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Acompanyのアカン期(暗中模索時代)の話をしようと思う

ハッピークリスマス!どうも、アカンパニーの高橋です。

先日Acompanyのカルチャーデックを公開しました!!

このカルチャーデックの中にAcompanyの沿革が入っているのですが、その中で秘密計算にたどり着くまでの暗中模索期間であるAcompanyのアカン期というものを紹介しています。

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沿革

今回のnoteでは、Acompanyのアカン期にフォーカスして記事にしたいと思います。(記憶が曖昧な部分もあるので、可能な限り思い出しながら書いていきます)

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アカン期詳細

あ、この記事は、OPTIMIND x Acompany Advent Calendar 2021の25日目の記事です!(これが最後の記事なので、年末年始で時間がある人は最初から全部読んでおいてください😋)


古の時代の話

アカン期の話をする上で避けては通れないのが、創業時にやっていて学生向けサービスの話。

ただ、この頃の話をしようと思うと創業した2018年から更に1年ほど時を遡ります。

2017年当時、名古屋大学の学生でありつつ、今で言うフリーランスっぽい感じでエンジニアとして活動をしていました。

フリーランス活動をはじめ1年くらい経った頃で、スキルの切り売りっぽい働き方になってしまっていたこともあり、自分自身で事業を作りたいという気持ちが高まっている時期でした。

そんなタイミングでたまたまイベントで出会い、起業仲間を探しているという名大の経済学部3年生の富田というパワフルモンスターと出会いました。

富田との出会いがきっかけとなり、本格的に事業を作っていくことになりました。

何十と事業アイデアを考え、その中で選んだのが「家庭教師のマッチングサービス」でした。

簡単に事業アイデアの概要をまとめると下記のようなものでした。

ターゲット:
①能力を活かして働きたい名大生
②子供にあった家庭教師を探したい親
ペインポイント:
①能力を活かす働き先がほとんどなく、安い給料でバイトをしないといけない。学力を活かす働き方を検討しても、直接契約の家庭教師機会はほとんどない。家庭教師の仲介会社に多額の手数料(50%)を取られる、塾バイトは実質時給が低い。
②子供にあった家庭教師の先生を簡単に見つけられる場所がない。
提供価値:正当な対価で、望みに合う先生を見つけられるプラットフォーム
機能:最低時給2500円で任意に時給設定が可能、勉強方法や教える上での工夫を可視化、直接契約可能

家庭教師マッチングサービスを進める中で徐々にメンバーも増えていきリリース時では7名ほどのチームになっていました。

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↑当時の様子(名大NIC館のフリースペースが活動拠点だった。懐かしい。)

サービス開発は僕と当時名古屋大学で経営系のM1だった堀尾(通称ほーりーさん)の2名で行っていました。

実際にサービスの開発開始が2017年の10月からで、4ヶ月ほどかけてリリースまで持っていきました。

この家庭教師マッチングサービスは「SEKA TEA」というサービス名になりました。

「SEKA TEA」は事前リリースの開始一週間ほどで100人以上、一ヶ月ほどで500人を超える名大生に登録してもらえ、かなりいい感触を感じていました。

余談ですが、「SEKA TEA」及び「Acompany」の名付け親は富田で、クリエイティブでもあった彼女は現在のAcompanyのロゴ作者でもあります。

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↑当時富田が手書きで作成して、デザイナーに整形してもらった


株式会社Acompany爆誕

「SEKA TEA」の事業を進めていく中で、会社として事業をやっていこうという想いが個人的にも、チームの雰囲気としても生まれてきていました。

そんなタイミングで、カチノデの森さんから名古屋大学オープンイノベーション拠点(OICX)入居しないかという話をいただきました。

少し補足をすると、OICXは名大が運営する名古屋駅直通の駅ビルであるJRゲートタワー(めっちゃいいところ)にあるシェアオフィスで、カチノデはその管理を任されている会社です。

ちゃんと活動できるオフィスがほしいなと思っていた僕らにとっては、凄く熱い話でした。

ただ、当時のルールでは入居するためには法人である必要がありました。

さて、みなさんのお察しの通り、AcompanyはOICXに入居するために法人化されました。

記憶がおぼろげなのですが、2018年の4月頃に入居の話をいただき、法人登記の知見のまったくない(当時の僕は定款って何て読むの?登記って何?レベル)学生チームが登記を完了するまでに約2ヶ月半ほどかかり2018年の6月20日に株式会社Acompanyが爆誕しました。

