【第1回】 最近の iPhone がでかすぎて片手で操作できない
第1回 お悩みリスナー:吉村 尚子さん /美術作家
(お手伝い:深村 千夏さん)
〈お悩み資料室〉とは?
泖(りゅう)の「お悩み」をお手伝い1名と共に、様々なジャンルの方に直接聞いてもらいます。お悩みは「当日まで内緒」or「事前に公開」を選べます。他者はわたしの悩みや迷いをどんな風に捉え、どんな角度で思考するのか。または、思考しているのか。一緒に考え、あれこれと想像を膨らませます。たぶんお悩みは解決しません。代わりに、きっとなにかが優しくなるでしょう。どうか温かく見守ってください。
※2019年4月12日に公開されたものです
(左:吉村 尚子さん 右:りゅう)
りゅう:さぁ!〈お悩み資料室〉はじまります。第1回目~! めでたいです。よろしくお願いします。
吉村&深村:わ~~い! どんどんどんどんっ!
りゅう:ありがとうございます! 記念すべき第1回目のお悩みリスナーは、美術作家の吉村尚子さんです~! 尚子さんは、この〈お悩み資料室〉の発案者でもあります。ありがたいです。第1回目は尚子さんしかいないと思いました。
吉村:いやいや、そんな。うふふ!
りゅう:尚子さんは「事前に公開」をお選びになりましたが、わたしの〈お悩み〉をもう一度申し上げてもいいですか? ”最近の iPhone がでかすぎて片手で操作できない” です!
吉村&深村:わ~~~い! どんどんどんど~んっ!
りゅう:っていうのも、最近、iPhone を買い換えなきゃいけないんじゃないかっていう事件があったんです。わたし、今は iPhone 6s を使ってるんですけど、充電が全然持たなくなっちゃって。だから、バッテリーを交換してもらおうと思って、アップルストアに相談しに行ったんです。そしたら「もしかしたら、本体の買い換えになるかもしれません」って言われたんです。「おわぁ~~っ……」って、けっこう大きいショックを受けまして。iPhone 6s も大きくて使いづらかったので、せっかく買い換えるのがまた大きい iPhone っていうのが嫌だったんですよ。
吉村:うんうんうん。
りゅう:一応ね、iPhone を預けている間、心の準備をしてアップルストアの店内を見て周ってたんです。最近の iPhone って、実際はどうなのかな~って。で、扱ってみたら、やっぱりわたしには大きすぎて……。できれば片手で iPhone を操作したいんですよね……。わたし、困っちゃったんです。親指が疲れて。親指の限界を感じたんです。
吉村&深村:(笑)
りゅう:「わたしにとって、これはもう携帯電話の大きさじゃないぞ」って思ったときに、買い換えるのが一気に怖くなったんですよ。ほんとに困ってます、親指が。こう…… 自由に動けない感じ……? 今もがんばっているんです、わたしの親指が。
吉村:かわいそう……。
りゅう:ここで、先にわたしの iPhone 遍歴をお話ししてもいいですか?
吉村:はいはい。
りゅう:わたしね、最初に使った iPhone 3GS が一番好きだったんです。
吉村:ほうほう。
りゅう:いい感じにちっちゃくて、背面に丸みがあって、手にフィットするのが好きでずっと使ってたんですけど、故障しちゃって仕方なくiPhone 4s に変更したんです。でも、また使えなくなっちゃって。ちょうど仕事を探そうと思ってた時期だったから、これからのことを考えて当時一番新しいモデルだった iPhone 6s に買い替えたんです。けど、 iPhone シリーズを長く使っていけばいくほど「使いづらいな」って実感するんですよねぇ~。
吉村:ふむふむ。
りゅう:早く iPhone が小さくならないかなぁ~って思ってるんですけど、全くならないんです。最小化・軽量化の時代なのに! で、尚子さんって一時期 iPhone を使ってたけど、ガラホに替えたじゃないですか。
吉村:そうなの。これ(ガラホを見せる)。
りゅう:まず「ガラホ」とはどういうものなのか、お聞きしてもいいですか?
