2020年サッカーノートNo.7~アウクスブルクvsドルトムント~ 衝撃のハーランドデビュー

ブンデス後半戦開幕の2つ目。
アウクスブル対ドルトムント。
アウクスブルは11月から負けなし。前半最終戦のライプツィヒに負けただけと調子を取り戻している。
前プレスも撤退守備もある程度整理出来て中々にソリッドなチーム。
ドルトムントも3バックにしてから復調。
しかし、アウェイでは4勝1分5敗と負け越している。苦手アウェイで勝てるかがポイント。
そして、ハーランドデビュー。こちらにもサブタイトルつけてしまった…

スタッツ

スタッツ

スタメン&サブステトゥート

スタメン

ベンチメンバー

前半

ドルトムントは3-4-1-2
アウクスブルクは4-2-3-1

序盤は3-4-2-1で保持するドルトムントに対して
アウクスブルクは4-4-2で前プレス。
3バックには2トップ+SHで対応。
SHが上がらない方に誘導するアウクスブルク。
WBにはSH余っているSHが対応。
ボランチにはボランチが対応する。

序盤支配するアウクスブル

序盤のポイントはドルトムンがアウクスブルの前プレスをどう外すかだった。その突破口はボランチのところで、ボランチがボランチ対応する仕組みでアウクスブルのボランチがドルトムントのボランチを見るのには時間がかかるので、一瞬だけ時間がある。そこから逆に展開したい。
というのがドルトムントの狙い。なので、ダフートでは無くブラントがボランチ。実はドルトムント、結構なファイアーフォーメーション。

4分に前プレス外してチャンスを作るものの一度外したあと、
アウクスブルはドルトムント左HSに入ってくるボランチだけをケアすればいいと見切る。 これは正解。右のハキミは縦ゲレイロほど作れないから。
ということで、左HSをケアするためにDH1枚を高くしそのスペース監視する。
これでドルトムントは窒息死。

ドルトムントの問題点

ちなみに、ドルトムントの右は謎。
ハキミは大外タスクしか出来ないので大外ハキミに任せればいいのに
2トップ(特にアザール)が大外に流れてきてしまうので、右の大外は渋滞。
ハキミは行くところなくてとても困っていた。
ゲレイロなら中でもIHタスクが出来るためそうなっても問題ないのだが…

窒息死しているドルトムントはビルドアップ安定させるために、全員のベクトルが自陣に向く。これによってアウクスブルは狙いどころ絞れ、前プレスがより発揮できる。序盤はアウクスブルペース。

なお、アウクスブルがボール保持するときのDFラインが低い。
というか非保持の時よりも低い位置のが面白かった。これは、ボールを低い位置でわざと持つことでドルトムントの間延びを要求してたりするのだろうか。確かにアウクスブルはラインの裏へ蹴っ飛ばすだけなので、保持時に間延びしててもかまわない。むしろ、ドルトムントが間延びしていることでセカンド奪いやすくなるのかもしれない。このあたり興味深かった。

耐えたドルトムントの反撃と落とし穴

なお、この前プレスは25分で終了。
やはり、90分は続かない。なので、442で撤退モードに変化するアウクスブルク。442の撤退はペナ幅での撤退。スライドはあまりしない。大外は自由にやらせても中で跳ね返す意図が強い。
ま、ドルトムントの2トップ見るとそうなるよね。と
ただ、それでもCB-SB間が空いてローポスト侵入させてしまうケースがあってこれを利用してドルトムントは決定機を作る。

前プレスには手も足も出ないドルトムントだったけど、
撤退モード時ならばドルトムントが優勢。
そんな時間帯に、アザールのパックパスがズレてバルガスの元へ。
バルガスはピシュチェクを抜いてクロス。
クロスにニーダーレヒナーが合わせ、ドルトムントの時間帯にアウクスブルが先制する。
この失点の仕方はとても気に食わない。
さっき言ったように右サイドの仕組みの問題。アザールが流れてハキミのスペースを消して渋滞。そこから詰まってミスってカウンター食らう。
みたいな。さすがに無秩序すぎる。

