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学振面接の経験談

学振の季節なので、自分が学振PDに採用されたとき(2019年度採用)の面接の話を書いておこうと思います。昔の話なので、当時の自分のメモなどを見ながら思い起こしています。


面接について

学振の申請書を出してそれだけで合格できればいいのですが、そうでなかった当落線上の人々は面接に呼ばれ、その結果で合否が決まります(追記:2020年から面接はなくなったそうです)。自分の場合は、11月の下旬に東京の四谷で面接がありました。学振から事前に面接受験者用の注意事項をもらうのですが、スムーズな進行のために様々なことが書いてあり不安を煽られます。例えば、スライドは事前に15部印刷して持ってきてくださいとか、控室に本番と同型のプロジェクターが設置してあるので自身で動作チェックしてくださいとか、入室時はパソコンだけを持って他の荷物は係員に持たせてくださいとか、発表の前に登録名と研究課題名を述べてから始めてくださいとか、細かく指示が書いてありました。中でも準備段階で不安だったのは、発表時間が短いことと質問内容が想像できないことでした。

準備時の不安要素

発表時間が短い

面接は「発表4分」「質疑6分」の計10分でした。4分での発表は非常に難しく、今でも正解はわかりません。自分は全7枚のスライドを用意し、研究背景を手厚く説明しましたが、一方で先行研究との違いなどの説明が不十分になってしまいました。面接官は申請書を一度読んでいますし、研究のストーリーを伝えようと思うと時間がかかってしまうので、ストーリーよりも研究のポイントを話すように意識すべきだったと反省しました。

学振からの注意事項には、以下のように発表で述べるべきことが指示されていました。今思えば、素直にこの指示通りのことを1分ずつ話せば良かったのかもしれません(4は該当者のみなので、該当しない人は他のことに+1分使う感じ)。

1. 受入研究室の研究と申請者自身が取り組む研究との関係について明らかにしてください
2. 申請者自身のアイデアやオリジナリティーについて述べてください
3. 研究の課題(問題点)及び解決方法について説明してください
4. 申請の際に提出された「特例措置希望理由書 」の内容についても説明してください

面接における注意事項より

質問内容が想像できない

学会発表をする場合は当日に他の発表を聞くことで質疑応答の雰囲気がわかりますが、学振の面接は前の人の発表を聞けません。どこかベールに包まれていて全容が掴めない感じがしていました。そのため自分はネットでいろいろ検索して面接の雰囲気を知ろうとしました。例えば以下のようなサイトです。しかし、質問される内容は人によってマチマチですし、参考になったかどうかわかりません。

そんな中、参考になったのは研究室の先生からの「質問してくる人は自分の支持者だから、質問者の言ったことを否定するようなことは言わないほうがいい」というアドバイスでした。先生の話を意訳すると、どうやら面接官は各々に推しの申請者がいて、面接後に「うちの推し、良かったでしょ?」という話をするみたいです。なので、その面接官の言うことをこちらが否定してしまうと、”推しのことを何も分かっていないファン”だと他の面接官から思われてしまうそうです。そうなると、その面接官の言う「うちの推し、良かったでしょ?」は説得力を失ってしまいます。そこで、質問者=推してくれている面接官の言うことは否定しないほうがいいということです。

先述の通り自分の発表はイマイチだったので、質疑応答の最初に少しズレた質問をもらいました。そこで頂いたアドバイスを思い出し、「そういうパターンも考えられますが、今回の研究では〇〇に注目して実験しようと考えています」みたいにハッキリとは否定せずに返答しました。そのときは、こちらの説明不足で内容がうまく伝わっていなかったことを後悔しましたが、結果的に面接を通過したので、このような受け答えも大事なのかなと思いました(個人の感想です)。

また、他の質問で感じたのは、研究が成功したときの波及効果みたいなものよりも、純粋にその研究がサイエンティフィックにどう新しいのかを説明したほうが良かったかなということです。自分は農学・環境学の区分で申請していたのですが、その面接ではどう役に立つかよりもどう新しいかの方が興味を持たれていたように思います。でもこれは、面接官によって変わると思います。

おわりに

自分の面接はうまくいかなかったのでアドバイスはできませんが、誰かの不安解消の一助になれば嬉しいです。