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#55 これさえあれば/泖

【往復書簡 #55 のやりとり】
月曜日:及川恵子〈0, 100, 0, 0〉
水曜日:泖〈くさいものの蓋をとれ〉
金曜日:くろさわかな

くさいものの蓋をとれ

わたしの食事には欠かせない調味料があります。

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もうお分かりですね。
そう。ナンプラーです。

ここ最近、わたしはあらゆる食べ物にナンプラーをかけまくっています。
蒸したジャガイモ。メンチカツ。野菜炒め。チャーハン。そうめんのつゆ。冷や奴。スープ。納豆ごはん。卵かけごはん。その他いろいろ。
もう、ナンプラーがないと物足りなく感じる域まできています。
「エスニック料理が好きなのに、辛いものが苦手」という矛盾からナンプラー好きが加速している可能性もあります(ちなみにパクチーも好き。一番好きなエスニック料理は海南鶏飯)。

食事をするわたしの近くには、必ずあるナンプラー。それは、手を少しだけ伸ばすだけで、いや、手を伸ばすというよりは肘を力点にして腕を上げ下げするだけでナンプラーを手にできるほどの距離です。

自らの側近の如くナンプラーを置いているもんだから、なんでもかんでもナンプラーをかけようとしてしまいます。ナンプラーの使い方が合ってるかは不明。使い方があったとしても、すでに自分のナンプラースタイルを築いているのでいまさら正すことはできないかもしれません。

自宅のキッチンでナンプラー料理を作ったあとは、換気扇を回していてもかなり高い確率で父親から「くっせ!」と言われます。

たしかに、くさいかもしれない。くさいのは認めましょう。
しかし、わたしは自宅のキッチンにナンプラー臭をまき散らかすのをやめるつもりはありません。

だって、くさいものの蓋をとることって大事だと思いませんか?

入管で衰弱死してしまったスリランカ人女性のご遺族が「本当のことを知りたい」と情報の開示を要求したのにも関わらず、出された書類はほぼ全てが黒塗りで、監視カメラの映像は短時間に編集されたもの(短時間に編集されているとしても内容が怒りを超えて悲しみや憎悪を生み出すほどひどい)。

森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で自殺してしまった赤木さんの配偶者の方が「真実が知りたい」と情報の開示を請求をしているのに、未だ全ての情報が開示されず、ご遺族の気持ちが置き去りにされています。

さらには、現首相の会見では記者からの質問は全て受け付けず、自身にとって都合の悪い質問をする記者には睨みをきかせ威嚇し、ぶら下がりもさっさと切り上げる有様。

「明かりは、はっきりと見え始めている」と言うけれど、緊急事態宣言の対象地域が拡大する中でどんな希望が見えているのだろう。

くさいものに蓋をした暁には、何があるのか。わたしは未だかつてないほど絶望しています。

絶望はしているものの、わずかな光を頼りに、わたしたちは生きていかなければなりません。絶望感や無力感はあるけど、それでも選挙に行くことはやめてはいけない。

わたしが祈りを込めてナンプラーの蓋を開け続ければ、今よりも救われる人は増えるでしょうか。


追伸。
つい先日、ワクチン接種1回目が終わりました。
注射が嫌すぎて、看護師さんに軽く駄々をこねました。だけど看護師さんは最後まで優しく笑顔で対応してくれました。2回目は大人の余裕を持って看護師さんに気を遣わせないようにしたいとおもいます。

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