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「パパって何のお仕事してるの?」って聞かれたら

こんにちは。
ランディックス(証券コード2981)でIR責任者しています、松村隆平(まつむらりゅうへい)といいます。

今年のアドベントカレンダーは表・裏の2ラインがあります。
どちらも拝読していますが、面白い記事ばかりです。


IR系表の執筆者はこちら

IRアドベントカレンダー「表」

IR系裏の執筆者はこちら

IRアドベントカレンダー「裏」

みなさんすばらしい記事で、正面からだと私の出る幕が無さそうなので、IRそのものではないところで、ふと思いついたテーマを設定しました。

さて、IRに携わる皆さん、、
「パパ(ママ)ってどんなお仕事しているの?」
って子供に聞かれたら、、なんて答えますか?笑
なんて言いたいですか?
※グロース企業なんかだと専任IRではない人も多いと思うのですが、IRの仕事について限定したとして。

私、実際にこれ、実際に長女に聞かれて言葉に詰まりました。

自分の子供に聞かれて、友達の子供と話をしていて、わかりやすく、かつ興味を持ってもらえるように、話が弾むようにどう答えたらいいだろう?
「適正な株価形成がされるように外部へ適切にディスクローズすることだよ。」
「来るエクイティファイナンスに向けて継続的な株価と出来高の向上がミッションだよ(ドヤッ)」
とか言っても、謎は深まるばかり…笑

IRやっている人なら、子供でなくとも「相手にベース知識が無い、ゼロからの自己職業&紹介」で少し困った人もいるかなと思い、読み物として興味をもってもらえるかと思いましたので、書いてみたいと思います。(田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに話すときとかにもご参考!)

自己紹介です。
20代はBtoB、BtoCの営業を中心に営業畑。28歳からIPO準備(当社ランディックス)をきっかけにして経営企画へ。そこから経理・財務、人事など幅広く任せてもらえるようになり、IPO後はIR責任者も兼務しています。
2023年度から取締役になりました。
仕事もそれ以外も全般的に、食わず嫌い無く、スペシャリストよりオールラウンダータイプ。(でも何かのスペシャリストになりたい…。)
どうぞよろしくお願いします!
〇統計調査士 〇MBA 〇宅建士 〇認定IPOプロフェッショナル

Twitterやってます!是非フォローしてください!
▶松村隆平|ランディックス取締役IR

IRって何をする仕事なのか

おそらく、この質問に唯一絶対の答えは無いのだと思います。

  1. 株主に適切に業績を報告すること

  2. 市場の見解と自社が考えるフェアバリューを一致させにいくこと

  3. 資金調達の選択肢を確保すること

  4. 株主利益のために対市場で銘柄をマーケティング&高値をキープすること

など。

今回、考えていきたいのは、「子供に対して、IRという仕事をどう説明するか?」ということです。
単にIRとは何かに対する理論的、アカデミック的に正しい答えを議論するのではなく、感覚的にフランクに、コミュニケーションとしてどんな回答をするのが良いのだろう?というところです。
実際に自分の子供にされた質問がとても印象的だったので、これに応える形で書いてみたいと思います。

子供に聞かれた「パパの仕事は誰を助けてるの?」

たまに、子供とは純粋に本質を突いてくるなあと思うことがありますが、これもそうでした。

ある日、長女(7才)から唐突に聞かれました。

長女:「パパは何のお仕事をしているの?」
私 :「会社の成績とかやり方がどんなことになっているのか、みんなに説明したり、調べたりしてるんだ。」
長女:「ふーん。なんていう仕事なの?」
私 :「あいあーる(IR)、っていうんだよ。」
長女:「へー。それって誰を助けてあげる仕事なの?」
私 :「ん~~~、いろんな人と一緒にお仕事するけど、、そう言われてみると、誰だろうね…?」

ある日の長女との会話

どうやら長女は「仕事とは誰かを助けるもの」と考えているようで、それゆえ「誰を」「どのように」助けるかで仕事は分類されるものと考えているようでした。
本質を突く、いい思考プロセスだなと思います笑

確かに、IRを通じて、端的に、自分は誰を助けているといえるのだろう?と思いまして、子供に向けた愛あーる答えを(ほんとすみません・・・。ふと頭に浮かび、書いてみたくなってしまい。)考えてみたいと思います。

IRがうまくいって喜ぶのは誰か?

べき論&筋論をあえて飛ばして、結局のところ企業のIR担当者に求められているもの、
そして担当自身として結果として出てうれしいのはひとまず
・株価が上がること(事業が期待される)
・出来高があがること(事業が注目される)
ではないでしょうか。

ではこうなると誰がうれしいのか?

…みんな嬉しいですね笑

社長:   やったぜ!さすが我が社!資産も好調!
個人投資家:よくやった!もう利確か!?
機関投資家:おー、長期的に保有しようか。ウォッチしよ。よしアポだ。
社員:持株会よかったー!経営陣がご機嫌だー!
金融機関:お、これは営業のタイミングか!?
…とかありますよね。

そう考えると、「会社に関わるみんなを助けているんだよ」と言えるなと思いました。
…とはいっても、子供に説明するにあたっては
・要素をわかりやすく
 ▶長女の思考に合わせるのであれば「だれを」「どのように」)
・かっこいいな、楽しそうだなと思うように
 ▶当然、未来が楽しくなる背中をみせなければ

が大事かと思います。

IRがうまくいって助かるのは誰か?

