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2022年4月に読んだ本

今月読んだ本の、まとめ!

① フィリップ・K・ディック「トータル・リコール」

ディック短編傑作選の2冊目。映画の原作として有名な「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」のようなサスペンス色の濃い作品もあれば、「訪問者」のような余韻を残す作品も。

とくに「訪問者」は、人類文明の崩壊後の世界を描くポストアポカリプスもののSFとしてかなり好みの展開。ディックというと「いったい何が現実なのかが分からなくなってしまう」現実感覚の喪失を描いた作品が印象深いけれど、ポストアポカリプスの作品もとても面白い!

この短編傑作選シリーズでも、1冊目(「アジャストメント」)に収録の「くずれてしまえ」や、今読んでいる3冊目(「変数人間」)に収録の「パーキー・パットの日々」等、趣の違う文明崩壊後の世界の描写が魅力的。

② マーサ・ウェルズ「逃亡テレメトリー」

連続ドラマが大好きだけれど、生の人間は苦手な警備ユニット「弊機」の活躍を描くマーダーボット・ダイアリーの3冊目。表題作の中編に加え、これまでの事件の前日譚や後日譚にあたる短編を2編収録。

相変わらず人間に辛辣な弊機だけど、なんだかんだで新しい居場所が見つけられているようで嬉しい。一方で、やさぐれてドラマ見てるシーンが無いのが寂しくもある。

③ シッダールタ・ムカジー「がん」

4000年に渡り、人類を苦しめてきた癌の歴史と、癌と戦い続けた医師と患者の物語。

基礎研究と応用(臨床)のバランスはよく議論されるけれど、癌の場合「原因が不明でもとにかく治療が必要だ」という側面があり、結果として
・とにかく患部の周辺を(不必要なほどに)広く切除する
・患者が副作用に耐えられる限界まで薬物を投与する
と臨床治療が過激化してしまった形に。

じゃあ基礎研究に集中しておくべきだったかというと、癌の正体を掴むためにはDNAの発見を待たなければならなかったわけで、そちらも長い道のりが必要だった。結局、基礎研究と臨床分野とで、その時代に可能な限りの努力をした結果得られたのが現代の医療ということなのよね…

④ 水野一晴「自然のしくみがわかる地理学入門」

学校の地理で「このあたりはこういう地形なのでこうなっている」という話を色々学んだけれど、この本ではさらに踏み込んで、「じゃあどうしてそういう地形になったのか?」というところまで解説される。身近な天気の話から、植生・鉱産資源等、話題は様々。

私はこの本を文庫版で読んだのだけれど、実は単行本版ではもっと図版が多かったとのこと。あと、この本と対になる「人間の営みがわかる地理学入門」もあるらしく、それも気になる…

⑤ 礒田正美、M. G. B. Bussi 編「曲線の事典」

コンパスや糸、円盤、リンク機構などを使って、様々な曲線を描く方法がまとめられた本。さらに三次元図形を二次元に落とし込む「透視図法」や、曲がった鏡面に図形を移す変換等の話題も。

この本で紹介されていた技法や数式に触発されて、いくつかプログラムでアートを作ったりしました。


以上、今月の読書でした!

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