第一回教養のエチュード賞 結果発表
あなただけ今晩は、物書きの嶋津亮太です。
ついに教養のエチュード賞が決まりました。応募総数155作品。全ての作品を3回以上読みました。中には10回以上読ませていただいた作品もあります。まずは応募してくださったみなさま、サポートをして盛り立ててくださったみなさま、読むことを楽しみにしてくださったみなさまに心から感謝申し上げます。
カジュアルな気持ちでコンテストを開催したのですが、予想を超えて相当な熱量のnoteたちがハッシュタグの元、僕のところへ届きました。小説、コラム、評論、エッセイ、日記、ドキュメント、戯曲、手紙…様々なジャンルの文章たちです。
このコンテストを発表する時、教養のエチュード賞の応募記事にこのような文章を書きました。
傾向と対策を練ることができないコンテストだったら全員が枠を外した表現ができるんじゃないの?
それが僕の気持ちです。天才も凡人も関係なく、自由な発想で文章を書けるコンテスト。誰だかよくわからない人に向けて、好きなように書いてほしいのです。
選ばれなくても落ち込む必要はありません。「だって、あなたのことなんて全く知らないのだもの」と思っていただければ幸いです。
記事が「選ばれる、選ばれない」は優劣ではありません。
僕の個人的な趣味や、理解力と偶然マッチした記事が選ばれているだけの話です。とても個人的な賞なのです。
結果発表の前に、改めて確認しておいてください。
記事が「選ばれる、選ばれない」は優劣ではありません。僕の個人的な趣味や、理解力と偶然マッチした記事が選ばれているだけの話です。とても個人的な賞なのです。
選ばれなくて落ち込まないでください。だってあなたは、「コンテストのテーマさえ与えられていなかった」のだから。
日常のnoteにハッシュタグを一つ加えて投稿しただけです。あなたはすばらしい文章を書いたし、これからも書き続けるべきです。
投稿されたみなさんのnoteに心打たれ、僕も真剣に読ませていただきました。知らない人の文章をここまで集中して読んだのは人生で初めての体験かもしれません。もっと気楽なものを想像していたのですが、みなさんのnoteが僕を本気にさせてくれました。強引に引っ張り上げられたような感覚です。それは僕を大きく成長させてくれました。
そしてそのことにもまた感謝しています。
SNSの中では、教養のエチュード賞の予想がされていたりしました。僕が「好きそうな文章」をいろいろ考えてくださった人もいましたが、きっとそれは正しい方法ではないような気がします。
過去の僕の「好きなもの」はある程度参考になるかもしれません。ただ、それは参考に過ぎません。なぜなら僕の目的は「新しい好き」を探すためだからです。
そういう意味では、これは本当に、極めてプライベートで、極めてエゴイスティックで、極めてミステリアスな賞なのです。
当初一万円だった賞金は、みなさんのサポートにより総額三万円にまで増えました。
賞金の振り分けを考えた時に、ワタナベアニさんと佐藤らかさんからのサポート(二人でちょっとした食事をするコーヒー付)以外は、副賞三名へ配分することに決めました。みなさまからの心あたたかいサポートは還元されるべきだと思ったからです。というのは半分嘘で、もう半分の本当の理由は、僕が選びきれなかったという点です。
ですので、
▷グランプリ 教養のエチュード賞(一名)
賞金21,000円
▷副賞(三名)
賞金3,000円
▷プリマドンナ賞(一名)
僕のインタビュー取材
となります。
それでは結果発表に移ります。
せっかくなので、少しでもドキドキしてもらうために
副賞
↓
プリマドンナ賞
↓
教養のエチュード賞
の順で紹介していきたいと思います。
◆副賞(三名)◆
▷諦めと鈍感野郎の照れ隠し
1.みのりさん
この作品好きなんです。読んでもらえればわかると思うのですが、この作品はきっと「今しか書けない」。それは年齢によるものかもしれない、経験によるものかもしれない、感受性によるものかもしれない。十年後に同じ状況がみのりさんの身に訪れたとしても、きっとこの文章にはならないんです。数年後のみのりさんはきっとうまく立ち回ることができるようになっていると思います。もっと上手に「醜さ」を隠すことができるようになっていると思います。もっと上手に「美しく」響く言葉を並べるようになっていると思います。
それは成長かもしれませんが、僕は「今ここにある」みのりさんのこの文章が好きなんです。
複雑に湧き起こる感情をとにかく言葉にした(もちろん彼女は文章も巧いです)。ただ、技術や理性からこぼれ落ちたその瑞々しい言葉たちにどうしようもなく惹かれています。
