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ベリーショートトリップ〜たまにどこかに行っている〜
14 師走バグ
苦手な方というのは、相手方もこちらを苦手としているものである。
そういう相手とはなるだけ付き合わないか、距離をおいた方がお互いのためだ。
しかし、それでも必要に応じては接触しなければならないことがある。
そうすると、大抵トラブルに見舞われる。
最近はそれなりに距離感を保って上手くやっていた方だが、先日またやってしまった、という話。
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バイパス沿いのマックは、休みの日の朝、よく時間を潰しに行く場所である。今度新しくカフェができて、さらに潰す時間が長くなった。
昨日からの大寒波で、結露に霞む窓の外は氷点下だが、クリスマス色に彩られた店内はどこか浮き足だった雰囲気がある。
店員さんが運んで来てくれたカフェラテにハートのマキアートが乗っているのを見てキュンとした後、カバンからシルバーの板を取り出す。カフェラテをすすりながら、二つ折りのその銀板をゆっくり開き、右上端のボタンを押す。
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私の苦手なお相手というのは、そう、この、パソコンさん。
この種の方とはこれまでも幾多のトラブルを繰り返してきた。
数年前Macに変えてからは大分うまくやってい方だが、それでも、システムエラーの類は普通の人に比べたら多い方で、その度ごとに問い合わせなどに翻弄させられる。しかし、電話の相手はそもそも相手方のシステムの支配下にあり、ほとんど何を言っているのかわからない。大抵最後は、「はあ、そうですか、わかりました」と言って、わかってないのに電話を切るはめになる。
最近は自分で解決してください的なサイト上での誘導が多いが、それこそ、そこは向こうの独壇場であり、ますます手こずってしまうのである。
パソコンに限らず、スマホなど複雑な電気機器は大抵誤作動を起こさせるか、フリーズさせてしまうことが多く、その度ごとに、ブッチっと電源を落とすので、ますます誤作動を頻発させてしまう。
私は物持ちは良い方で、家電製品は比較的長く使っているが、パソコンのような複雑な集積回路を有する製品となると影響が顕著に現れるようだ。
考えられる理由は二つある。
一つは操作方法が悪いということ。パソコンさんが「待っててください」というところを、構わず次に進もうとしたり、示された手順をわかっているのに無視して違うことをする。そうすると相手は機嫌を損ねる。こちらも(なんで、また固まるんだ!)とイラついて、電源を落とす。ますます関係性が悪くなる。
まあ、それはよくあることとして、もうひとつの理由は体質的な問題である。
どうも私は、普通の人より多く何らかしら磁気のようなものを発しているらしい。
その証明になるかどうか分からないが、私は、ボールペンを使うと見事なまでに、インクが透明な筒の中で分断し、やがて飛び散り、使えなくなる。それはもう100発100中起こるのである。
であるからして、どうやら半導体などを有する精密機械で、しかも手に多く触れるものは、何らかの影響を与えないわけはないと思うのだ。
というわけで、パソコンの類は依然として相性が悪い。
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11月初めごろだったろうか、キーボードのZキーの反応が悪くなった。
そのうち反応しなくなって、Z(つ)のキーだけが出ないから、その文字だけどっかからコーピーして貼り付けてなんとかやりくりしていた。しかし、あいにくパソコンの起動パスワードにZの文字が含まれていたため、ついにパソコン自体が開けなくなってしまった。何度か強く押し続けて辛うじて開いた時、パスワードを変更したので、とりあえずはよしとした。
しかしである、その後アップロードや誤作動の症状を調べながら、ゴチャゴチャいじくっていているうち、訳がわからなくなっては、電源を落とすことを繰り返していると、どうもパソコンさん様子がおかしい。
(ドゥ、ドゥドゥ、ドゥ、ドゥドゥ、ドゥドゥ、ドゥ、ドゥドゥ、)とエラー音を発し始めた。
しばらくして、黒い画面が現れ、画面上に
「zzzzzzzzzzzzzz・・・・・」と勝手にZの文字が連打されて現れる。
(怖!)
