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2020年5月に読んだ本

先月読んだ本の、まとめです!

① ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」

早川書房の「グレッグ・イーガンとヴァージニア・ウルフが好き過ぎる人」の記事を読んで、気になったので購入。でもこれは集英社文庫。
(というかヴァージニア・ウルフの小説、早川書房からは出てませんよね...? なのにnoteでこれだけ語っちゃうのはほんとに好きなんだろうな...)

で、この「ダロウェイ夫人」、ロンドンでダロウェイ夫人主催のパーティが開かれるとある一日の様子、という、あらすじだけ読むと微妙な感じ。

...だったのだけれど、面白いのは文体。語り手の人物がほいほい変わり、さっきまで「自分」として感情移入していた人物を「気に食わないやつ」と読んでいたりする。

なので一人称の人物にがっつり感情移入して読むと、しばしばカウンターパンチを食らうことになる。でも価値観の多様性が重要視される昨今、これはすごい面白い小説だと思う。

② 澤村伊智「ファミリーランド」

東雅夫 編「平成怪奇小説傑作集3」に収録の澤村伊智「鬼のうみたりければ」がすごく面白かったのと、「SFが読みたい!」の年間ランキングに入っていたのが気になったので。

「家族」のあり方が変容してしまった未来社会を描くSF短編集。印象としては村田沙耶香のSF風作品に近い感じだけれど、あちらよりも「SF的な仕掛け」が前面に出ている感じ。星新一のノリに近いというか。

お気に入りは「愛を語るより左記のとおり執り行なおう」のラスト。

③ アガサ・クリスティー「葬儀を終えて」

定期的にミステリを読むと、読書のペースが維持されていい感じ。

たった一言の発言を契機に事件が動き出し、そのたった一言の発言を中心に事件が収束する、というプロットの巧みな作品。被害者(?)の弟、義妹、妹、甥、姪×2、姪の夫×2と大勢のキャラクターが登場するものの、それぞれキャラが立っているのはさすがのクリスティー作品。

④ ステファン・グラビンスキ「不気味な物語」

美しい装丁と、「ポーランドのラヴクラフト」という評判が気になって購入。粒ぞろいの傑作怪奇小説短編集でした。
(ただラヴクラフトっぽい、という感じはしない。別の作品集だと印象が変わるのかな...?)

収録作では「視線」がお気に入り。曲がり角の向こうに何かが潜んでいる、という強迫観念に囚われた男はある日ふと気づく。実は、あの曲がり角の向こうには...?

⑤ フランソワ・デュボワ「作曲の科学」

音を使ってなにか作ろう、と思い立ち、最近Sonic Piに入門。しかし音楽の知識がないので何をすればいいか分からない... と悩んでいたときに書店で発見。安心の講談社ブルーバックス。

楽譜の基本的な読み方から始まり、和音の仕組み、曲のコード進行等が初心者にも優しく解説される。マリンバ奏者&作曲家としての著者の経験談も豊富で楽しい。

筆記具の変化に伴って楽譜の書き方が変わってきたとか、完全5度の「完全」って何のことかとか、余談的なトピックが多いのも嬉しいところ。


以上、5月の読書でした。

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