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美容師さんとインボイス制度について 〜フリーランス美容師さんは必見!〜


こんにちはRyuhoです。

ぼくは神戸で小さな美容室を経営しつつ、メイクアップアーティストとしても活動中です。

さらに詳しいプロフィールはこちらから↓



今回は「美容師さんとインボイス制度」というテーマについてお伝えしたいと思います。



先日、ぼくはこういうツイートをしました。


ツイートにもあるように、このことについてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。



■インボイス制度とは?

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まず、インボイス制度とは何でしょうか?


初めてお聞きする美容師さんもいるかもしれません。

なので、まずはインボイス制度についてお伝えしたいと思います。


初めにお伝えしておきます。

今回お伝えするインボイス制度は

・業務委託で働いている美容師さん
・フリーランスの美容師さん
・業務委託の美容室経営者さん

などにとって、残念ながら良いことは1つもありません


とはいえ、ぼくは「この制度が始まるからフリーランスや業務委託で働くのはやめたほうがいいよ」と言っているわけでもありません。

そちらをご理解のうえ、読み進めていってください。



それでは、まずはインボイス制度について見ていきましょう。



インボイス制度は、2023年10月よりスタートします。


「インボイス制度について」

・適格請求書(インボイス)とは、
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

・インボイス制度とは、


<売手側> 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。


<買手側> 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。


インボイス制度の正式名称は、適格請求書等保存方式といいます。


※もっとくわしく知りたい方は国税庁のホームページを添付しておきますのでこちらからどうぞ。

国税庁ホームページ インボイス制度について

サイト内でリーフレットなどのPDFもダウンロードできます。



いかがでしょうか?


わからないですよね(笑)

というか、読むの途中であきらめましたよね(笑)


なので、いつも通り美容師さん向けに簡単にお伝えしていきます。



■課税事業者と免税事業者の違い

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まずは課税事業者免税事業者の違いをわかりやすくお伝えします。


現在ぼくたち美容師さんは、お客様から料金をいただくときに消費税をいただいていますよね。

たとえば、カット¥5500(税込)であれば、¥500は消費税です。

消費税は国に納めるものですから、お客様からサロン側が一時的に預かっているだけです。


とはいえ、年間売上げが1000万円未満(課税)の事業者は、この消費税を納めなくてもいいのです。

つまり、消費税の納税義務の免除が受けられます。

この事業者を免税事業者といいます。

これは、美容業界だけのお話ではなくどの業種も同じです。


年間売上げ1000万円というと、1ヶ月平均約83万円の売上げ(報酬)です。

これはサロンで売上げている実際の数字ではなく、業務委託美容師さんであれば、サロンからいただく報酬(=売上げ)のことです。

業務委託美容師さんや、フリーランス美容師さんは、毎月サロンに請求書を提出していますよね。

そこに記載する金額のことです。


逆にいえば、業務委託で働いている美容師さんで1ヶ月平均83万円以上報酬(売上げ)を得ている美容師さんは、そもそも消費税を支払っているはずです。

年間の報酬(売上げ)が1000万円を超えるからです。


仮に、業務委託の美容室で働く美容師さんの売上げバックが50%だったとします。

月間売上げが平均100万円(税込)であれば報酬は平均50万円(税込)ですよね(50%バックなので)

これが年間になると、報酬50万円×12ヶ月=600万円です。

所得の計算はここから経費を引きます。


たとえば、経費が年間100万円だとすると、

・報酬(売上げ)=600万円
・経費=100万円
・所得=500万円(報酬600万円ー経費100万円)

ということになります。

つまり、年間売上げが1000万円未満なので免税事業者になります。

所得税や住民税、国民健康保険などは、この所得(500万円)から各自治体によって計算されますが、消費税は報酬(売上げ)で計算されます


仮に、ここからさらに複業で400万円以上の売上げがあれば、課税事業者になります

年間報酬(売上げ)1000万円(600万円+400万円)を超えてしまいますよね。

なので、消費税を納めなればいけません。


しかし、年間売上1000万円未満(税込)であれば、免税事業者となり消費税を納めなくてもいいのです。


わかりやすくまとめると、課税事業者か免税事業者かは、所得や経費は関係なく報酬(売上げ)が1000万円以上あるかどうかなのです。

これが課税事業者と免税事業者の違いです。


まずはこのことを頭に入れておいてください。


※また、売上が1000万円以上でも、事業を開始して2年間は免税事業者です



■業務委託で働く美容師さんが増えた理由

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では、次に質問です。


業務委託サロンや、業務委託で働く美容師さんがここ数年で一気に増えましたよね。

それはなぜだかわかりますか?


この質問に答えられる美容師さんは、インボイス制度がぼくたち美容師さんにどのような影響をもたらすのかをすぐに理解できると思います。


まず、業務委託で働く美容師さんは、消費税込みで報酬をいただいている(サロンに請求している)はずです。

お客様は、国に支払う消費税をヘアスタイルの代金と一緒にサロンに支払っています。


たとえば、さきほどの売上げで考えると、消費税抜きの実際の売上げは月平均90万円です(100万円ー10万円(10%消費税)