吉村:はい。「ガラホ」とは、ガラケーとスマホのハイブリッドです。
りゅう:おぉ~(パチパチパチ)。
吉村:アプリは最初から LINE しか入ってなくて、後からアプリを入れることはできないのね。ネットは普通に見られる! ただ Google マップとかは立ち上げることができないっていう……。でもとにかく電池の持ちがすごく良くて、3日ぐらい放っておいても大丈夫なの!
りゅう&深村:えぇ~!
りゅう:iPhone からガラホに替えたきっかけはあったんですか?
吉村:いや~、もうめちゃくちゃあって(笑)。ドイツで盗まれたの、iPhone 。ドイツで盗まれる前の数ヶ月間、充電が全然持たなくてね。充電器を iPhone と一緒に持ち歩いて、ずっと繋げていなくちゃで。 iPhone とわたしが内臓で繋がっているかのように、ずっと充電器の紐がズルズルとわたしから出ている状態で過ごしていたんだけど。そんな末期的な状態のころ、ドイツで盗まれたの。
りゅう:へぇ~。
吉村:でもね! 初めて行く場所とかで待ち合わせをする時も、なんとか待ち合わせ場所に行くことができたし、待ち合わせも成功したのね。
りゅう:それはすごい!
吉村:それがガラホに替えたきっかけ。iPhone ってすごい便利だから「これがあればどこにでも行けるかも!」って方向音痴なわたしはついつい頼っちゃってた。けどね、便利すぎるから自分の本能が退化していくんじゃないかって感じたの。
りゅう:なるほど~。それで言うと、なんで私が iPhone にこだわるかっていうと、音楽なんですよ。PC と同期しやすい。あと、iPod・電話・メール・SNS・カメラとか色々、全部ひとつで済ませられるのが便利で使ってるんです。
吉村:うんうん。それはわかる。
りゅう:あと、地図。
吉村:そう、地図なの! わたしも正直、一番の問題は地図……。待ち合わせ場所にたどり着けないのが一番困るからね。
りゅう:ちょっと前にお話した時に、駅の連絡掲示板が便利って言ってましたよね。
吉村:そうそう!
りゅう:連絡掲示板を活用できる人、めちゃくちゃいいな~と思って。大学生のときに友達と京都に行ったんですけど、その掲示板がまだ使われている小さい駅があったんです。その掲示板をよく見ると『〇〇さん。私は〇〇にいます。』って書いてあって。単純かもしれないけどロマンチックだなぁ~、って感心したんです。
吉村:すてき~! 連絡掲示板、復活させてほしいぃ~!
深村:そういう「もどかしさ」みたいなのって、すごいドラマチックですよね……。
吉村:ほんとにそう。iPhone ができる前は「もどかしいドラマチックさ」が色んなところに溢れてたと思うの。わたしが iPhone 使ってた時に、一番重宝してたのは Shazam って曲名検索のアプリなんだけど。「なんて便利なんだ!」と思いつつも、Shazam ができる前って、たまたま流れてた知らない曲の名前とか「絶対に分かりっこない!」ってことが多くて。その分かりっこないものが、何かのきっかけで10年後に分かった時の異常な感動と奇跡感て…… もう… すごいのよ……。Shazam があれば分かるのにって頭に浮かんじゃう時点で「あの感じはもう味わえないなぁ~」って切なくなる。失われた感覚になっちゃったな~って。
深村:それ、すごくわかる~。今って情報が溢れかえってるし、しかも無料で分かっちゃうから。そこまで必死に情報を探さなくてもいいんだよね。
吉村:そう! 必死さ!
りゅう:でも、iPhone がもたらした奇跡もあるじゃないですか。たくさんのものが便利になって生活しやすくなったのは事実だし。その奇跡を私は捨てたくないんです。
吉村:ほうほう。
りゅう:いや、しかしね。でかすぎるの! それにしても、でかすぎるの! 親指が疲れてしまうんですよ!
