります。

殻のシリカは命が尽きたのちでも分解されることがない為、
1億年近く前の地層からも出土されるなど
太古から珪藻が存在していることが知られています。

日本では能登半島に多く、半島の3/4は珪藻が堆積してできたものといわれており
1個体のサイズとそれらが生み出す規模の壮大さのギャップに驚かされます。

堆積した殻は実に緻密な多孔質で、
調湿、吸水、耐火、断熱性などに優れ、七輪や漆器に用いられるなど
古くから能登の産業を支える素材として利用されてきました。
その他珪藻土として建材であったり
薬品や食品の濾過材など、広く我々の生活の中で利用されています。

そんな非常に身近な存在でありながら
目に見えないほど小さく繊細で、
またいかなる環境にも対応できるほど柔軟で力強く、
そして人の想像を超える、驚きに満ちた大変美しい生き物。

太古から現在まで見事に遺伝子を繋ぎ
繁栄をし続けててきた珪藻は、
どんな知恵や工夫をこらしてきたのだろうかと
その声無き会話を聞いてみたい衝動に駆られます。

珪藻にはそんな私たちの興味を強く惹きつける魅力があふれています。

Designer 日向 龍

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