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あこがれの筋肉モリモリ

りゅう坊は小さいころから
痩せていた。
社会人になった18歳の頃も
身長170cmで 体重は48kgもなかったかも。

小学生の頃は「きゅうり」と呼ばれ

中学、高校は「ホソ(細い)」と呼ばれていた。

そんなりゅう坊も
昭和56年 地元の高校を卒業し、
親元を離れ、社会人となった。

給料をもらうようになってから自分の
欲しいものがすこしつづ買えるようになった。


その頃、少年漫画雑誌の裏表紙に少年らが欲しくなる
商品が写真で紹介されていた。
その中で欲しいものがあった。
「キミもこの夏 ブルワーカー でこの夏たくましくなれる!」

こうなれると信じていた・・・


「ブルワーカー」さえ手には入れば
筋肉モリモリになれる!と信じていた。

「ブルワーカー」とは
筋力トレーニングで使用されるスポーツ用具の商品名だ。

もらった給料をにぎりしめ
デパートで見つけた「ブルワーカー」をついに買ってしまった!

買ったはよかったが、試練が・・・


箱にはブルワーカーと一目でわかる写真がプリントされていた。

レジでは店員さんが1mもの長細い箱に支払い済みのシールをペタ。

包装紙でくるんで欲しかった・・・

りゅう坊には頼む勇気もなく店員さんには言えなかった。


アパートに歩いて帰るには2kmくらいあった。

「これをかかえて街を歩くのか・・・」

デパートを出て街の歩道を歩いた。

若い女の子のグループとすれ違った。
クスクスと笑い声が聞こえた。

痩せて弱々しい男子が買ったばかりの
「ブルワーカー」とわかる箱を持って歩いているんだから

「あぁ、自分のことを笑ってるんだ」

と思い、顔が赤くなり 汗が噴き出してきた。

そんな試練を乗り越え、
取説のとおりトレーニングをしたが、

効果はなかった。

そもそも太れない体質で
プロティンと牛乳を飲んでもお腹を壊す。

筋肉モリモリどころか、
人並みの体格でさえ 遠い道のりだったのだった。







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