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『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の魅力は、ロシア語だけじゃない!

今回紹介したいのは『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』、略して『ロシデレ』。アニメ版が今年の夏にスタートします。

この作品はタイトルで「ロシア語のデレが最大の魅力!」と明言しているようなものですが、

私としては「ロシア語デレ」だけじゃない、というのが本作最大の魅力だと思っています。

この記事ではそんな感じの内容をお話させて頂ければと思います。

あらすじ

(コピペなので読み飛ばしてもらっていいです)

久世政近の隣の席に座るアーリャさんは、いつも彼に対して冷ややかな目線を向けている。

けれど、時々ボソッとロシア語で彼にデレていて……。
その言葉を政近も聞き逃しはしない。
なんと、政近はロシア語のリスニングがネイティブレベルだったのだ!!

気付いていないと思い込み、時々デレるアーリャさん。
そして、その意味を理解しながらも、気付いていないような振りをする政近。

ニヤニヤが止まらない、二人の恋模様の行方は——!?

TVアニメ公式サイトより

「ギャップ」を重視した、キャラの内的造形

この作品を読んでいると、キャラクターのギャップで読者を引き込むのが上手いなぁとつくづく感じます。

例えばアーリャさんの場合だと、
最初は「怠惰な主人公に厳しいクールキャラ」として登場し、その後「ロシア語でこっそりデレる」というギャップを見せてくれます。

ここからさらに、

  • 高いプライドに起因する「(傍から見れば異常なまでの)ストイックさ」「融通の利かなさ」だったり、

  • それ故の「深い孤独」

といった、キャラのイメージが二転三転するような一面を次々と明らかにしていきます

これはアーリャに限らず、主人公や他のメインキャラも大きなギャップを2個3個、あるいはそれ以上持っています

このようなギャップの描き方のメリットとして、「読者の感情移入」と「意外性」を両立しやすいというのがあると思います。

ラブコメ・青春ものの肝はキャラクターの内面にあるので、読者に感情移入させるのはマスト。
しかしそれだけでは個性を出しにくく、場合によっては味気なくなってしまう

この作品はそんな課題を、キャラのギャップによる意外性で解決しています。

『ロシデレ』のキャラはどれも「クセ強めな個性」「人間臭い部分」の差がはっきりしています。

そのため、クセつよキャラたちによる先の読めない展開で読者を引き込みつつ、シリアスなシーンでは感動を誘うことに成功しています。

これが、ギャップを重視した本作の最大の強みだと思います。


選挙戦という、もう一つのストーリー軸

特にバトル漫画とかはそうですが、人気作品というのは往々にしてキャラにとってのゴールがはっきりしています。ルフィにとっての海賊王みたいな。

しかしラブコメの場合、揺れ動く心が物語の中心となる以上、キャラの行動軸がわりとブレブレ。テンポが悪いと中だるみしがちです。

「コイツら、何時になったらくっつくんだよ…」ってなります。
ちなみに私が『ニセコイ』を途中でリタイアした理由がコレ

しかし『ロシデレ』は「選挙戦」という、恋愛以外のもう一つの物語軸を設定しているため、飽きずに読み進めることができます。

ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、本作では途中から生徒会選挙に向けて、メインキャラたちの頭脳戦が始まります。
これが中々見応えあるものになってます。

そして何より「生徒会長当選」という明確なゴール、そして物語の軸が定められることで、「終わる気がしねぇ…」みたいな感覚に陥ることがありません。

公式Xより。画像はコミカライズ版

また選挙戦に関するエピソードがキャラの掘り下げや成長、心の変化を描くという観点でも大きな役割を果たしているのがお見事。

こればかりは作者である燦々SUN先生のアイデア力に脱帽です。


おわりに

『ロシデレ』は確かにロシア語デレの可愛さも魅力ですが、キャラ造形や物語構成に至るまで、読者を楽しませるための工夫が要所要所に感じられる、ラブコメとしての完成度が高い作品になっております。

アニメ放送前に、原作やコミカライズで予習してみてはいかがでしょうか。


それではまた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。 寂しがりぼっちなのでスキを頂けると大変励みになります。モチベ爆上がりします!