ここは微妙なニュアンスの差程度ですが、「嬉しい」と「助かる」は違うと思うのです。
「嬉しい」というのは、程度の差が大きく、プラス方向の感情ですが、「助かる」というのはもっと危機的というか、「やばい・・・」というところから「ひゅー、助かった~。」というちょっとヒリヒリ感というか真に迫るニュアンスがあると思うのです。

そう考えると「IRがうまくいかなくて困る、危機に瀕するのは誰か?」がより本質的なのかなと思います。

株価が下がって、出来高が下がって「やばい!」
となるのは、まずは我々、IR担当者ですね笑

・・・というのは冗談として、やはりそれは日々一生懸命稼いだ自分の生活とつながった大事なお金を投下し、銘柄の成長に思いをかけている投資家の方々なのだろうなと思います。(そういう意味ではオーナー社長含め大株主おは最たるもの)
「投資は余剰資金から」とは言っても、日々一生懸命働いて得たお金を、今日より素晴らしい明日、1年後の大事な人の幸せを願って投資するわけですから、やはりそこには大きな感情が伴いますよね。

IRはどのように株主を助けているか?

また、助けるという文脈に鑑みると、IRとして「株価を急上昇させる」より「大暴落させないこと」の方が、価値があるとも思えてきますが、どうでしょうか。(マイナス感情の方がプラス感情より強いですし、「増えた!」という喜びより「減った!」という悲しみとか悔しさの方が感情の絶対量としては多いのではないかと思います。)
こう考えると、会社の情報を適切に発信することで、サプライズを無くし、判断する機会を提供することで株主の皆さんの将来への資金を「守る」という側面がIR価値としてはあるような気がしてきました。

子供へ何と伝えるか

ここまで考えた内容をふまえて回答を作ると

Q:IRという仕事は、「誰を」「どのようにして」助けていますか?
A1:
IRという仕事は「株主の皆様」を、「適切な投資判断機会の提供」によって、想定外の損失を回避し、その大切な投資資産を守ることで、助けています。

ただ、ここには不足がありまして、下記の要素が足りません。
① IRがそもそもわからない子供に説明するのに、これだとIRのイメージがつかめない。
② 「株主」がそもそも語彙として説明が必要過ぎて逆にコミュニケーションとしては不明瞭。
③ 「適切な投資判断機会」も②と同様、子供には意味が不明瞭。
④ 「大切な資産を守る」という部分は良いが、そもそもその資産は夢のためのお金であるという大事な定性的要素が抜けている
⑤ 全体的に子供用に言葉を平易にする

これらを組み込むと
A2:
IR(あいあーる)っていう仕事は、会社の業績を分かりやすくお知らせする仕事なの。そうすると、会社のためにお金を出してくれた人たちが大切に増やそうとしているお金が、安全に増えるように守ることでパパはみんなの役に立っているんだ。

が第2案です。

しかし、読み返すと
① 株主の描写「会社のためにお金を出してくれた人」について「?」が残りそう。→「なんでお金を出したの?」とくる。想定質問は事前につぶすのができるIRです。
② 「安全に増えるように守ることでパパはみんなの役に立っているんだ。」→お金ということの概念がそこまで感情に直結していない段階では、「いい仕事だな」という響き方にはならないのではないか?
③ まだところどころ言葉が難しい

これを盛り込むと

A3:
IR(あいあーる)っていう仕事は、会社にいるみんなが頑張った成績を分かりやすくお知らせする仕事なの。そうすると、もっと会社が大きく楽しくなるようにお金を出して応援してくれる人が増えるんだけど、そのお金が無駄にならないように考えて、守ることでパパはみんながお金持ちになるようにがんばっているんだ。

あえて「お金持ち」とか露骨な表現を使いましたが、この方が子供にとっては「なるほど、それはいいことっぽいな」と伝わる気がしました。
また、「投資」という概念は小学1年生の子供に端的に説明するには非常に難しいので思い切って抽象度を上げて「会社が大きくなるように応援」という形で意訳しました。

そしてラスト。やはり子供には「夢」と「お父さんはカッコいいんだなあ」感が必要なので、1センテンス加えます。

A4:
IR(あいあーる)っていう仕事は、会社にいるみんなが頑張った成績を分かりやすくお知らせしてあげる仕事なの。そうすると、もっと会社が大きく楽しくなるようにお金を出して応援してくれる人が増えるんだけど、そのお金が無駄にならないように考えて、守ることでパパはみんながお金持ちになるようにがんばっているんだ。
うまくできると、すごくたくさんの人が使えるお金が増えるから、難しいけど大事な仕事なんだよ。誰にでもできることじゃないから、楽しいんだ。

好みはあると思いますが、悪くないと思いますがどうでしょう。
ぜひ、CFO、IR関係者の方々、つかってください笑

さいごに

今回は、「子供に聞かれたときのIR職業紹介」という切り口でふと考えてみましたが、自分の仕事について考えるというのは大事だなと思います。
楽しく生きるには、夢も希望も必要だと思いますが、もっと近いところで「自信」も含めて、自分の認識を自分で設定する要素は大きいと思います。
客観的に考えることで自分の仕事の意義が見えることはよくあると思いますので、たまには立ち止まって考えてみるのも良いものだと思います。

これからも、はりきっていきましょう^^

次回は「ブロードエンタープライズ | IRチームの畑江と金城 | 証券コード(4415)」さんです。

ではでは、よいクリスマス&年末を~!

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