株式併合
株式併合とは?
株式併合とは、発行済株式数を減らすために、複数の株式を1株に統合することです。株式併合がおこなわれても、理論上は株価への影響はありません。しかし、これまで株式併合をおこなった会社は、“経営状態が悪い”会社が多く、株式併合のニュースで株価が下がりやすくなります(株価が下がる場合で詳しく説明します)。
株式併合を図で表すと、下の図のようになります。例として、「3株を1株にまとめる」処理を図解しました。
株式分割のイメージが何となくつかめたと思うので、株価への影響を見ていきましょう。
株価への影響
株式併合がおこなわれると、株価は前より高くなりますが、会社の価値は変わりません。そのため、理論上、株価への影響はありません。しかし、“業績が悪く、経営再建中の会社が株式併合をする”場合は、株価が下がる傾向にあります。
一般的な株式併合の場合
株価が下がる場合
以上の2つに分けて、解説していきます。
一般的な株式併合の場合
一般的には、株価への影響はありません。なぜなら、株式併合をする前と後で、会社の価値が変わらないからです。しかし、株式併合がおこなわれると、株価が高くなります。そのため、「株式併合をすると、株価が高くなる」と勘違いしやすいので、注意が必要です。
具体的な例を見てみます。たとえば、「1株100円」の株があったとしましょう。10株を1株にまとめる株式併合がおこなわれた場合、株価は10倍の1,000円となります。株価だけに注目すると、急に株価が上がったと錯覚してしまいますよね。しかし、持っている株式の価値は変わりません。
この仕組みを理解するために、株式併合の前後で、株式の価値がどう変化するか見てみましょう。
このように、株式併合によって株価が上がっても、保有株数が減ります。結果的に、自分が持っている株式の価値は変わらないのです。
もう少し身近な例として、「小銭の両替」があります。下の図を見てください。10円玉を10枚集めてきて、100円玉に両替しています。
このとき、10円玉10枚が100円玉1枚に変わっているので、手元にある硬貨の枚数は変化していますよね。しかし、10円玉10枚の価値は100円、100円玉1枚の価値は100円なので、両替の前と後で、資産の価値は変わっていません。株式併合も、これと同じ仕組みです。
株価が下がる場合
業績の悪い会社が、経営再建の手続きの途中で、株式併合を使う場合、株価が下がります。その理由は、株式併合とセットでおこなわれる「第三者割当増資」によって、「1株あたりの利益(EPS)」が小さくなる(希薄化する)からです。
ここで、株式併合を使った「増減資」という経営再建の方法を紹介します。むずかしい内容ですし、株初心者の方は頭に入れておく必要はないので、「こういう方法があるんだ」とサラッと読んでください。
この手順のうち、「③合わせて第三者割当増資をおこなう」が株価を押し下げます。第三者割当増資がおこなわれると、発行済株式数が増えます。すると、会社が稼いだ利益を発行済株式数で割った「1株あたり利益(EPS)」が小さくなるのです。株価は「1株あたり利益(EPS)×株価収益率(PER)」で計算できるので、EPSが小さくなれば、その分だけ株価が下がります。
株式併合が、直接株価を押し下げる要因にはなりませんが、第三者割当増資とセットで取られるケースが多く、「株式併合が発表されると、株価が下がる」イメージが付いているようです。このため、株式併合が発表された場合には、株式併合の理由を調べるようにしましょう。
東証の「必要最低投資金額」を満たすため
東証では、個人投資家が投資しやすい環境を作るため、100株の合計金額を「5万円以上、50万円未満」にするのが望ましいとしています。そのため、100株の合計金額が5万円以下の会社(株価が500円以下の会社)は、株式併合をおこない、東証の最低投資金額を満たそうとするのです。
経営を建て直すため
株価への影響で説明したとおり、経営再建の手続きの途中で、株式併合が使われる場合があります。
TOBやMBOのあと(スクイーズアウト)
TOBやMBOのあと、株式併合がおこなわれるケースがあります。株式併合する理由は、TOBやMBOをしたあとに、株主に個人投資家が残っていると、経営の意思決定がスムーズにできないからです。そのため、個人投資家から株式を回収して、経営者のみが株式を持っている状態を作り出す必要があります。
TOBやMBOとセットで株式併合する場合は、個人投資家の持ち株が1株未満の「端株(はかぶ)」になるように併合します。端株にする理由は、株主として「会社の経営に参加する権利」を使えないようにするためです。つまり、株式併合で個人投資家の保有株を端株にすれば、強制的に経営者のみが株式を持っている状態を作り出せるのです。
この行為を、専門用語で「スクイーズアウト」と言います。TOBやMBOがおこなわれると、関連用語としてよく出てくるので、頭の片隅に入れておきましょう。なお、株式併合によって保有株が端株になった場合は、経営陣が強制買取してくれます。株式の代金は、銀行振込などで受け取れるので安心してくださいね。
株式併合の前後で、株式数が「100株→10株」に減っています。100株が「1単元」なので、10株になると「単元未満株」となります。この場合、単元未満株となった10株は、いままでと同じ要領では売れません。
単元未満株が発生してしまったときの対処法には、次の3つがあります。
そのまま持ち続ける
特に、手続きは発生しません。単元未満株でも、いままでどおり配当金が受け取れます。しかし、単元株でなくなるため、株主優待がもらえる株数に満たない場合は、株主優待がもらえなくなります。株主優待を受け取る目的で投資している方は、注意しましょう。
売る・買い取り請求する
SBI証券やマネックス証券など、単元未満株の取引ができる証券会社であれば、株式併合で生まれた単元未満株を売れます。また、単元未満株の取引ができない場合は、証券会社に対して「買い取り請求」が出せます。「株主優待がもらえないから、売ってしまいたい」、「これを機に利益を確定したい」などと考えている方は、こちらの方法を検討してはいかがでしょうか?
買い増しして単元株にする
「今後も持ち続けたい」場合や、「株主優待を受け取りたい」場合などは、買い増しして単元株にするのも手です。買い増しには次の方法があります。
単元未満株の取引ができるかどうかで、取るべき手段が変わってきます。単元未満株の取引ができる証券会社の場合は、①が最もかんたんな方法です。
単元未満株の取引ができない場合は、①の「買い増し請求」がおすすめです。しかし、中には買い増し請求に対応していない証券会社もあるので、その場合は②の方法で、単元株にしましょう。
まとめ
株式併合の意味や株価への影響、株式併合で「単元未満株」が発生した場合の対処法などを紹介しました。理論上は、株式併合がおこなわれても、株価への影響はありません。しかし、経営再建の途中で株式併合される場合は、株価が下がりやすくなります。株式分割が発表されたら、どのような背景や目的があるのかをチェックしましょう。
また、株式併合とは反対のものに「株式分割」があります。こちらも、理論上は株価への影響はありませんが、実際は株価が上がりやすくなります。詳しくは、株式分割とは?で紹介しているので、気になった方はこちらも読んでみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?