サンダルを買う。

サンダルを買っていない。

夏が近い。大学に来て行く服が全身ジャージだったりシャツ×スラックス×革靴だったり、酷いときは背中に「怪獣優生思想」と書かれたジャージで大学内を歩いたりと系統が迷子であるという系統に傾倒している自分である。価格帯も迷子であり、全身でトータル約3万、そのうち26000円が靴、というあまりにもアンバランスで違和感のある日もある。夏は流石に涼し気な服装をしていたい。全身黒の硬派なスタイルもしたいが白Tデニムサンダルで軽やかに夕方から是政にでも散歩に行きたい。蚊に食われまくって翌朝後悔したい。

サンダルとは軽やかなものであるべきだと思う。夏の始めに引っ張りだされ、適当につっかけ引っ掛けられ一夏を共にする。夏が暮れると適当に洗われしまわれて、暑さがぶり返すと慌ててまた引っ張りだされる。他の靴のような年中付きっきりの関係ではなく、1季節だけのさっぱりとした関係性。都合の良い関係性と言えば生々しく聞こえるが、まあそんな感じがする。

それゆえに、選ぶ時もなるべく軽やかでありたい。どのブランドが良いか、どの素材が良いかネットで調べて、何店も回って、試着して悩んで他の店ももう一度行って、といったことをなるべく避けたい。本当はふらっと寄った店にびびっと来るものがあって試着してそのまま買っていく、というのが個人的に最も好ましい。サンダルで悩みたくないのだ。

しかし、サンダルというものは夏だけ履くものであり、物持ちがよければ何年も使うことができる。何年も残るものである以上、適当に決めたくはない。なるべくなら丈夫で好きなものを買いたい。昨年サンダルを買ったが、あまりにも適当に決めてしまったもので実際に履いて出てみると酷く足を痛めるものだったので今年は履くつもりはない。涼しくはないが断然革靴の方が履き心地は良い。ニューバランスの2000番台と比べるのは不躾だ。そのような失敗があったので、悩みたくはないが失敗はできない。そんな気持ちで新宿のマーチンストアに寄った。

ドクターマーチン、基本的にとても好きなブランドで、タッセルローファーとブーツを買っている。下北沢のライブハウスで目当てのバンドじゃない方のバンドのボーカルがマーチンのブーツを履いていた。目当てのバンドは売れる曲で売れてしまい、ネット上で大量に流され現在は目当てじゃない方のバンドをよく聞いている。ブーツでエフェクターを踏んでいる姿を妙に覚えており、そのブーツを自分も買った。マーチンの話は話せば長くなるから割愛するが。マーチンストアに寄り、サンダルを買おうと思ったところサンダルの値段がローファーと同じだった。流石に渋かった。その値段ならローファーをもう一足買いたいと強く思ってしまい、断念した。とは言いながらももっと高いパラブーツのグルカサンダルはとても欲しいと思うので、単純にびびっと来なかったのだろう。

軽やかな気持ちで選びたいだの何だの言ったが、少し調べた。KEENやOOFOS、ビルケンシュトックあたりが割と選ばれるがどれもびびっとこない。KEENは好きかもしれない。だがあの網目の多さが何となく怖いと思うときがある。

どうしよう。全然軽やかに進まない。正直パラブーツのグルカサンダルは欲しいけどサンダルに4万7000は出せない。KEENは底が浅い。

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