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2021年6月に読んだ本

先月読んだ本の、まとめ!

① 劉慈欣「三体III 死神永生」

壮大なスケールで描かれるSFシリーズ「三体」の待望の完結編!

前巻「黒暗森林」の時点で三体世界との戦いには一段落ついているので、この巻ではどうなるのだろう... と不思議に思っていたところ、なんと本書冒頭の舞台は15世紀のコンスタンティノープル!?

そこからさらに舞台は空間的にも時間的にも飛躍しまくり、激動の人類史が語られる。SF的なとんでもないテクノロジーや現象が登場するけれど、それを使う人間側の描写が徹底してシビアなのでご都合主義的な感じはなく、極限の状況下では理想主義も博愛主義もあっさりと崩壊する。

ひとつの物語にこれだけのアイデアを詰め込むのか?という満漢全席っぷりはシモンズの「ハイペリオン」やイーガンの「万物理論」を彷彿とさせるもの。三部作通してとても楽しい読書体験でした... 大満足。

著者劉慈欣の他作品も今後翻訳予定とのことで、とても楽しみ。

② エリック・マコーマック「雲」

前々から気になっていたマコーマックの「雲」を読了。

主人公は、出張先で偶然立ち寄った古書店で「黒曜石雲」という本を手に入れる。その本で語られていたのは、黒雲の表面が鏡のように地上の世界を映し出す奇妙な気象現象だった...

その奇妙な本の来歴の調査と併行して、主人公の数奇な半生が語られる。奇妙な人々と出会う主人公だけれども、主人公が「奇妙だ」と感じた要素は、実は主人公の内部にも存在するのでは?と思われるところもちらほら。

主人公が見る世界は実は主人公の性質を反映したものになっていて、「巨大な黒い鏡に映った世界」という黒曜石雲のモチーフが全編に反映されている... のかもしれない。

③ アマル・エル=モフタール&マックス・グラッドストーン「こうしてあなたたちは時間戦争に負ける」

Twitterでの評判と、魅力的なタイトルに惹かれて手にとった本。

タイトルからてっきり硬派な時間SFかと思っていたけれど、とてもロマンチックな話でした。

全体の形式としては「往復書簡形式のラブストーリー」で、SFというよりは古典文学のような印象。...なのだけれど、ここに「時間戦争」という舞台装置が与えられることで、歯の浮くような大仰な台詞が実現可能なものになっている。SFと古典文学(というか詩?)が融合したような面白い作品でした。

④ 綺想造形蒐集室「幻想仮面の作り方」

表紙に惹かれて購入した本。いろいろな仮面作家さんによる、自作の作成過程が紹介されているもの。

作風も作成方法も多種多様で、たとえば仮面の型の材質に限っても粘土だったり石膏だったり、さらには3Dプリントされたポリマーだったりと様々。これまで知らなかったアートの世界を垣間見れたようで、とても興味深い本でした。


以上、先月の読書でした!


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