天才顔するのはもうやめた餅屋

 ステッカー制作をしている。正確に言うと、私もひなたもギャル作家も絵の才能がないため、人に頼んでデザインをしてもらっている。

 北千住にあるトイレが和式の喫茶店に集合した。着いてまず一本。作家とデザイナーは飯を食べている。いっぱい食べるな、すごいなって思った。私はコーヒーを頼んだ。個人経営の喫茶店には似合わない素晴らしい接客だった。ホスピタリティに溢れている。見習わないといけない。トイレが和式なこと以外は完璧な喫茶店であった。
 本題に入る。頭に思い浮かぶものを何個か提出する。デザイナーは作家の大親友である。気を遣わず、話しながらこういうのも、あれもいいよねとどんどん案が出てくる。口が追いつかず、天才顔をして、持参したノートに書き込んだ。なんだこれ。全く理解ができない。自分の描いたものが理解できない。自分の画力に愕然とし、その絵はぐちゃぐちゃにした。天才顔するのはもうやめよう。
 
 一週間後、ラフが上がってきた。とてつもなくうまい。もうこのままステッカーにしてもよいぐらいだ。尊敬の念を抱いた。絵を描けたら、人生楽しいだろうな。そう思いながら、もう一度ノートに猫ちゃんを描いてみた。古代エジプトの壁画に描いてある未確認生物が生まれた。猫ちゃんではないし、愛嬌もない。眼がガンギマリだった。

 「餅は餅屋」という言葉が大好きだ。やはりプロに任せた方が良い。私たちが作ったものだったら、配りたくない。持っていたくない。皆さんにも持って欲しくない。こういうわけで全く忙しくないくせに外注した理由がこれでございます。
 私たち芸人は「顔が名刺」である。顔を覚えてもらうため、名前を売って生活するために、名刺は持たないのがルールだ。それでも学生時代の友達に会うと、ノリで名刺交換が始まり、私は配る物がなく、少し疎外感を感じていた。そこで名案が生まれ、ステッカーをばら撒くこととなった。すごくオシャレなものができたので貰ってください。100円でとかそんなこすいことをするなら、ばら撒きます。皆さんのスマホケース、MacBook、車、お店、冷蔵庫などに私たちのステッカーがあったら、ちょっと笑います。お友達に誰のなんのステッカーだよ!とツッコまれてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?