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2020年2月に読んだ本

先月読んだ本のまとめ。今月前半は趣味でレイマーチング(プログラムで立体を描画する手法のひとつ。この記事のサムネ画像はこれで作成)するのにハマってたり、その他いろいろ忙しくて読書ペースが落ち気味。

でも今月読んだ4冊はどれも粒ぞろいの面白い本でした...!

① ヒュー・ウォルポール「銀の仮面」

人間の奇妙な心理を描いた短編集。人間の感情は単純ではなく、とくに理由もなく誰か・何かを好きになったり嫌いになったりする。

善意を装って悪行を働くことがある一方、全くの善意から害を及ぼしたりする。

こういう複雑な心理・行動は「こういう出来事があったんですよ」と説明されても理解しづらいんだけど、「小説」という形で提示されると不思議と納得してしまう。

収録作では「敵」が切れ味鋭くてお気にいり。

② ルーシャス・シェパード「タボリンの鱗」

前作「竜のグリオールに絵を描いた男」(タイトルが素敵すぎる...!)に続く、竜のグリオールシリーズの短編集第二弾。

かつて魔法使いに封印された巨大な竜、グリオールが横たわる地のそばで暮らす人々を描いた物語。このシリーズが面白いのは、竜が物理的な攻撃を加える存在、というよりは人間の心理に影響する存在として描かれているところ。

ただ、今作の彼は前作に比べるとかなりアクティブ。どうアクティブなのかはネタバレになってしまうので詳しく言えないけれど、老獪なイメージのあったグリオールの意外な姿を楽しむことができる。

③  陳 楸帆「荒潮」

いま、中国SFが熱い!

昨年は劉慈欣の大作「三体」シリーズの翻訳が始まり、中国の作家さんの作品も続々翻訳されてる感じ。

陳楸帆の「荒潮」は、未来の中国を舞台に廃棄物からレアメタルを取り出すことを生業とする人々を描いた作品。経済格差や環境問題を扱う一方、後半はさらにSF的なネタが投入されてとんでもないことに...!

みっちぇさんによる表紙絵も素敵。

④ グレッグ・イーガン「万物理論」

「宇宙消失」に続き、昔読んでよくわからなかったイーガンを読み返しているところ。

この「万物理論」もまたとんでもない作品でした。

冒頭10ページの第1章だけで短編1本分くらいのインパクトがある上、そのまま勢いを落とさずに惜しみなくネタが投入されていく。

上記は読んでいる最中のツイートだけれど、本当にこんな感じで情報量が多い。しかも第一部時点ではメインの話の舞台に到着してもいないという...

SF的な「アイデアの宝庫」でありながら、それらのアイデアが全体のストーリーを引き立て、支えるように絶妙に配置されているのがまたすごい。

しかしこれで、翻訳されているイーガンはほぼ読んでしまった... 著者のWEBページで未訳の短編が公開されているので、それに挑戦してみようかな...?


以上、2月の読書でした。








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