吉村&深村:(笑)
吉村:じゃあ逆にいうと、きっと指を自由自在に動かすことができればいいのよね。器具を使うのがいいのでは?
りゅう:器具? 詳しく聞きたいです。
吉村:要するに手と iPhone が固定されつつ、指が自由に動けばいいってことでしょう? たとえば腕輪みたいなものに、机をつけるみたいな感じで……。うふふ。で、その机に iPhone が付いてて、まるでキーボードかのように操作するの。イメージは、腕元から iPhone が「ジャっ!」って出てくる感じ。すごい良くない? うふふ。
深村:それだったら片手で iPhone 操作できるよ!
りゅう:そういうの少年漫画でよく見る!「シャキ~ン!」って!
吉村:アップルウォッチみたいで、すごいかっこいいじゃない! 名付けてアップルデスク!
りゅう&深村:(笑)
りゅう:アップルデスクの効果音は「スチャッ!」だね。スチャッ!
吉村&深村:(笑)
吉村:なんかこう、蛇腹とかマジックハンドの伸びる部分を使って。その人の手の塩梅に合わせて……。
りゅう&深村:スチャッ! スチャッ!
りゅう:それ、いいかも……。収納可能ですもんね。しかも、iPhone は無くさないし。
吉村:かっこいい!
一同:スチャッ!!!
りゅう:「いでよ!アップルデスク!」ってね。
吉村&深村:かっこいい~!!
りゅう:「いでよ!」って言いたい!
吉村:「メールきた!スチャッ!」ってなるんだろうね。
りゅう:それかっこいい~! メールが来るたびに「いでよ!スチャッ!」ってね。
吉村:「いでよ!」って言いたいわぁ……。
深村:ちなみに、このサイズ感はどう? わたし iPhone SE 使ってるよ~。
りゅう:サイズ感はいいんだけど、形がそこまで好きじゃないの……。なんか、優しさがないというか……。
吉村&深村:優しさ……(笑)?
りゅう:角が立ってると手にフィットしなくて……。たぶん、自分のものじゃない感があるの。iPhone 3GS が良かったんですよねぇ~。「もしもし~?」ってする時の、あの手にフィットする感じ。
吉村&深村:なるほどね~。
りゅう:「そもそも携帯の役割ってなんだっけ?」って立ち返ると、究極のところ電話とメールが役割だと思ったんですよ。そこに地図アプリ、音楽アプリとかがあれば、すごい便利なのは確か。その一方で、備え付けでは必要ないアプリも増えてて。アプリが多くなるとホーム画面を1枚、2枚とスライドして表示できるじゃないですか。わたしの場合は一画面で間に合ってるんです。余計な備え付けのアプリとかはいらないんだけどなぁ。ヘルスケアみたいなのもいらないし……。
吉村:ヘルスケア?
深村:睡眠時間とか、歩いた距離とか、勝手に記録されているんです。勝手に!
吉村:なんとお節介な!
りゅう:しかも、ヘルスケアの情報って必ずしも全部が正しく管理されているわけじゃないと思うんです。休みの日とかね、わたしはあんまり部屋から出ないんですよ。インドア派なんです。でも、コーヒーとかお菓子をキッチンに取りに行ったり、トイレに行ったりとかで必然的に歩くじゃないですか。家の中ぐらい。ある日、何も考えずに1日の終わりにヘルスケアのアプリを開いてみたら「10歩」ってなってて(笑)。そんなはずはないんですよ。部屋の中にずっといるからって、常に iPhone は持ち歩かないし。
深村:少なすぎる(笑)。
吉村:持ち歩かないんだもんね~。
りゅう:そう……。わたしは iPhone に依存していない分、シンプルな機能で十分足りるの。自分に必要ない機能がどんどん増えて、それに比例してサイズが大きくなるから困ってるんです。
吉村:なるほどね~。
りゅう:しかも、この間気づいちゃったんです。わたしね、車の中でよく Apple Music を使うんですよ。いざ帰宅すると、そのアプリがわたしに『自宅に到着しました』ってわざわざ報告するんです。地図アプリを立ち上げているわけでもないのに。
吉村&深村:こわいぃ~~~!
