診療所を受診して勉強になった話

お久しぶりです。りゅうぜんです。
風邪+花粉症で体調を崩していました。
漠然とやる気が出なかったのですが、どうも体調不良が続いていたようです。
リハビリがてら、受診した診療所の感想でも書いていこうと思います。
病院経営をかじってる人間として色々所感を述べますが、憶測が多分に入るので、収益構造の分析は不正確な可能性もあることは申し添えます。
今回の診療報酬改定で病院・診療所は締め上げられているので、どう稼ぐかは重要になります。特に今回の改定は診療所にとって不利な改定のようです。
この診療所については、うまく稼いでるな~という感じで100%肯定的ですので念のため。


まずは筆者スペック(病名)から。
気管支喘息、左鼻中隔湾曲症、アレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群の疑い

受診したのは、有名な耳鼻咽喉科+呼吸器内科のあるクリニック。
元々有名だったが、岸田首相が副鼻腔炎の手術をしたことでさらに有名になったと思う。
さて、動線および収益の稼ぎ方が美しかったので、まとめていきたい。

1、受付→診察

受付はもちろんマイナ保険証を推奨。マイナ保険証の件数増加につき補助金が出るので当然だろう。
問診表は全て電子化されており、待ち時間にタブレットで回答する形式。
病名、回答内容に合わせてヒアリングする事項はテンプレート化されており、医師事務が診察前にテンプレートの準備をしている。
診察には医師事務が陪席し、口述筆記のようなカルテ記載。院内採用薬の情報まで頭に入っている本当に優秀な方だった。
医師・患者も適時にカルテ記載を確認できるので安心感がある。
また、各種指導料の算定に際しては、医師が指導している内容をリアルタイムで医師事務がカルテ記載し、その内容を医師・患者が確認できるというフローになるだろう。私は初診なので指導料の対象ではないが、極めて適切な保険請求で唸らされた。これなら厚生局が来ても安心だろう。
医師は病歴のヒアリング、内視鏡等の検査で所見を確認→検査オーダーという流れ。
手術のリスクを減らすため、診療所の利益を最大化させるために、検査は綿密に行う。元々精査目的で来ている患者がほとんどなので、文句を言う患者はほとんどいないはずだ。
特にアレルギー検査、睡眠時無呼吸をはじめ、高単価の検査に案内することがキモなのだろう。
実際、精査の必要がある患者なので、保険診療上問題ない・・・
高単価の検査の対象にならない患者は、自費診療を勧めてそれで問題なければ原則終診、紹介になるのだろう。

2、検査

技師さんの対応も素晴らしかった。テキパキと動かれる方で検査、待機のフローが頭に入っていた。
診察→高額の検査もしくは自費診療に案内というフローが美しすぎた。
検査項目の件数を稼ぐことで、検査委託費を下げて利ザヤの部分を大きくしているのではないだろうか。
また検査技師が検査の案内をした後に、そのまま次回予約をタブレットでとってくれたのが印象的だった。飲食店の予約のような形で空き枠を適時に確認できるシステムが構築されているので、予約を取るためだけに事務へ申し送ったり、余計に患者の待機時間を作ったりする必要がない。
DXによる業務の簡素化を実現させたことで、職種の垣根を越えて自身で完結できる作業は完結させ、患者およびスタッフの待ち時間・申し送りを減らしているのではないだろうか。
本当に素晴らしいスタッフと運用だった。

3、各科コンサルト

耳鼻咽喉科⇔呼吸器内科のコンサルのスピードも速い。
筆者スペックを確認するや否や、呼吸器の精査もしましょうと案内していただいた。
どうも筆者の辛さは呼吸器疾患が主になっているようだ。
ある程度患者をパターン化して、それに合わせてスタッフが動くように配置されている。全員業務が頭に入っているから仕事も速いし、そこまで残業もないだろう。

4、処方

薬は原則院内処方。これは患者のためでもあり、調剤料や各種指導を含めて稼ぐこと、院外薬局からの疑義照会対応等で医師の生産性を下げることを防ぐためだろう。
薬剤師から服薬歴のヒアリングがあったのは唯一残念だった。診察の際にカルテ記載およびマイナでお薬情報の提供をしているので、三度手間を招いてしまっているような気がする。
市販薬等を含めた重複処方の可能性を無くすために、最後の砦として薬剤師サイドでのヒアリングは無くせないのかもしれないが・・・
院内処方薬の採用もかなり絞っている。これは、特定の薬剤の使用量を高めることで薬卸・製薬会社との仕入値交渉に役立てつつ、棚卸資産回転率を増加させるためだろう。

5、まとめ

優秀な経営陣、現場スタッフによるDX、タスクシフトが実現できており、保険診療を本当に深く理解されていて、実装されている。
医師・技師・各種スタッフの稼働率を極限まで上げて、患者を回転させないことには高収益をあげることは難しい。患者の待ち時間が問題にされがちだが、病院側からしても待ち時間が発生するのは問題なのだ。
現在の保険診療に対する模範回答を見せてもらい、大変勉強になった。
例をあげると、タブレット問診、医師事務のヒアリング事項の準備、口述筆記、モニターの配置、予約含めた各種システムなど・・・
先行投資が重いため、自院にすぐに実装することは難しいが、本当に素晴らしい運用だと何度も唸らされた。
ありがとうございました(-20k)

おそらくここから先が、この診療所のキモ。1泊入院の患者対応だろう。
個室入院となり、個室の同意書が取得できれば個室代の算定ができる。
また、自費材料の使用もあるとのこと。おそらく相場と比較してべらぼうに高いということはないだろうが、どのように収益をあげているだろうか。
これから手術に臨むことになるが、収益構造を考えられるのは本当に楽しみだ。
筆者の所得(限度額:ウ)であれば高額療養費を適用することで通常の入院なら10万程度で収まる。
自費分含めて20万くらいは覚悟しているがどうなるだろうか・・・
無事手術を終えることができたら書いていきたい。
手術枠の関係でどうも最短でも8月以降になりそうだが・・・

https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
高額療養費制度を利用される皆さまへ  厚生労働省保険局
限度額「ウ」って言っても、まあそんなもんかって反応が返ってくるからいいよね。


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