今はFreeeなどの便利ツールがあるので、ぜひ利用しましょう。当時はそんなツールの存在も知らず、ゼロからすべて書類を作っていました。。。

最初のピボット

さて、正直ここまではあまり暗中模索ということもなく進んでいました。

つまり、アカン期に突入するのはこれからです。

きっかけは、下記のツイートから始まります。

「SEKA TEA」を通じて学生の働き方を変えたいという想いがあったので、実際のユーザーになる学生の声をヒアリングしようと思い、学生100人と話すということをやりました。

このヒアリングは約2ヶ月かかりましたが、日本中の学生100人と話をして、本当に様々な気付きを得ました

このヒアリング企画をやる中で、僕自身はとある重要な気付きを得ました。

それは、僕自身が事業を通じて実現したいと思っていたビジョンと学生の声にギャップがあるということでした。

僕は、「SEKA TEA」を通じて能力を活かした働き方を実現して、お金のために働く時間を減らすことで新たなチャレンジへの機会が広がっていく未来を実現したいと思っていました。

これは、僕自身が生活のためのバイトで時間を消費してしまっていた状況からエンジニアとして仕事をするようになり、自由になってAcompanyのチャレンジに繋がったことが原体験になっていました。

一方で、多くの学生はお金の問題よりも精神的な問題がチャレンジの足かせになっているということがヒアリングではわかりました。

結論として、「SEKA TEAでは、自分の実現したいビジョンにはつながらない」と気がついたわけです。

最高だった仲間と孤独

さて、正直な話ヒアリングを行う前の僕は、「SEKA TEA」で学生の働き方を変えて、世の中を変えていける!!と本気で思っていました。(若い)

しかし、ヒアリングを行うなかでその自信が崩れていくのを感じていました。

結論から言えば、100人のヒアリングが終わってすぐに「SEKA TEA」を撤退することを決断しました。

この決断は本当に悩みました。

「SEKA TEA」はこの時点で1年を注ぎ込んできたプロジェクトです。(実は開始タイミングで休学して本当にフルコミットしていました)

しかし、ビジョンのズレを感じ、自分の人生の10年をこの事業にかけられるか?と自問自答する中で、難しいだろうなと思いました。

この決断も辛かったですが、辛いことはさらに続きました。

撤退の意思決定でチームが実質的に崩壊しました。

この時点でのAcompanyチームは「SEKA TEA」のためのチームでした。

当時のチームは「SEKA TEA」を推進する上では最高のチームだったと思います。

それゆえに、学生の働き方を変えたいというビジョンに共感していたメンバーたちにとっては、撤退は納得ができない決断だったと思います。

このときは、本当に自分の無力さを痛感し、本当にしんどかったです。

最終的には、僕と当時の取締役だった戸ヶ里の二人になりました。

と言いつつも、この時点で戸ヶ里も抜けたいという話をされていて、何とか引き止めたものの、心理的には圧倒的に孤独な状態でした。

さらに、辞める決断はしたものの次に何をやるかは全く決まっていない状態で、本当に暗闇の中にいる感覚でした。

創業してたった4ヶ月で第2創業期

しんどい状況ではあったものの、何もしないのが逆にキツかったので次の事業をどうしようかと一日中考える日々を半月ほど過ごしていました。

ノートに色々思考を書きなぐりながら、だんだんと自分の中で次の事業への意思決定軸がみえてきました。

まずは、ピボット理由にもなった10年かけても後悔しないと答えられる事業であること。

2つ目は、「SEKA TEA」も同じ思想があったのですが、仕組みを作って世の中に価値を創出するということ。(労働集約的なイメージではなく、ソフトウェア的なイメージ)

3つ目は、やれそうだなということに縛られずに大きなチャレンジをするということ。これは、1つ目の話とも繋がるのですが、社会人経験のない学生起業の自分はこれくらいの覚悟を持たないと結局小さくまとまって、同じことを繰り返すだろうと思ったので加えました。

