敵からの目線でDUCEを語る

<この文章は実は今年の五月くらいに書いていてお蔵入りしていたものをもったいないからという理由で加筆修正したものである>

改めて言っておくと、私はDUCEに所属したことはないし、はっきりいって敵対関係にあった人間だ。だから具体的な内情は知らない。

改めて言っておくと、私のことを彼らがリスペクトしてくれていたかはともかくとして、私は少なくともここ数年来のWOTのクランについて論じるときDUCEを語らないということはあり得ないと思うくらい、かのクランの運営手腕の高さについてはリスペクトしている。

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昔レインボーに対して、量と質のバランスを重視しろという文脈で話をしたときに、真っ先に引き合いに出したのはDUCEだった。

DUCEはとにかくラッシュを好んだ、しかしそれは打算ありきの戦法だったと思う。DUCEの当時の中堅プレーヤーは、ATLUSなどと比較してPSという点においてはそこまで優勢ではなかった。むしろ確実に劣後していたと思う。

「多くの戦闘」をこなし、「ある程度勝つ」ということは案外難しい、勝つためにはブリーフィングをしっかりとすることが一つの解だが、それでは多くの戦闘をこなせない。ではブリーフィングを少なくするためには、有力なプレーヤーだけでそろえる必要がある。ただ、それはアジアのトップでも無いクランにはそんなことはできない。

その一つの解は、「ラッシュタク」の採用だったと私は考えている。

当時ATLUSの運営をしていた私は、幾たびも綿密に出した部隊がDUCEの糞みたいなラッシュに飲み込まれて負けるのを目撃し、絶望したものである。限られた資源を効率よく運用するという選択肢において、「ラッシュ」に全振りするということは合理的なアンサーだ。ラッシュは必勝の方法ではない、しかし勝つ確率を相当程度自分たち側でコントロールできるという意味においては価値を有する。(よくDUCEに負けたらパルプンテされたって言ってたなぁ)

DUCEというのは、参加者に等しく戦闘に参加する機会を与え車両獲得権を最終的に全員確保させるという戦略的目標を、限られた資源でできることとして「ラッシュタク」という戦術に落とし込んでつなぎ合わせていたという点において合理的なクランだ。

昔のBLIGE・BERYLもなかなか系統としては似ているが、首尾一貫とした動きと戦略があったかというと、はた目から見てそうは思えなかった。戦略はあっただろう、しかしそれを戦術レベルとうまくつなぎあわぜていたかというと、私にはそうは思えなかった。後継クランとして位置づけられるが、その意味での評価は全く異なるものとなる(だからこそ、ついぞ傑出した業績を残すことなく破綻したわけであるが)。

DUCEは、育成クランという側面もあった。まぁ、DUCEに入ってくるのはすぐ使い物になるというレベルの人たちばかりではなかっただろう。しかし、そういうメンバーを育て上げることについては抜きんでたものがあっただろう。

実際その後爆発したことも関係するが、DUCEを経由していろんなクランの主力になった人間は数えきれない。そういう意味で、DUCEの系譜はいまだに生き続けている。

何はともかく、アジアサーバーの歴史において、戦略と戦術それが首尾一貫し破綻せず、なおかつ一見するとがさつなようで緻密なクランというものはなかなかに存在しない。Totu.jpという情熱的なリーダーとMurtmaというその青写真を緻密に描き切る参謀というWOTの歴史を振り返っても名コンビであったと思う。

そのライバルクランであるATLUSはいまだに、戦略と戦術の首尾一貫性は確保されておらず、場当たり的なものにとどまってしまって殻を破れていないという点を考えると、いまだATLUSはDUCEに対して運営面という点については超克していないというべきかもしれない。まぁ余計なお世話だが。

LIFE、MYTH、TEAL時代の私とレインボーの関係も似たようなものがあったが、彼らのように棲み分けがうまくいっていたかというとそういうわけではない。今から思うと、同じ夢を二人とも見ていたわけではなかったと思う。それについては、私が夢見た理想をいつか語るにつけて話したい類の話だが(これについてはなかなか言語化するのが難しいがいつか書きたいと思っている)。

もっともな話、jpのような情熱のあるリーダーと戦略と戦術を破綻させずに描写するMurtmaという存在は、もう現れないだろう。すくなくとも同時必然的に表れることはなく、片方がいて片方がいないなんて状況しか起こりえないんじゃないかと思う。それだけ、今のWOT界隈には、情熱と官僚的な細目に拘らず全体を俯瞰できる人材が乏しい、そしてそれを生み出す界隈全体の活気が足りないと思うのである。少なくなくとも私は、そこに期待をかけるほど若さを感じることはできなくなっている。

ただし、そこにまだ夢を見ている人間にとって、DUCEというクランの足跡はいまだに参考になるートップクランではなく、中堅クランでもなくその中間を模索する人々にとっては―試みであり存在であり続けると思う。育成クランであり、Competitiveであろうともした、類を見ないクランとして示唆を与え続けていくのではないかと思う。

実の話を言うと、外人(例えばFORTのTyrionやC_UのAngelina)にこのDUCEの話をするとすごく興味深く聞いてくれるのである。DUCEという存在は日本人のみならずアジアサーバーのクラン運営についていまだ考慮されているものであることを付け加えて結語としたい。

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