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#75 記録的なホニャララ/泖

【往復書簡 #75 のやりとり】
水曜日:泖〈アホのおかげ〉
金曜日:くろさわかな
月曜日:及川恵子

アホのおかげ

最近、1月中旬頃からテレビのニュースをつけると、決まって「記録的な大雪となりそうです」というワードが飛び出します。わたしはその度に繰り返し思うのです。
あれ、先週もこれ聞いたぞ、と。
雪が多いことで有名な東北地方に住んでいるはずなのに、ここはニュースに映る豪雪地帯の様子とは違いとても晴れている。雪は降るがすぐにやむ。しかしちゃっかり道路は凍る。だけど晴れているから午後には溶ける。そんな平和な景色とはかけ離れた、各地の記録を更新し続ける様子を見ると日本海側の冬の底力を感じずにはいられません。皆さんの日常生活に支障が出るからそんなに力は出さなくていいんですけどね。

でも記録的な大雪のおかげで、テレビ映像がキャッチした子どもたちは家の前で雪遊びができて楽しそうでした。わたしが小学生の時といえば、大雪で小学校が休みになったことがあるのですが、付近の学校では今はもうそんなことはなさそうです。むしろ感染症対策で休校になるほうが増えている気がします。

日々、これだけ「記録的な」と聞いていると、自分の記録的な思い出を振り返りたくなりました。くろさわさんと及川さんは、過去に自分の中で「記録的なホニャララ」を更新した経験はありますか?

わたしは、高校時代に数学の期末テストで22点を取ったことがあります。しかもただの22点ではないのです。2年2組、出席番号22番がとった、数学22点です。

こんな奇跡ありますか。
ちなみに、22点は人生史上最悪を記録した点数です。
当時の言い訳をすると、わたしは理数系が全くダメな極端な文系生徒でして、にも関わらず22点をとったテストの直前までアメリカにホームステイをしており、全く勉強せずに挑みました。

テスト範囲はサイン、コサイン、タンジェント。
部活の練習に加えて苦手な数学の範囲にも追いつかなければならず、短期間で詰め込むには難しすぎました。結果、テストの感触も悪く点数を見るまで「絶対赤点だ」と落ち込んでいたのですが、テスト返しで先生から名前を呼ばれ「22点」を渡された瞬間、思わず「え!すごい!」と能天気な反応をしてしまい、数学の教師からは真顔で「いやダメっす」とバッサリ切られました。

しかし興奮冷めやらぬわたしは、友人たちに「2年2組22番22点だよ〜!」と言い回り、周りからは「すげぇ!」と労いの言葉をもらいました。女子校はこういうときがすごく楽しい。あの特別でアホな一体感って、もう味わえないんだろうなとも感じます。総合の時間をまるまる使ってフルーツバスケットをして、負けた友人が輪の中でスキップして回りながらB'zのウルトラソウルを熱唱し、それに合わせてクラス全員が全力で「ウルトラソウル!」と叫んだ時間は今でも思い出し笑いすることがあります。

記録的なゾロ目をとったからか、赤点をとっても悲壮感なく過ごしメンタルも上々。やはり、自分の中で記録ができるのはとても気分が良いですよね。ゾロ目ってだけで嬉しくなるのはなんででしょうね。学生時代に悪い成績をとって落ち込むこともあったけれど、今思うとそんなに思い詰めなくても、なんて言いたくなります。

昔、3の付く数字だけアホになる芸人さんがいましたが(落語家に転身したことだけが頭に浮かび名前が全く思い出せない)、その精神力ってすごく大切だなと思うのです。アホになるおかげで乗り越えられることがたくさんあるな、と。

何か悪い記録が出たとしても、極論ですがアホになって乗り越えればいい。反省とアホのバランスを保って生きていきたいです。


追伸。
飼い猫が太ったので今月からメタボ対策のエサに切り替えたのですが、そのエサがとても美味しいようで、以前よりかなりがっついている印象です。メタボ対策できそうにありません。

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