事業の方針
・10年かけても後悔しない事業
・仕組みで世の中に価値を創る
・できそうなことに縛られず、大きなチャレンジをする

これらを踏まえて、次の事業ではブロックチェーンの社会実装に取り組むことに決めました。

ちょうど当時はブロックチェーンが話題になり始めた時期でした。

「SEKA TEA」の開発をやっていた頃から個人的にERC721 Token(NFT)の発行をやってみたりしており、技術的に面白いなと思っていました。

また、学生100人のヒアリングの真っ最中だった2018年8月に、ブロックチェーンの話を当時グノシー代表だった福島さん(現LayerX代表)とお話する機会がありました。(お会いしたのが2018/08/10で08/01にLayerXの創業なので、移行期間だったのかも?いただいた名刺はグノシーだった)

今はブロックチェーンの会社ではないLayerXですが、初期はブロックチェーン企業として設立されていました。

その会はほんの2時間ほどでしたが、改めてブロックチェーン技術の面白さと可能性を感じました。

余談ですが、このときは自分のやっていることに自信が持てておらず全然自分の考えを福島さんに話すことができなかったことが悔しかったです。

最高の仲間と真っ暗な道の始まり

2018年10月にブロックチェーンにピボットした直後のタイミングで、新しい仲間が増えました。

それが今のCTOの近藤です。

近藤は、名古屋工業大学のM2で当時から自分でも事業を立ち上げようと色々と活動している人物でした。

事業の立ち上げのほか、前述の福島さんが名古屋に来るきっかけになった名古屋工業大学で吉田塾(エブリー代表の吉田大成さんが塾長で様々な超豪華ゲストを呼んで開催されていたイベント)の立ち上げをやったりしていました。

Acompanyがブロックチェーンにピボットしたタイミングで、近藤もちょうど今まで一緒に事業の立ち上げを目指していたメンバーと離れ、一人で事業案を探している状況でした。

名古屋の学生で起業に関心がある人物としては、トップクラスに優秀だと感じており、会うたびにジョインしないかと誘っていました。

最終的にジョインのきっかけになったのは2018年のTechCrunch Tokyoに近藤が参加し、Omiseの長谷川さんの話を聞き、ブロックチェーンが熱いことを確信したことでした。

現地で話を聞いた瞬間にメッセンジャーで僕に連絡が来て、正式にジョインが決まりました。素晴らしい行動力。

近藤が入ったことは、想像以上に大きな効果がありました。最も大きかったのは心理的な面でした。

孤独感を強く感じていた中で、自分と同じレベル感で覚悟を決めて事業に取り組もうと腹をくくっている仲間ができたことは、本当に大きな支えになりました。

当時M2だった近藤ですが、春に起業すると決めてから就職活動は一切辞めてAcompanyへのジョインがなければそのままニートになってでも事業を創ろうと決めていたような人物でした。

Acompnyの創業当時は、学生のみのチームだったこともあり、そこまで覚悟を決めているメンバーは一人もいませんでした。覚悟の決まっている仲間がいるかどうかはその他何よりも重要だなとこのとき身に沁みて気が付きました。

近藤の加入で、高橋、戸ヶ里の3人となったAcompanyは、12月にはブロックチェーンの開発案件を受注して、事業をスタートさせました。

信頼できる最高の仲間が加わり、新たな事業も無事スタートできたと思っていたのですが、さらなるハードシングスが待ち受けていました。

というのも2018年1月26日、日本のみならず世界中で大きな話題になったコインチェック事件が起きており、ブロックチェーンは怪しい、危ないと言われているような状況でした。

「トレンドが逆行している状況がここまで苦しいのか…」と当時の僕は身を持って体感しました。

また組織としても大きな変化を迎えていました。

取締役だった戸ヶ里がAcompanyを離れる意思決定をしました。そして、後任として僕と一緒に「SEKA TEA」の開発をやっていたほーりーさんが取締役に就くことになりました。

もともと就職する予定だったほーりーさんですが、博士課程に進むことになり、研究者と並行してAcompanyへ再ジョインすることになりました。

このタイミングで現時点でのAcompanyの取締役と同じ布陣になりました。

ひたすら暗中模索

2019年の1年間は本当に真っ暗闇の中をもがきまわっていました。

仕事がなく、やることがない。

しかし、なにかしていないと落ち着かない。

この時期は世界中のブロックチェーンプロジェクトをひたすら調べて、何か自分たちに活かせるものはないかと日々考えていました。

海外のブロックチェーン関連のメディアを毎日チェックしたり、TwitterでBlockchainのキーワードを毎日検索したり、ボットでキーワードにヒットする記事などを収集して読み漁ったりしていました。

フリーランス向けの与信サービス、学習履歴をトークンで管理するサービス、知財の研究開発情報を管理するサービス、学生向けにインターン歴と業務成果を蓄積するサービス、etc.

