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電子処方箋の最大のメリットは“持参薬入力業務”の縮小化かも!!の話

2024年。
国内の各医療機関は、厚生労働省が推し進める医療DX(デジタルトランスフォーメーション)による診療の実現をさらに発展させようと、『電子処方箋(でんししょほうせん)』のシステム導入に苦慮している。

その大きな要因は、国の補助金では到底カバーできない膨大な電子処方箋のシステム導入費用にある。

実際にかかる電子処方箋のシステム導入費用は、病院の規模(病床数)よって様々だが、200床未満の小規模病院ならば最低でも400万、200床以上の大規模病院になると600万以上かかるとされ、

さらに“リフィル処方箋の発行”や、薬局のオンライン資格確認による患者の“処方・調剤情報の閲覧”、“重複投薬や併用禁忌のチェック”などの機能を追加すると、その費用は1,000万は優に超すとされている。

コロナ過後も患者数が回復せず、医療費収入の減少で厳しい経営が続く病院にとって、電子処方箋のシステム導入にかかる費用負担はただ事ではない。

そうはいっても、令和5年4月にオンライン資格確認がそうなったように、電子処方箋の運用が『義務化』されるのも時間の問題だろう。

そこで電子処方箋がどういったものなのか?、改めてそのメリットを考えてみると、意外なことに気づいたので書き留めておきたい。

電子処方箋はその言葉の響きから、“紙の処方箋を電子化する”、いわゆるペーパーレスというイメージが先行し、一般的にもそう捉えられている。

しかし電子処方箋の本質はその先にある。

処方箋を電子化することで、医療機関と薬局間で、患者の処方・調剤情報をリアルタイムで共有し、自院の薬剤情報はもちろん、他院で処方された薬剤との重複投薬、併用禁忌のチェックを行うことができるようになる。

つまり、電子処方箋は医療機関・薬局・患者の三者間で、より安全で質の高い医療の実現を目指している。

電子処方箋のメリット

改めて電子処方箋の導入メリットについて列挙してみた。

「医療機関」が享受する電子処方箋のメリット

  1. 重複投薬・禁忌薬チェックが行える(自院・他院)

  2. 処方箋の紛失リスクがなくなる。

  3. 持参薬の入力業務の縮小化につながる。

「薬局」が享受する電子処方箋のメリット

  1. 処方箋の薬剤入力業務が不要。

  2. 重複投薬・禁忌薬チェックが行える。

  3. 処方医からの伝言事項を確認できる。

「患者」が享受する電子処方箋のメリット

  1. 処方箋の紛失リスクがなくなる。

  2. 過剰投与・相互作用による副作用リスクの低減。

  3. 薬局での待ち時間が減る。

これら電子処方箋のメリットの大半は、ネットで探せばいくらでも転がっている話だ。

ただ唯一、1つだけ気づきにくい、医療機関にとって最大のメリットが電子処方箋にはある。

それは、『持参薬の入力業務』の縮小化である。

実は電子処方箋を導入すると、他院の処方情報をダウンロードできるようになる可能性が示唆される。

そうなれば、他院で処方された薬を、これまで「持参薬」として自院の電子カルテに登録していた入力業務を無くすことができるかもしれないのだ!

入院・外来関係なく、患者が普段日常的に服用している常用薬を、“持参薬“として電子カルテに自動で取り込むことができれば、

これまで行ってきた持参薬の入力作業が一切必要なくなり、つまりは業務の効率化に直結する。

まとめ


電子処方箋のシステム導入には、国からの補助金や初診8点(歯科の場合は6点)の医療DX推進体制整備加算(2025年3月31日までの経過措置)を見積もっても、多くの病院がその費用対効果を見出せず、眉をひそめている。

一方で、電子処方箋には『持参薬の入力業務の縮小化』のような業務効率化や、その他にも想定されていない潜在的価値を秘めている可能性が十分にある。

膨大なシステム導入費用額をはじめとして、薬局との調整、薬剤マスタの整備など、何かと前途多難な「電子処方箋」だが、日本の医療にとって電子処方箋があって良かった!と思える明るい未来があると信じたい。

ガジェキンブログ















診療受付時のマイナンバーカード認証によるオンライン資格確認を2023年から行っており、今年度は「電子処方箋」の運用を、病院運営会議承認のもと2025年1月頃から開始する予定ですが、電子処方箋による診療を行うには、HPKIカードを用いた“電子署名”が必須となるため、医師、歯科医師、薬剤師の職員の方は必ずHPKIカードの取得が必要です。

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