ゲンタマイシンの名前の由来は花からきている
アミノグリコシド系抗菌薬の一つのゲンタマイシン。
アミノ糖のためアミノグリコシド系に分類される。
作用機序は細菌の30Sリボソームに結合してタンパク質合成を阻害することとある。
これが一般的な薬理学で教えられる、または知識としてインプットされる内容だと思われます。
薬の分類と作用機序。
この2つがわかれば名前からどのような作用機序をもつのかが類推しやすくなります。
こんな感じでおおよその薬を暗記していきます。
正直、作業のようで学生のころは退屈でした。
しかし今回はさらに詳しく詳細を知ることができたので、それをまとめます。
〜マイシン系の名前の由来
ゲンタマイシンはじめストレプトマイシン、クリンダマイシン、トブラマイシンなどなど。
抗菌薬はメジャーのものからマイナーなものまでだいたい「〜マイシン」と語尾につきます。
この「〜マイシン」とはもとは一つの薬の名前からとれられいます。
それはストレプトマイシンです。
ストレプトマイシンをもとに多くの「〜マイシン」系の薬の名前がつけられました。
ストレプトマイシンは放線菌の一種であるStreptomyces griseusから発見されました。
Streptomyces griseusの培養液から菌が合成する物質の中から見つかったのですね。
ちなみにですがStreptomyces griseusの名前についても調べてみました。
気になるものですから。
ラテン語でstreptoはねじれた、mycesは菌、griseusは灰白とかねずみ色のという意味です。
つなげて日本語っぽくすると「ねずみ色のねじれた菌」とでも訳せますでしょうか?ラテン語がわからないので合っているかちょっと自信がありませんが……
まあとりあえず自分を納得させるには充分でしょう。
こんな感じで調べてみると、より薬に親しみをもてるかもしれませんから笑
「あー、君の名前ってそんな意味だったのね」みたいな。
話を戻すと、ストレプトマイシンはStreptomyces griseusからきていると推測できると思います。
Streptomycをとって一般の薬の名前の接尾辞である~inをつけて「Streptomycin:ストレプトマイシン」ですね。
ちなみに多くの薬の接尾辞が「〜in」や「〜ine」で終わりますが、これにも意味があります。
「〜ような」「〜に関連する」「〜から作られる」という意味だそうです。
これに当てはめるとストレプトマイシンはStreptomyces griseusから作られた薬となりますでしょうか?
とにかくそんな感じになるそうです。
ストレプトマイシンが発見されて以降、Streptomyces属の放線菌からは多くの抗生物質が発見されました。
なのでStreptomyces属放線菌から発見された薬の語尾には「mycin」とつくようになりました。
これをもとに考えると多くの抗生物質がStreptomyces属放線菌から発見されていることがわかります。
由来は花の名前から ゲンタマイシンの名前
ゲンタマイシンですがじつはStreptmyces属放線菌から見つかったわけではありません。
もとはMicromonospora purpureaから見つかりました。
Micromonospora purpureaは土壌放線菌です。
Microは小さな、monoは1つの、sporaは胞子という意味のようです。
これらもラテン語のようです。
purpureaはpurpleのようで紫色という意味。
このpurpureaがポイントで、細菌を染色するのに使用される試薬があります。
それはクリスタルバイオレットという試薬です。
この試薬で細菌を染色することで菌を分類します。
このクリスタルバイオレットですがリンドウという花の色に似ています。
リンドウの学名はゲンチアナ(Gentiana)です。
そのためクリスタルバイオレットはゲンチアナバイオレットとも言われます。
もう想像がつくと思いますがゲンタマイシンの名前の由来はここからとられています。
Micromonospora purpureaはその名のとおり紫色をしています。
ゲンチアナも紫色をしています。
Streptomycesから発見されたわけではないので接尾辞はmycinではなくmicin。
Gentianaとmicinを組み合わせてゲンタマイシン(Gentamicin)となりました。
このような感じでゲンタマイシンという名前をつけられたそうです。
物質としては細菌由来ではありますが、名前がゲンチアナという花からきているのは興味深いです。
色という特徴でつながった命名でしたがほかにもそのような薬はあるのか調べたくなりますね。
参考文献は以下です。
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