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一歩進んだ音楽理論 和声学編

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和声についてのあれこれをご紹介していきます。
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2023年4月の記事一覧

vVの和音の第5音下方変位 一歩進んだ和声学 Part 23

今回はvVの和音第5音下方変位についてを学びます。文字通り、vVの和音の第5音を半音下げたものです。実はこれはポピュラー音楽で裏コードと呼ばれているものに該当するものです。裏コードはII♭7の和音のこと(キーがCメジャーならD♭7の和音)を指しますが、どうしてvVの和音第5音下方変位が裏コードになるのでしょうか。では早速見ていきましょう。 1 vVの和音第5音下方変位さて、vVの和音第5音下方変位は以下のように表します。 vVの和音第5音下方変位は使われる形が限られます。

IV7の和音 一歩進んだ和声学 Part 24

今回はIV7の和音についてを学んでいきます。では早速見ていきましょう。 1 IV7の和音IVの和音に第7音を付加するとIV7の和音が出来上がります。 この第7音も予備が必要です。 IV7の和音は4つの低音位(基本形、第1転回形、第2転回形、第3転回形)をもちます。 配置の制限はなく密集、または開離配分で配置します。 また基本形に限り第5音を省略し、根音を重複させることができます。 基本形の上3声はなるべくすべての構成音を含むのが良いです。 現段階で第3転回形を用いる

+IV7の和音、-IIの和音 一歩進んだ和声学 Part 25

今回は+IV7の和音と-IIの和音を学びます。 1 +IV7の和音短調において、上方変位されたVI音(↑VI)を第3音としたIVの和音を用いることがあります。これをドリアのIVといい、+IVと表記します。 +IVの和音は三和音、7の和音、7の和音根音省略形、9の和音、9の和音根音省略形がありますが、もっぱら使われるのは7の和音である+IV7の和音です。 +IV7の和音は4つの低音位をもちます。 基本形に限り、第5音を省略し根音を重複させることができます。 各低音位の

IV+6の和音 一歩進んだ和声学 Part 26

今回はIV+6の和音についてを学びます。これはポピュラー音楽では6thコードと呼ばれているものです。和声学においてはどのような機能を持っているのか、早速見ていきましょう。 1 付加6の和音3和音の基本形に、根音の6度上の音を付加させたものを付加6の和音といいます。+6をつけてI+6のように表記します。 ここでは特に使用されるIV+6の和音のみを取り扱います。 2 IV+6の和音IV+6の和音はIVの3和音に付加第6音を付加させたものです。 第6音は上行限定進行音で2度