先制後アウクスブルは442の撤退ペナ幅で守る

アウクスブルは先制後ハッキリとした442の撤退。
ゴールレス時とは違い今度はSBが大外に引っ張られない。
大外のケアはSHが下がる。これが勝っている余裕。

ドルトムントはクロスまではいけるが、中はサンチョ、アザールの2トップなので何も出来ない。高さで勝つならヴィツェルをペナ中に送り込みたいが、相方がブラントなのでカウンターのケアのためそれも出来ず。
手詰まりで前半終了。

この状態を解決するにはハーランド投入しかなさそうな感じ。
新加入の19歳に勝ち筋を委ねるドルトムント。辛い…

後半

カオスな立ち上がり

アウクスブルが後半のキックオフから30秒で追加点。
CBに下げ、ロングボールを前線に送り込む。それをアカンジがクリア。
しかし、このクリアがリクターの足元へ。
そのリクターが思いっきりロングシュートを放つとゴールネットが揺れアウクスブル追加点。
アカンジのクリアは競り合う相手いない単独だったからもう少しなんとかしたかった。こういう小さなミスが失点に直結するドルトムント。辛い

しかし、2-0になったことでアウクスブルは守る意思が強くなりすぎた。
4-4の2列が共にペナ中に入ってしまった。
引きすぎた代償として、セカンドボールをドルトムントに与える事になる。
セカンドを拾えるドルトムントは2次攻撃3次攻撃と繋ぐ。
そして、最終的にはDHのブラントまでペナ中侵入を許してしまいブラントが強烈なシュートがGKの手をもはじきゴールネット揺らし、ドルトムント追撃。

ドルトムントの修正点

アウクスブルが引きすぎた事が大きな要因だけど、ドルトムントも前半より変化が見れた。
それは2トップの動き方。前半は大外に出るときにどうしても下がってしまったが、後半は大外に出るときはラインの裏へ出るように修正。
これによってWBのスペースを確保し渋滞の原因を解消。さらにDFラインを下げる効果もあった。これはひとつ大きな改善点だったと思う。
また、こうする事で次の手もようやく見えた。
FWが大外出ると、FWが空けたスペースにロイスが飛び込み2段ロケット。
2トップは実はダミーでゴールを決めるのはロイスです。っていう設計だった。2トップなのに設計はほぼ0トップ。
作りはロイスシステムであった。

ネガトラが良くないところを突くアウクスブル

2-1となったがアウクスブルは慌てない。
もしろ良かった時間帯を取り戻す。前からプレスかけて奪ってカウンターが再び戻ってくる。

この姿勢がアウクスブル3点目に繋がる。
ドルトムントは大外に流れるサンチョ起点。そして、サンチョのスペースにロイスが入る。このロイスへのパスをカットし、アウクスブルのカウンターに
なお、このネガトラ時ドルトムントは結構ひどく、
ロイスの空けたスペースにブラントが入っているためボランチはヴィツェル1枚。さらに逆サイドWBハキミも高い位置とっているので
ネガトラ時に後ろに残っているのはゲレイロとヴィツェルと3バックの5人。
ゲレイロがパスで外され、残るは3+1。
ハキミの戻りが遅れ逆サイドに運ばれた時にピシュチェクのところで2対1を作られる。
この数的有利を活かされイェンセン折り返しからニーダーレヒナーが決めドッペルパック達成。これで3-1 再び2点差へ

ハーランド投入ですべてが変わる

再び2点差になったところでハーランド投入するドルトムント。
下がるのはピシュチェク。4-2-3-1に変更。
これでドルトムントはウイングが高い位置の大外で起点を作れるようになる。そして、サンチョがスピードを持って中にカットインしてくると4-4のブロックさえ壊す怖さがあるので、SBがスピードに乗せないように対応せざる得ないので大外に引っ張られる。そして、SB-CB間が空いたところを逃さないハーランド。
サンチョとハーランドできれいなHS攻略からハーランドが一閃。
逆サイドのネットを揺らす。これで3-2再び1点差。
ハーランドたった2分で1ゴール。恐ろしい。

