見出し画像

心臓のドキドキ自体が、脳に影響を与え心を不安にする

不安は心拍数を上昇させるが、その逆はあり得るのか?

How an anxious heart talks to the brain というnatureの真面目な論文記事の簡単なご紹介。論文自体もnatureに掲載されています。

不安な感情が心拍数に影響を与えることはよく知られていますが、逆に心拍数の変化が脳に影響を与えるという話です。

光遺伝学で心拍数を上げてみた

実験では「光遺伝学(オプトジェネティクス)」によって心拍数を制御。ChRmineと呼ばれる赤色に反応する光受容性タンパク質(=チャネルロドプシン)を使用するため、マウスには1分間に900回点滅する赤色マイクロ発行ダイオード付きのベストを着させます。

その結果、赤色光が心筋細胞のChRmineを活性化し、タンパク質が開き正電荷イオンが流れ込みます。そして、細胞が脱分極し、マウスの心拍数が増加しました。

心拍数増加後、不安な行動が顕著に増えるマウス

Fig. 2: Optically induced tachycardia increases anxiety-like behaviour.

光刺激によって心拍数が増加したマウスは、屋根のない場所やオープンフィールドの真中など、(刺激してないマウスと比較して)マウスにとって危険を感じる場所を避けるようになります。

つまり、心拍数が増加したことによって不安が増したということになります。

後島皮質(posterior insula)と脳幹の2つの領域のニューロンが強く活性化

心拍数増加によって、後島皮質(posterior insula)と脳幹の2つの領域のニューロンが強く活性化することが分かりました。

島皮質(insula)は元々、不安行動不安心理関係していることが知られています。

後島皮質(posterior insula)の活動抑制により不安行動は減る

心筋細胞を活性化するために用いられたChRmineと別に、青色に反応する光感受性タンパク質を用いて、光遺伝学的に後島皮質(posterior insula)の神経細胞を抑制しました。

すると、心拍数が増加しているにもかかわらず、さきほどまで見られていた不安行動が減少することが観察されました。ちなみに、別の領域である内側前頭前野を抑制しても不安行動への影響はありませんでした。

つまり、心拍数の増加がマウスの不安行動を促進し、それは後島皮質(posterior insula)を含む特定の脳部位によって媒介されるということを発見したことになります。

【龍成メモ】

原理をしっかりと検証したという点で、今回の研究は非常に重要なですが、身体に影響を与えることで脳をコントロールするデバイスは既に発売されています。neumoのレポートにも登場します。

#ブレインテック #心拍数 #光遺伝学

よろしければサポートお願いします。 頂いたサポートは心のエネルギーになり、さらに記事を書くモチベーションに繋がります。 ありがとうございますm(_ _)m