なので、50%バックだと45万円ですが、消費税分(10%)を請求し、その消費税分の5万円を国に納めなくていいので、50万円の報酬になっています。

さらに、個人事業主なので、住民税や所得税、国民健康保険、国民年金などを自分で支払うことになります。

つまり、手取りで頂く報酬から引かれるものがほぼありません。


このように、業務委託サロンで働くメリットの1つに、「高い報酬」があります。


さらに、報酬なので、やったらやった分だけもらえます。

逆に言うと、やりたくない人はセーブできるということです。

業務委託サロンで働く人が増えるのも納得ですよね。




当然、業務委託サロン側にもメリットがあります。


業務委託で働く人に支払った(請求された)消費税は控除することができます


この場合だと、美容師さんに支払った50万円の報酬のうち、5万円の消費税は、美容師さんに支払ったことにより、国に納めたということになります

これは、美容師さんが免税事業者で消費税を支払っていなくてもです。


さらに業務委託ですから、社会保険の加入はありません(正社員であれば、厚生年金や健康保険の半分は会社が負担をします)。

労災保険や雇用保険(半分)の加入もありませんので、そのような支出がありません。

その分を報酬に還元したり、事業の利益にすることができます。


このように、業務委託は働く美容師さんとサロン、どちらにとってもメリットが大きいということです。


これが、業務委託サロンの高い報酬のからくりです。


以上のことが理由で、業務委託サロンや業務委託で働く美容師さんが急激に増えました。


それがダメだ、ずるいと言っているわけではありません。

免税事業者は消費税の納税義務を免除されていて、そのような制度がありますので別に大丈夫なのです。



■インボイス制度の影響

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とはいえ、この消費税を納税しなければいけない可能性が出てくるのがインボイス制度です。


インボイス制度は、消費税を支払う相手が課税事業者でないと、消費税の控除ができなくなります

つまり、業務委託サロンが報酬を支払う際に、美容師さんが課税事業者でなければ消費税の控除ができなくなります


課税事業者とは、年間の売上げが1000万円未満でしたよね。


おそらく、業務委託で働くほとんどの美容師さんが、年間売上げ1000万円未満だと思います。


つまり、このままいくと、業務委託サロンが消費税を支払うことになります。

もし仮に、年間売上平均600万円のスタッフを10名雇っている業務委託サロンであれば、年間で消費税の支払いがトータル600万円になります。


サロンにとってかなりの痛手になりますよね。


では、美容師さんに課税事業者になってもらうとすると、美容師さんは消費税を支払わなければなりません

簡単に計算すると、まるっと10%の報酬がなくなります

わかりやすくお伝えすると、月間の報酬が30万円であれば27万円になります。

50万円であれば45万円になります。


では、年間で考えてみてください、、、。

およそ1ヶ月分の報酬がまるっとなくなります


これは大変ですよね。


こうなってくると、業務委託で働く魅力の1つである「高い報酬」というのがなくなるわけです。


では、業務委託で働く美容師さんが、それがイヤで課税事業者にならなければどうなると思いますか?


そうです。

業務委託サロンは、課税事業者登録をしている美容師さんに業務を委託する(契約する)可能性が出てきます。

つまり、「消費税を払わないといけないのであれば、あなたとは契約をしない」ということです。

※ちなみに、正社員と違って、業務委託は法律上契約解除がすぐにできます



このように、インボイス制度というのは、事業者のどちらかに消費税を払わせるようにする、ちょっと難儀なシステムです(笑)。


もちろん、これから色々な対策が出てくると思いますし、早いサロンはすでに対策に動いているところもあると思います。
(たとえば、美容師さんに課税事業者になってもらう代わりに歩合%を上げるなど)


対策については今後考えることができますので、まずはこのような制度が2023年10月から始まるということについて頭に入れておいてください


ちなみに厳密に言うと、いきなり10%ではなく経過措置を踏むこととなります。
さらに簡易課税制度というのもあります。

※このあたりについては長くなるので今回は割愛させていただきます。


とはいえ、インボイス制度について知らないままとか、何も対策をしない業務委託美容師さんやフリーランス美容師さんは、2023年10月から報酬が10%減るということを自覚しておいてください。



■共に乗り越えていくことが大事

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ぼくはこのような流れを読んで、フリーランス美容師さんや業務委託美容師さんがサロンを構えるきっかけの1つになるのではないか?と思ったわけです。

それが冒頭のツイートに繋がります。


とはいえ、初めにお伝えした通り、「こうなるから業務委託やフリーランスはやめたほうがいいよ」ということではありません。

対策はこれからたくさん出てくると思いますし、どのような状況であれ光は必ずあります


インボイス制度が始まると、業務委託サロンやフリーランス美容師さんが突然いなくなるなんてことも絶対にないと思います。


ぼく自身、美容師さんとしての働き方はなんでもいいと思っています。

ぼくの友人でも、このような業務委託で働く美容師さんもいますし、面貸しで働くフリーランス美容師さんもいれば会社員美容師さんもいます。

当然、業務委託サロンを経営者さんもいますし、従来の美容室の経営者さんもいます。


働き方に甲乙なんてありません


経営者さんがプレイヤーである美容師さんよりエライと思ったこともないし、逆もありません。

ましてやフリーランスの美容師さんと会社員美容師さんで見方を変えることもありません。


みんな同じ美容師さんです。


であれば、このような業務委託やフリーランスの美容師さんに対しての大きな出来事は、共有して共に乗り越えていくべきです。


正直、ひとり美容室を経営しているぼくにインボイスの影響があるのは、お客様に対して領収書を発行するときだけです。

それ以外は何も影響はありません。


とはいえ、1人でも多くの美容師さんに、この記事でインボイスに対するきっかけをつかんでいただけたらと思い記事を書きました。


最後までお読みいただきありがとうございました。


何かのきっかけにしていただければ幸いです。


ぜひ参考にしてみてください。


ではまた!

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