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#20 憧れのワンシーン/泖

【往復書簡 #20 のやりとり】
月曜日:及川恵子〈まだまだ素人なので〉
水曜日:泖〈女でいることに疲れたわたしへ〉
金曜日:くろさわかな

女でいることに疲れたわたしへ

25歳を超えてから、わたしの意思とは関係なく周りから結婚を急かされる場面が増えてきました。

料理が好きだと言えば「もう嫁に行く準備はできているのに」だの、なんの脈絡もなく「誰かいい人いないの?」だの、結婚したいとも言ってないのに「早くお金持ちを捕まえなきゃ」だの、余計なお世話を受けることが多々あります。
特に親族はやっかいで、世の中でいう結婚適齢期のわたしは腫れ物扱いされているなと感じることが多くなりました。

結婚しないと一人前になれないのか。彼氏や夫がいないと、幸せにはなれないのか。いまが一番幸せだと言っているのに、なぜそんな不憫そうな顔をされるのか。なぜその顔に勝ち誇ったような表情も含まれているのか。

わたしが魔神ブウだったら、結婚第一主義者をお菓子にしてそのまま腐らせてやるのに。

女でいることが面倒くさい。女でいることを楽しみたいのに、時々周りがそれを許さない。そんなに結婚って重要なのでしょうか。わたしはあまり結婚に良いイメージがありません。でも、結婚とは限らないけど、あるワンシーンには憧れがあります。

『恋ノチカラ』というドラマをご存知ですか?

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2002年に制作された恋愛ドラマで、深津絵里が主演を務めているのですが、第一話の冒頭で流れたモノローグがとても有名です。ドラマのセリフも印象的なものが多くて、メモをしたくなるくらい唸るものばかり。

わたしはこのドラマがずっと好きで、ストーリーも面白いのですが、何よりも主人公の本宮籐子(深津絵里)がものすごくかわいいのです。

仕事が終わって帰宅すれば、ラクな部屋着に着替え、ワインのボトルを開けながらポテチやチーズなどを頬張り、夜な夜な録画を鑑賞する日々。

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そんな籐子は、元彼とのデートで、話に夢中になってしまった挙句、コーヒーを13杯もおかわりをした過去があります。ドラマのラストでは、晴れて籐子と貫井さんの想いが通じ合うのですが、ここがポイント!!!

籐子と貫井さんが、ファミレスらしきところで向かい合いながら楽しそうに会話している場面がラストシーンになっているのです。

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わたしのファミレス好きはここから始まっていると言っても過言ではありません。学生時代、心から気を許せる人間がそれほど多くなかった自分にとっては、ファミレスで長い時間一緒に楽しく話ができる人がいることに、とても羨ましく思ったのを覚えています。

それは「そういう恋人が欲しい……」ってことだけじゃなくて、友人にも言えます。当時は、特に友人という比重のほうが強かったかもしれません。

ファミレス で13杯もコーヒーをおかわりするってことは、何時間一緒にいても、疲れないし、退屈しないってことですよね。

学生のときは「この先そんなことできる人たちと出会える自信ないわ」って思っていたのですが、わたしは運よくファミレスでコーヒーを何杯もおかわりできる友人たちと出会えることができました。

このドラマを思い出すと、必ずと言っていいほど、籐子が元彼とファミレスでコーヒーを13杯もおかわりした話が頭に浮かびます。

結婚にあまり憧れはないのですが、あのシーンだけはとても羨ましいなと思います。”デートはとりあえずファミレスのドリンクバー”って、ものすごくいいじゃん。

周りから”結婚しなさい”光線を浴びせられ、もはや恋愛というものになんの魅力も感じなくなっているわたしですが、『恋ノチカラ』を観ると「恋愛もいいかも!人生楽しむぞ〜」と元気をもらうことができます。

結婚という形じゃなくても、恋人でも、友人でも、あのファミレスのシーンが世の中にたくさんあれば幸せじゃないですか?
それだけじゃダメなのかな。

それがダメだとしたら、わたしはまだまだ大人にはなりきれていないんだと思います。もしくは、わたしが大人になろうとしていないのかもしれません。

わたしはだいぶロマンチストだな。


追伸。
朝ドラの『おちょやん』にハマりました。

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