量子コンピュータニュースTOP5!(Googleトレンドから読み解く過去5年間の注目度ランキング)
過去5年間、日本で話題になった量子コンピュータニュースTOP5をGoogleトレンドを使って調査してみました。
最近、量子コンピュータが注目を集めています。先週金曜日には、東京大学がIBM社の127量子ビット実機を日本に導入することを発表しましたね。
また、昨日には量子技術に関するポータルサイト「Q-Portal」が立ち上がりました。
これまで、どのような量子コンピュータ関連ニュースが日本で話題になったのか。
注目ニュースをランキングにまとめました。
調査の方法
以下の条件の下、Googleトレンドで人気度(検索数)の時系列データを取得
キーワード:量子コンピュータ
カテゴリ:「検索キーワード」
エリア:日本
表示期間:過去5年間(2018.4〜2023.4)
時系列の目盛:1週間ごと
その後、
グラフデータ📉のCSVファイルをダウンロード。検索数(調査期間内で0〜100の数値に規格化)のTOP5を抽出
関連キーワード、関連トピックを参照しながら、注目ニュースを特定
注目ニュースランキングTOP5
結果はこうなりました。日付と検索数だけで何のニュースかわかるでしょうか?
【第1位】 検索数:100 日付:2019-10-23
【第2位】 検索数:61 日付:2023-03-27
【第3位】 検索数:43 日付:2021-07-27
【第4位】 検索数:28 日付:2019-01-08
【第5位】 検索数:23 日付:2022-12-15
それでは、第5位から見てみましょう。
【第5位】ポータブル量子コンピュータが日本で販売開始(2022年12月15日、検索数23)
中国のSpinQ社が開発したポータブル型のNMR方式量子コンピュータを、スイッチサイエンス社が代理店となり、日本国内で販売を開始したというニュースです。
最低価格の実機でも約118万円ですから、個人で買うにはちょっと…ですが、教育用途で学校に一台とかならあり得る値段ですね。
中国国内ではすでに学校に導入されて使われているようです。
販売されたのは2量子ビット、3量子ビットのマシンなので、そのくらいの計算であれば、普通のコンピュータでシミュレータ使ってやることもできます。
しかし、教育用とだと、結果は同じでもやっぱり本物のマシンの方がテンションが上がるものです。
IBM社が提供してるマシンを使った時、ジョブが混んでいて結果が数時間後に帰ってきたことも相まって、とても感動したのを覚えています。(寝て起きたら量子コンピュータから結果が返ってきていた!)
実際に日本で誰か買った人はいるんでしょうか?笑
気になります。
【第4位】IBM社が量子コンピュータ実機の商用サービス「IBM Q System One」を発表(2019年1月8日、検索数28)
IBM社が「研究所の壁を越えて運用できる史上初の汎用近似超伝導量子コンピュータ」サービス「IBM Q System One」を発表したというニュースです。
これまで企業や大学の研究所でしか使えなかった量子コンピュータ実機ですが、この「IBM Q System One」は「研究所の外で単体で動作する」ことを謳っています。
場所を選ばず量子コンピュータ実機を導入できるという点で、実機の購入が可能、つまり、量子コンピュータハード機の商用化を実現したものと言えるのではないかと思います。
IBM社は昨年11月に「IBM Quantum System Two」を発表しており、今後も同社の動向には注目です。
【第3位】国内で初めて商用量子コンピュータが川崎市で稼働開始(2021年7月27日、検索数43)
東大がIBM社の商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」の提供を受け、国内で初めてゲート型の商用量子コンピュータを稼働させたというニュースです。
第4位で紹介した商用量子コンピュータが2021年に実際に日本に導入されました。
この時の量子ビット数は27量子ビット。
この量子ビットマシンはチップの改良を重ねており、ビット数は少ないものの、量子ボリュームはIBM社のマシンの中でも高く高性能な実機となっています。
また、冒頭で紹介したように、東京大学は127量子ビット機へのアップデートを4/14に発表しましたが、利活用でどこまで成果がでるか期待しましょう。
あと、IBM社と日本の連携に関しては、過去、私の記事でも少し取り上げたことがあるので、こちらもご参照いただけると嬉しいです。
【第2位】国産量子コンピュータ初号機のクラウド公開が開始(2023年3月27日、検索数61)
理化学研究所で開発を進めてきた国産量子コンピュータ初号機のクラウド公開が開始したというニュースです。
1ヶ月前のニュースなので記憶に新しい人もいるかもしれません。
まだまだ量子コンピュータ開発の道筋は長いですが、システムとして組み上げて公開に至ったことは、日本にとって大きなマイルストーンになる出来事です。
1999年に超伝導量子ビットを生み出した中村泰信先生が、24年の時を経て初号機をリリースしたこともエモくて良いと思います。
【第1位】Googleが「量子超越」を発表(2019年10月23日、検索数100)
Google社が自身で開発した量子コンピュータ実機を用いた実験で「量子超越」を達成したと主張する論文を公開したというニュースです。
(いい感じのプレスリリースがなかったため、Qmediaさんの記事を拝借)
この時使われた量子コンピュータは54量子ビットの「Sycamore」というプロセッサ。
論文では、当時最速のスパコンでも1万年かかる問題を量子コンピュータで200秒で解いたとされています。
発表後、様々な検証や批判もありましたが、「量子コンピュータが既存コンピュータを破った」というニュースは世間にとって相当なインパクトのあるニュースだったようです。
ちなみに、当時量子コンピュータに関しては全く門外漢だった私ですら、このニュースには反応していました…笑
Google社が実施したのは、量子コンピュータにとって有利で実用的ではないトイプロブレムでした。
しかし、量子コンピュータが既存コンピュータと勝負できるレベルまで進化してきたこと自体が凄いことだ、という見方もあります。
量子コンピュータが実用的な問題でその性能を発揮するのはいつになるのか。楽しみです。
おわりに
以上、過去5年間の量子コンピュータニュースTOP5を紹介しました。
本当は「国産量子コンピュータ初号機の公開で注目度が一気に上がってます!」となることを期待していたのですが…笑
量子超越が相当な注目を集めたことが伺えますね。
また5年後くらいにやってみたいです。
その時は日本の量子コンピュータのニュースが1位になることを期待!
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