本当に様々なサービスを考えては、話を聞けそうな人を探して、仮説検証を繰り返していました。

ただ、技術をどう使おうかという視点が強すぎて全く手応えを感じることなくあっという間に半年以上が経過していました。

転換点になったのは、2019年10月にブロックチェーンによる製造業サプライチェーンのトレサービリティと最適化サービスのアイデアが愛知県のアクセラプログラムに採択されたことでした。

アイデアのベースは、当時IBMがブロックチェーンを用いた食品サプライチェーンのトレーサビリティサービス「フードトラスト」が伸びていたので、これを製造業に当てはめたものです。

今見るとなかなか豪華な採択メンツ…!(http://aichi-oi-accelerator.com/aoa2019/)

このアクセラがきっかけとなり、現在のAcompanyの事業に大きく近づくことになります。

TOYOTA強し、参入余地なし

本当に全くイケていない会社だった僕たちは、アクセラに採択され、小躍りしていました。イケる!イケるぞ!と。

しかし、残念なことにこの勢いは一ヶ月後には完膚なきまでにゼロになりました。

アクセラに採択されたことをきっかけに、TOYOTA関連のDENSOなどの大手製造業メーカーにアイデアを提案していきました。

しかし、TOYOTA生産方式などで知られるようにTOYOTAは強力なサプライチェーンをもち、最適化が進んでおりニーズが全く見つけられませんでした。

アクセラで知り合った担当の方に粘り、いろいろな部署に何度も面談させてもらったりしましたが、かなり厳しいと言わざる得ない結果でした。

アクセラ採択当初の勢いは完全にゼロになり、チームとしても希望を感じていたからこそ、反動で相当暗い空気になっていました。

光明が指す

かなり意気消沈しつつ、各社のヒアリングの議事録を眺めていたときにあることに気が付きました。

複数の場所で「データ活用はしたいが、データは出したくない」という声が出ていたのです。

このとき、とあるブロックチェーンで活用されていた秘密計算という技術でこの課題を解決できるんじゃないか?と思い至りました。

まさに、Connecting the dots…!

ここから秘密計算の技術状況とプレイヤーを調査していきました。

すると、技術的にはMPC(Multi-Party Computation)方式が実用段階に入ってきており、プレイヤーは国内では研究レベルが数社、グローバルでも十数社程度しか存在していない状況でした。

これはスタートアップのチャレンジのステージとしては相当に熱いと感じました。

当時、ブロックチェーンドメインでは、「中国 ブロックチェーン企業 10万社」といったニュースが出ている頃でした。「MPCに取り組む企業は世界でも十数社しかいない!?めちゃくちゃチャンスじゃん!」と興奮したのを覚えています。

MPCのマーケットならばグローバルでも十分勝負できる可能性があると感じ、2019年末から2020年頭で秘密計算へとピボットをしていきました。

おわりに

さて、これでAcompanyのアカン期の話は終わりです。

秘密計算事業に取り組む今のAcompanyもまだまだ目指す山の1%にも満たない状況ではありますが、登る山がわかっているという状況は暗中模索の時代から考えると、やはり全然状況が違うなと身に沁みて感じます。

こんな長文の記事をここまで読んでくださって本当に感謝いたします。

この記事で伝えたかったことは、諦めずにもがいていれば本当に何かチャンスが舞い込んできたり、大きな転機になる気付きが訪れることがあるんだよということです。

特に、まさに今暗中模索の中にいる起業家の人には、山を見つけた一つの例として、何か役に立つことや気持ちを奮い立てるきっかけになってもらえれば嬉しいなと思います。

僕らも大きな山を踏破すべく、より一層チャレンジしていきます!!

最後に宣伝

Acompanyでは、秘密計算を軸にプライバシーテックの社会実装に全力でチャレンジしています!

Acompanyがどんな会社なのか?ということを下記のカルチャーデックで紹介しています!

ぜひ、少しでも興味を持っていただけましたら、高橋のTwitter採用ページからご連絡いただけますと幸いです!ぜひカジュアル面談しましょう!


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