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『DEATH NOTE』を観て

※ネタバレ含みます

原作の漫画は持っていて、何周か読んだと思う。アニメ版を通して見るのは初めてだ。


あらすじをここに書いていくのも野暮なので省略して、印象的だったシーンや、ストーリーを追いながら考えたことを書いていこうと思う。


まず、月の変わっていく様だ。wikiにも書いていたが、デスノートを手に入れて、犯罪者を日常的に殺す様になった月は、それ以前と比べて明らかに目つきが鋭くなっていく。

法律で重罪になるような犯罪に手を染めると、顔が変わっていく、ということだろうか。タブー感があるのであまり公に言われることは少ないが、犯罪者は顔が変になっていく、という話は聞いたことがある。


いろいろ考え方はあるのかもしれないが、やはり月は、ノートを手に入れてからおかしくなっていったと思う。そのきっかけはなんだったのだろうか。

そんなことについて議論(?)している2chのスレッドがあったので読んだことがあるが、そこでは月が堕ちた1番のきっかけは、コンビニでたまたま見かけたチンピラを、デスノートの効力を試すために殺してしまったこと、だという意見が多数だった。

また、wikiでは、月のプライドの高さについて書かれていた。月は間違いなく優秀ではあるが、それだけに自分の過ちを認めるのが難しく、嘘に嘘を重ねてしまう性向があるということだった。


この指摘は的確だと思う。月には極端な所があり、一気に「いい人間」から「悪い人間」に変わってしまったのだと思う。


次に、Lと月の関係だ。彼らはキラ対策本部として行動を共にする様になる。

印象的だったのは、Lが月のことを、「初めてできた友達」だと告白(?)している場面だ。月は、その言葉を演技であると認識していたが、そうだろうか。

そんな演技をLがする必要はないと思う。月は強引に無茶な論理を組み立て、Lの好意を拒絶していたのではないだろうか。あのLのことばは、案外本心だったのではないかと思っているし、本心であってほしい様な気もする。

知能のレベルに一定以上の差があると、コミニケーションが成立しなくなる、というような話もあるらしいが、賢く、そして人を簡単に信用しないLにとって、対等に話せる月の存在というのは本当に大きなものだったのではないかと思うのだ。


最後に物語全体を通して読んで思うことを雑に書いていきたい。

かなり知的な漫画だと思う。そして、キャラや世界観も結構リアルだと思う。そこに、「デスノート」というひとつだけ非現実的な設定が出現する。

こういう感じの物語が好きなのかもしれない。現実ではあり得ない設定を含みつつも、その設定に対する世界の反応は、リアルさを突き詰めている、というような世界観だ。


月はよくモテる。作中に登場する女の子が、月の虜になっている描写がいくつかあった。確かに、能力が高く、容姿端麗で、一見誠実そうな月がモテない方が不思議だろう。

そんな月の振る舞いに参考にできる部分がないかと探しつつも、客観的には月は凶悪犯罪者であるという事実を思い返し驚く。当たり前だが、モテることが正義なのではないのだ。多分。


月の煽り耐性の弱さについても、2chに多くの書き込みがあった。Lがテレビで月を挑発したのに対して月は応戦して二人の対決が始まったが、そもそもそこで月が応答してなければ、Lはキラの正体の手がかりを得ることはできなかったのだ。

他にも、月が感情的になり余計なことをしてしまう場面がいくつかあった様に思う。そういうのを含めて考えると、Lと月ではLの方が賢かったのではないかと思う。


それでも月が勝てた一番の要因は、月の運の良さにあるのではないかと思う。ミサが第二のキラになったこと、たまたまミソラナオミに出会ったことなど、偶然を味方につけ、Lを出し抜いているシーンがあった。


なんだかそんなところにも、リアルさの様なものを感じる気がする。Lは感情的にならずに終始冷静に論理を組み立て月に対抗するが、月は感情的になりながらも、上品に、そしてどこか情熱的に、行動する。

そんな月の「綺麗さ」(?)の様なものが、運を引き寄せる、というのは、なんとなく現実でも結構あることの様な気がするのだ。


そんなところも含めて、何度も書いたが、とてもリアルなストーリーだと思う。そして、世界最高峰の知能を持つ設定である、Lと月の頭脳戦を、その周りの警察組織やマフィア、マスコミに、その他あらゆる社会との関係を交えながら描き切った作者も、相当に賢い人なのではないかと想像する。

もう何度を鑑賞した作品だが、それでも今回も夢中で観終えることができた。


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