きっと大天才でもここに書かれた複雑な思いを表現した文章は書けないでしょう。それができるのは「今の彼女」だけです。すばらしい体験をくださりありがとうございました。
▷ある船乗りの物語
2.奥村 まほさん
すばらしい物語でした。それは寓話のようにはじまり、美しい写真と共に大海原を航海し、和歌が響き、自身の名前へ移ろっていく。一隻の船に人生を乗せた物語は、小説でもあり、生きてきた道そのものなのです。
そして、このnoteが投稿された日、奥村さんは誕生日を迎えました。名前の由来がこの祝福すべき日に世界へと羽ばたいた。思わず涙があふれました。
偶然にも、投稿された日にこのnoteを読むことができました。この記念すべき日に読むことができた喜び。「ああ、noteをやっていてよかった」と心から思えた瞬間です。この物語の余韻に浸りながら、世界の美しさを噛みしめていました。
これからもきっと真帆さんの名前は忘れることはありません。
すばらしい体験をありがとうございました。
▷短編小説「ゆなさん」
3.篭田 雪江さん
創作の力です。おそらくこの物語に最も適した表現こそ〝小説〟だと思います。繊細な心の機微。目に見えない心の部分が、上品に描かれる。僕たちは、篭田さんの物語に心の余白と可能性と限界を見つけます。
抑え込んだ感情は極限まで達すると、最もシンプルな形で姿を現します。それがその人間の持つ本質的なものなのかもしれません。
心のピュアさ(強い部分も、弱い部分も含めた)にテクニカルな筆力が掛け合わされば、それは読者をどこまでも遠くへ飛ばしてくれます。
純度の高い物語の力に心動かされました。どうもありがとうございました。
◆プリマドンナ賞◆
▷『SFじゃなきゃ託せないこと #本棚をさらし合おう 』
入谷 聡 さん
入谷さんのnote。愛がいっぱい詰まっていました。僕のツイートにある通りです。何かに対して、この熱量をかけることができる人を僕は信頼できます。(このツイートの後に〝「SF好きの友人」という表現を除いて〟という注釈が入っています)
ぞくぞくしながら読みました。自分が全く知らないことでも、これほど楽しそうに語れば、その熱は伝染します。「教養のエチュード」はその熱の中で、最も効果的に育まれます。
「この人に会ってみたい」
そう思わせてくれました。
入谷さんは、コンテストへの投稿だけでなく、応募作品を読み、それらをシェアしてくださったり、コメントを入れて盛り上げてくださっていました。
その一言一言や、誰かに対して陰でサポートしている(僕だけでなく)その人間性もまた、魅力的だったので是非ともインタビューをさせていただきたいと思いました。
◆教養のエチュード賞◆
▷唇と杏と宇宙人と。
kanako yamazakiさん
実はこの作品はTwitterでコメントを添えていません。どうコメントをすればいいのかわからなかったからです。
それは、「岩井俊二監督の映画が好き」と言った時に「どうして?」と聞かれて言葉に詰まることと似ています。
「なんだかわからないけど、美しくて」
yamazakiさんの小説は、僕を別の世界へ届けてくれました。一行ごとに身体を引っ張られました。理由はわかりません。言葉の選び方かもしれませんし、展開の妙かもしれませんし、登場人物の不完全さかもしれません。
ただ、この音楽のような文章から、匂いを感じ、色彩を感じ、美しさを感じました。それは夢の中の出来事のように、僕へ浮遊感を与えてくれました。
この体験はスペシャルなものでした。理由はわからないけれど、夢中になる。僕はyamazakiさんの文章が好きです。決して長過ぎないこの物語が大好きです。
僕の「好き」を、僕の「可能性の幅」を、広げてくれました。
どうもありがとうございます。
***
さて、これで全ての発表は終わりました。
あとはサポートを送るだけです。
僕にとって教養のエチュード賞はとてもすばらしい体験でした。思わぬ出会いや発見が数々ありました。開催を発表した十日後には既に当初出資した一万円を遥かに超える貴重な体験を味わわせていただきました。
何度も何度もしつこいように言いますが、みなさま、本当にありがとうござます。
そして、この教養のエチュード賞、第二回を十二月に考えております。グランプリの賞金は一万円ですが、次回はみなさんにとって価値のある特別賞を考えております。どうぞお楽しみにしていてください*
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因みに、僕の中で印象に残った作品20選をこちらのnoteで紹介させていただいております。
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。