先方、かなり怒っている様子。
また電源を切る。
立ち上げた瞬間、また
(ドゥ、ドゥドゥ、ドゥ、ドゥドゥ、ドゥドゥ、!!!!)
そして
「zzzzzzzzzzzz・・・・・」
不気味なのは、この(ドゥ、ドゥ、ドゥ)のエラー音が一定のリズムではなく、モールス信号のような不規則なリズムを刻んでいることである。どこかで遠隔操作されているような感じだ。
調べて色々試してみたが、ますますおかしなことになってきた。Zキーを外してみたりしたが、どうにもならない。
お手上げとなり、修理店へ連絡し、持参した。
3日後に連絡があり、結果、キーボード自体の故障で、キーボードを丸ごと交換しなければならないという。
仕方なく修理を依頼した。数日後、4万近くかかって直ってきてみたものの、普段それほどパソコンを使うこともない。そしてキーボードは直ったが、ネットにつなぐとどうも具合が悪い。googleアカウント、ソフトウエア設定、システム環境、などなど、パスワードを設定し直さなければならず、忘れてしまったパスワードを何度も打ち込んではエラー警告を受ける。
しかし、それと同時に不思議なのは、はじめ入れなかった画面や動かなかったソフトがいつの間にか改善しており、一体誰が直してくれたんだと思うところが何度かあった。
おそらくスマホを連動させるとgoogleやicloudが自動的に認識し、補正してくれているのだと思うが、それはそれで不気味でもある。知らない誰かが私に成り代わっているのだとしたら、私の認証はもう必要ないののではないか。
さて、その後、しばらくは、問題なく使えていたパソコンさんだが・・。
修理から1ヶ月過ぎて間もない先週の事。
(ドゥ、ドゥ、ドゥ・・・)
「zzzz・・・」
信じがたいが、またあのZ信号が現れたのである。
修理時に説明は受けたが、別に直ればいいと聞き流しており、原因がキーボードの他にあるとしか考えられない。
修理店に電話をする。
「先月修理をしてもらったものですが・・」
と全く同じ症状が現れていることを説明する。「え、あ〜そ、そうでしたか、そうしましたらまたお持ちいただいて診断させていただくことになりますが」
と、修理店も少し面食らったような応答。
保証については、同じ症状なので、無償で対応ということだったが、原因が別にあるとすれば、別途修理代がかかるかもしれないという。
とりあえず再度診断をお願いし、店に持参した。
翌日連絡があり
「やはり、キーボードが原因としか考えられず、もう一度交換させていただきますが、よろしいでしょうか」との事。
「直ればいいんですが、同じ症状なので、キーボード交換してもまた同じになりませんか?」
「そうなんですが、今のところ他に原因が見当たらず、ですね、交換に関してはもちろん無償でさせていただきますが・・」
「そうですか、直ればいいんで、じゃお願いします」
と詳しいことを言われてもわからないので任せることにした。
というわけで先日、修理完了の連絡があり、再び受け取り行った。
「こうした故障はよくあるんですか?」
「はい、たまにありますね。キーボードが一体型になっているため、全部交換しなければならないんですが、大抵はこれで直るんですが…」
「同じことが2回起こることは?」
「ん〜ん…な〜い〜ですかね〜こういうことは…」
「また同じことになったら、また交換するしかないですかね」
「あ、はい、、でも、大丈夫だと思うんですが・・多分…」
その後、私の特殊な体質が原因かもしれないというと
「そうですか、それはお気の毒に、ですね・・・」
と困った様子である。お気の毒なのは無償で交換するハメになる修理店の方であろう。
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これを打っている今、まだZ信号は表れていない。しかし、色々設定をいじくったせいか、noteのサイトページがパソコンで開けなくなってしまった。スマホからしか開けず、パソコンのメモ帳で書いたのち、一度同期させたが、その後この同期も不具合が生じて、動かない。
絶好調で相性が悪い。
仕方なく、一度自分自身にメールで送り、スマホで開いて、コピーし、それをnoteに貼り付ける。
俺は何をしているんだろう。
年の瀬せまるマックにて。
良いお年を。
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