りゅう:「そんな機能を増やすなら小さくしてください!」って思わずにはいられないんですよ。携帯としての機能よりプラスαの機能を重視しはじめてるのでは、とも思うわけです。ゲームとか。
吉村:たしかに、みんな iPhone でゲームしてる~。
りゅう:たぶん、わたしには PC と機能がシンプルな小さい iPhone だけで十分なの。タブレットとかも特に必要ないし。世の中にハイクオリティな機能が増えすぎて全然ついていけない人もいるから、ここに(笑)。
吉村:大きな iPhone 時代に自分がついていくってよりは、もう iPhone 自体を変えてしまいたいということね。
りゅう:全員が時代の先には追いつけないんですよ……。INFOBAR みたいに復刻されてる機種もあることだし、わたしは復刻するかもしれない10年後の iPhone 3GS に賭けます。
深村:もう開発担当とかになるしかないんじゃない? 企画する側から。内から攻めよう!
吉村:たしかに、たしかに。
りゅう:アップルの新入社員になるってこと?
吉村:そこで iPhone 3GS の素晴らしさを演説するとかね。
りゅう:全ては iPhone を小さくするために!
深村:仮にその情報を小耳に挟んだら「いよいよあいつ動き始めたな」って思うよね(笑)。
吉村:うんうんうん。
りゅう:手始めにアメリカに留学する?
深村:アップルの幹部とか、上層部の関係者と会える可能性は上がるよね。
りゅう:これからの未来の展望としては、アメリカのアップル社で力をつけて日本に帰国して。その5年後にアップルからパワーアップした iPhone 3GS をローンチすると。ゆくゆくは私が iPhone 3GS 担当者として日本のアップル社に一部署を設けましょう。
深村:伝道師ですね(笑)。
りゅう:そう、3GS の伝道師! わたしの役職は何にしようかな~。
深村:伝道師ですよ、伝道師。
一同:(笑)
りゅう:どういう服着ようかなぁ~。やっぱりタートルネックとか着た方がいいかなぁ~。
吉村:そうね(笑)。
りゅう:早速イッセイミヤケにオーダーしましょうか。
吉村&深村:(笑)
りゅう:ジョブズさんが黒だから、わたしは白にしようかな~。
深村:カラーリングは変えてかないとね!
吉村:その時にこの記事が掘り起こされたりして……。
りゅう:人生うまく転がったな、ってね。
吉村:こうなったら 3GS に人生を注ぐしかない!
りゅう:ず~っと 3GS の復刻版を出し続けよう! 画素数が格段に上がった 3GS! そうすれば解決かも~!
吉村:たしかに~! 解決~!
りゅう:解決、するのか(笑)? でも、これが〈お悩み資料室〉のいいところ!まずは明日から白いタートルネックを着よう。
吉村:そういうことだね!
りゅう:トレードマークにしてかないとね。
深村:形から入るのね(笑)。
吉村:ちなみに、その iPhone 3GS の亡骸はもうないの?
りゅう:あるんです。ず~っと、とってあるんですよ。
吉村:そしたら、それをまずストラップにして……。常に、心に iPhone 3GS を……。
りゅう:なんならブローチにしてみます?
吉村:いい!!
りゅう:我は 3GS と共に! わたしの場合、フォースが iPhone 3GS を想う気持ちになるわけですね。
吉村:白いタートルネックと共に iPhone 3GS のブローチ! すごく意志を感じる~!
一同:(笑)
りゅう:お悩みが解決したのかどうかはさておき(笑)。でも、未解決を良しとするのが〈お悩み資料室〉なので!
吉村:資料ですからね!
深村:そうですね!
りゅう:では、第1回〈お悩み資料室〉はここでお開きにしたいと思います。ありがとうございました~!
吉村&深村:ありがとうございました~!
- 終 -
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