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2021年2月に読んだ本

今月読んだ本の、まとめ!

① ピーター・ワッツ「6600万年の革命」

宇宙船のAIに対して乗組員が反乱を企てるが、長旅なので乗組員は数千年に1度しか覚醒させられない。その状態でどう戦うのか…!?

という非常に魅力的な設定なのだけれど、ストーリーは割とよくある革命・反乱もので、あまり設定が活かされていない気もする。

と油断していたらラストの展開にすべてを持っていかれた。なるほど。一番面白い部分がネタバレなので感想に困るやつ...!

② 橋本輝幸 編「2010年代海外SF傑作選」

タイトル通りの2010年代海外SF傑作選。時代を反映してかAIテーマのSFが多い印象。

収録作では、シュールな雰囲気のチャールズ・ユウ「OPEN」(円城塔訳!)と、アジアンテイストスチームパンクなケン・リュウ「良い狩りを」がお気に入り。

③ 澤村伊智「ししりばの家」

「ぼぎわんが、来る」から始まる比嘉姉妹シリーズの4作目。いわゆる幽霊屋敷テーマのホラーで、「家」という容れ物(というか枠組み)が恐怖の源になっている。複数の視点が交錯する巧みな語り口と、冒頭からずっと現れる砂の描写がさらに恐怖を煽ってくる。

④ 澤村伊智「ぜんしゅの跫」

比嘉姉妹シリーズの5作目。「ししりばの家」は長編だったけれど、こちらは短編集。

収録作では「鬼のうみたりければ」がお気に入り。実は「平成怪奇小説傑作選」に載ってたこの短編を読んだのが澤村作品に興味を持ったきっかけで、読むのは二度目なのだけれどやっぱり怖い。一人称語りの臨場感と、滲み出す「人間の怖さ」がたまらない傑作。

⑤ 村田沙耶香「丸の内魔法少女ミラクリーナ」

村田沙耶香作品は読むと心にダメージを負うことがあるので、今回もかなり身構えて読んだ... のだけれど、本作はダメージ少なめで、むしろ前向きな気持ちになれる読後感。

世の中の常識と自分の感覚が食い違っている、という感じは村田作品に共通しているけれど、本作(とくに表題作)では「みんなが幸せになるにはみんながどうすればいいのか」ではなく「私が幸せになるには私がどうすればよいのか」にフォーカスしている感じ。

⑥ 川辺謙一「燃料電池自動車のメカニズム」

エコロジーよりも運転体験に重点を置いた燃料電池自動車の解説書。

内燃機関がないので低騒音低振動、低速で高トルクなので発車がスムーズ、低重心にできるのでカーブが安定している等、理屈に基づいた解説に加え、著者自身の運転体験を反映した説明も充実している。

タイトルは「燃料電池自動車」となっているけれど、電気自動車やハイブリッド車についても解説されている。

⑦ はやみねかおる「めんどくさがりなきみのための文章教室」

私が読書が好きになったきっかけの一つ、講談社青い鳥文庫の「夢水清志郎シリーズ」の著者による文章の書き方講座。

好きな作家の文章を書き写す「写経」がオススメされてたりと、文章の書き方、というよりは文章を書くトレーニングの仕方の紹介、という側面が強いかも(投球フォームの解説ではなく筋トレ方法の解説、みたいな)

ワープロソフトの添削機能の活用を推奨していたり、Twitterの140文字投稿を膨らませて作文にする方法があったりと、今の時代に即した内容になっているのも魅力。


以上、今月の読書でした。

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