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褒める力

昨日、れもんらいふデザイン塾の取材の仕事がありました。

ゲスト講師はアートディレクターのえぐちりかさん。えぐちさんと言えば、ピーチジョンやドコモダケアート展でお馴染み。最近では「嵐を旅する展覧会」のアートディレクションが大きな話題を呼びました。講義はそれはもう新しい発見に満ちていて、刺激的な時間でした。特にえぐちさんが言った「私はマイナスを全てプラスに変えることができると思っている」という言葉は胸に刺さったまま、今でも抜けずに残っています。

講義を終えた後、挨拶をさせていただきました。「この塾のレポートを書いています…」と言った途端、「え?あの秋山具義さんの本の構成の人ですよね?今までのレポート全部読んでる」と言って、そこからあふれるようにたくさんの言葉をいただきました。えぐちさんは、本当に全てのレポート記事を読んでくださっていました。具体的に「あの記事のあの部分がよかった。あのキャッチフレーズはここがよかった」ということをていねいに教えてくれました。僕は、頭がくらくらするほどうれしくて。その言葉たちはゆっくりと自信へと変わっていきました。

魅力的な人は、褒めるのがうまい

褒める時に最も重要な要素は「誰が言うのか」という点だと思います。ただ、僕の経験上、その「誰が」が特別な存在であればあるほど「どのように」の質も高い。「誰が」と「どのように」は相関関係にある。つまり、「魅力的な人は、褒めるのがうまい」ということです。

POOL.incの小西利行さんと初めてお会いした時もそうです。これもれもんらいふデザイン塾がきっかけなのですが、一度小西さんの講義レポートを作成したことがあります。その回は、僕は会場には行けず、送ってもらった動画をまとめてレポートをつくりました。その一年後、ご縁があり、小西さんにご挨拶ができる機会が訪れました。「れもんらいふデザイン塾のレポートを書かせていただいた嶋津です」と言うと、小西さんは一言「あ、文章が巧い人だ」と。

それも頭がくらくらするほどうれしい体験の一つで。感動は二回訪れました。一度目はコピーライターの小西さんに、文章を褒めていただいたこと。二度目の感動は、その一行の威力。

「あ、文章が巧い人だ」

誰もがわかる内容で、相手が一番喜ぶ言葉。咄嗟にその言葉を出す小西さんはすごいなって。


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ここまで全て自慢のような話ですが、言いたいことは別にあります。

「褒める」は魔法の力

「褒められる」と気分が上がります。それは、自信に繋がります。言葉によっては相手の人生を変えるほどの力を持っています。それはまるで魔法のよう。

それだけに、「褒める」には技術が必要です。審美眼と経験値、それから表現力も重要になります。それらの力が乏しいと、いくら褒めたとしても的外れになってしまう。下手な褒め方をすると、相手だけでなく周囲の信用までも失ってしまいます。瞬時に本質を見抜き、言語化する力。それは、優れた受信力と優れた発信力の両輪が必要となります。突き詰めて考えていくと「褒める」は「批判」の数倍難しいことがわかります。

僕も「褒める力」を磨きたい。カジュアルに「いいね」と伝えていきたい。ボタンではなく、自分の言葉で。それはやっぱり、褒められてうれしかった経験があるから。頭がくらくらするほど、人生が変わるほどの言葉をもらった体験があるから。その分「褒める」はドラマティックな力であるということをよく知っています。

そのためには「どのように」ということを考えていくことも大切ですが、最も重要なことは「誰が」という価値を上げること。つまり、「この人に褒めてもらえたから、明日からがんばれる」と思ってもらえる存在になる必要があります。手っ取早い話だと、実績を上げること。あとは、人間を磨くこと。過程だけでなく、しっかりと結果を残していくための日々を積み重ねていく。社会的な評価が上がれば、その分、多くの人を勇気づける力が大きくなるのだから。




「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。