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量子関係で好きな言葉

昨年(令和3年)の夏から量子分野に関わらせていただき、これまで多くの素敵な先生方や書籍などに出会うことができました。

その中で私が個人的にとても気に入っているフレーズや文章についていくつか取り上げて、それぞれ少しずつ記事にしていきます。

まず最初は、私の自己紹介的な記事でも触れた大阪大学 山本俊教授の名言です。

名言の内容

山本先生の名言は、国立国会図書館が令和3年度に実施した「科学技術に関する調査プロジェクト」の報告書内にあります。
この調査を受託したのが大阪大学さんで、報告書の取りまとめを担ったのが山本教授でした。

調査報告書のはしがきで、山本先生は量子情報科学の学術分野における位置付けとその将来展望についてこのように触れていました。

(略)情報技術は、約100年前に確立した量子力学から生み出された半導体やレーザーが創り出しており、量子1.0とも呼ばれる。しかし、量子1.0では未利用な量子力学の根本的な性質として、「重ね合わせ」や「量子もつれ(エンタングルメント)」がある。これらの性質を完全に取り込んだ究極の情報科学が、量子情報科学であり、量子2.0と呼ばれる量子情報技術の根幹をなす。量子力学を超える物理法則が見つかりそうもないことを考えると、今後、数百年にわたって人類が手にする物理、化学、生物、医学、創薬、情報などの科学技術の根幹を量子情報技術が担い、様々な社会課題の解決に貢献していくことは疑いの余地がない(略)
国立国会図書館 調査報告書「量子情報技術」はしがきより

量子情報科学は人類が追い求めるべき究極の科学技術

これ、今のところ量子関係で1番好きな名言です。
量子情報科学がなぜ究極の科学技術分野であるかを非常に明快に説明されていると感じます
また、量子情報科学が将来の社会経済の発展に貢献していくことがとても力強く述べられています

この名言を以下で少し具体的に見てみます。

現代物理学において最も根本となる物理法則は量子力学です。(相対性理論もあると思いますが、話がややこしくなるので量子力学ということにしておきます…)

約100年前、その根本となる物理法則がハイゼンベルグやボーアなどの偉人たちによって開拓され、我々の世界を記述する物理法則は古典力学ではなく量子力学だと認識されるようになりました。

この量子力学に従う物理現象を観測し、理解することで、半導体やレーザー技術が創出され、今や身の回りにありふれたデジタル機器などが開発された結果、社会経済か発展し生活が豊かになりました。

その後、微細加工やレーザー技術などの技術と理論の進展により、量子力学に従う物理現象を観測し理解するだけでなく、量子状態を積極的に作り出し、制御し、活用する「量子情報科学」が発展しました。

発見から約100年経った今も、量子力学は我々の世界を記述する根本的な物理法則となっています。つまり、少なくとも現時点では、量子力学が究極の物理法則であると言えるでしょう。

この究極の物理法則に従う現象を、人間の意のまま自由自在に操ることができれば、まさにそれは究極の科学技術ではないでしょうか?
それが量子情報科学であると山本先生はおっしゃっています。

加えて量子情報科学は、学問として究極の存在にあるだけでなく、コンピュータ、センサ、通信に活用することで社会経済を飛躍的に発展させる可能性も秘めており、社会にとっても有益(かもしれない)な科学技術です。

今現在、量子分野の発展を願い支援する者の1人として、この言葉にはとても感動し勇気をいただきました。

究極の科学技術、量子情報科学を人類が手にする日は果たして訪れるのでしょうか。
その日に向かって研究に邁進されている先生方に敬意を表するとともに、一人類としてその日が訪れることを夢見ています。

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