さらに、フンメルスの縦パス1発で裏抜けしたサンチョがGKを交わして
たった2分で同点。なお、サンチョじゃなくてハーランドでも裏抜け決まっていたと思われる…恐ろしい。
ここまでハーランド投入からたった5分の出来事である。恐るべし。

ハーランドはSB-CB間やCB-CB間の隙間を見つけるのがとにかく速い。
そして、動き出しが速いので出し手もすごく出しやすそう。

同点になって異様な雰囲気が漂うWWKアレーナ。
アウクスブルはその雰囲気にのまれる。落ち着きたいが落ち着けない。
72'にはヴィツェルが対角線フィードからアザール弟がDFラインの裏抜け。
アザールは独走からGK抜いてハーランドへプレゼントパス。
ハーランドが無人のゴールに流し込みドッペルパック。
3-4 ついにドルトムント逆転。

リードしたドルトムントだが、1点じゃまだゲームがわからないような雰囲気。
守備がかなり怪しい。
怪しい点は2つ。

1つ目はCB-SB間の管理。ここが空いてHSが空いてなんやかんややられるケースが幾度かあった。

2つ目は2DH脇がのケア。DH脇が空いてここを起点にされる。このスペースをだれが見るか決められていないのでどうしてもここ起点から大外。
SB引き出されてCB-SB間のHS侵入を許してしまう。
なので、ゲームはまだまだ動く。1点じゃわからないそんな雰囲気。

そして、ハーランドが勝負を決める

なので、ハーランドがハットトリックすればっ!みたいなことを半分冗談、半分本気で思っていた。
そして、それを実現させてしまう。本当に恐ろしい子であった。
ドルトムントの自陣からのロングカウンター。
アウクスブルの右サイドのクロスをクリア。クリアしたボールがロイスの元へ。
ここでアウクスブルはDH1枚が上がっていて中盤が1枚になっていたため簡単にロイスに前を向かれる。
そこからDFラインのギャップからハーランドが裏抜け。
GKとの1vs1を落ち着いて制してなんとハットトリック。
3-5!2点差に。
2点差になったところでロイスに代えてダフート。
ブラントがトップ下。ダフートとヴィツェルの2DHで散々やれたDH脇も蓋をする。

アウクスブルは2点差になって運動量も精神的にも限界を超えてしまった。
残り10分ほぼドルトムントがボールを支配し試合終了を迎えた。
デビュー戦の19歳の若者がこのゲームを決めてしまった。
恐るべしデビュー戦であった。

最後に

ドルトムントについて

今季のドルトムントを象徴するような前半の失点と2点目の失点。
細かいミスが失点に直結してしまう。
これはロイスもピシュチェクも指摘してたことだけどどうしても治らない。
たぶんそれはチームとして整理出来てないところがあって色々ズレちゃうからなんだと思うけど、どうも個々が頑張って死んでしまう。みたいな雰囲気がある。
そんな雰囲気すらもぶっ飛ばすハーランドのデビューであった。
もちろんウイングで起点作れてSBを引き出せたことも大きいけど、
それも含めてハーランドがすべてを吹っ飛ばした。といって良いでしょう。
恐るべし。ハーランド。ちょっと伝説的なデビュー戦になり、次回から先発になるんだろうなと思う。

アウクスブルについて

久しぶりに見たけどだいぶ整理されていた。
前プレスで嵌めるときと442で撤退するところと整理されていて、
ロングボール設計も出来ていた。
そこからニーダーレヒナーがきっちり決める。
確かにこれは強いし復調している理由がわかる1戦だった。
普通のゲームであれば勝てたと思うがすべてをハーランドにもっていかれてしまった。
アウクスブルは定期的にドルトムントにトラウマを植え付けられる。
オーバメヤンのデビュー戦ハットトリックもアウクスブルであったし、
香川の4アシストもアウクスブルであった。
これで、ライプツィヒ、ドルトムントと連敗したわけだが、
この試合に関しては負けてなお強しの印象。
現時点で10位だが、この勢いを保てばEL争いには加われるのではないだろうか。そんな出来であった。

ハイライト


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