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四季の面影に揺られて

春になれば桜を一緒に見ながらお酒を飲むのが好きだった。少し赤くなる君の頬。頬を膨らませるその姿に愛しさを感じていた。花が芽を出し、恋心も芽生えるようになった春だった。青春の幕開け。終わりのない永遠のようにも思えた青春。

嫌いだった夏の楽しみ方を教えてくれたのは君だった。浴衣姿の君に見惚れて、いつまでも君の笑顔を守りたいと思える瞬間だった。ゆっくり落ち行く線香花火はまるで、恋に落ちる2人のようで、出会えたことがたとえ運命じゃなくても嬉しいねって本気でそう思えた暑さの少し残る夏。

秋の紅葉。ライトアップされた紅葉はどこか悲しげに見えたのはなぜなんだろうか。そして、あの時君はなぜ悲しい顔をしたんだろう。人生がもしも芸術ならば、もういっそのこと2人の関係も芸術になっちまえよ秋。

雪が降りしきる冬。雪が積もれば積もる分だけ思いが積もるそんな気が来た。出会えたのが奇跡だとしたら別れも奇跡みたいなものなんだろう。別れを告げられたその瞬間、降り行く雪のせいで何も見えなくなった。まるで何もなかったかのように、雪解けてしまった2人の関係はもう取り戻せないと知ってしまった冬。

悲しいことは土の中にでも埋めて、嬉しいことだけ一緒に連れて行こう。そんなこと言ったところで、「君がいた」という事実は消せやしないから、いっそのこと出会ったことすらなかったことにしたい。四季の移り変わりに出会いと別れ。悲しみは突然に。ねえ、あの時泣いてたら何か変わってた? ああ、なぜ君を守れなかったんだろうね。後悔ばかりがただ募る四季でした。

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