使役の言葉をつかってはいけない【○○させる】
周りに信頼される上司になるには
ぼくは社会人になって13年、もう立派な中堅です。
これまでにたくさんの先輩から仕事を教わり、たくさんの後輩を仕事を教えてきました。
今はフリーランスとなり、3社と契約をしながら、各社の方々に作業をディレクションする仕事もしております。
(ここでの[ディレクション]は、与えられた(もしくは自分が必要と感じた)ミッションに対して、適切な作業分割をして、作業者に仕事を依頼することを指します。)
そんな、たくさんの人に仕事をお願いする立場の仕事をしています。
ぼくは今、ディレクションの仕事になるべくしてなっている思います。それは誰よりもお客様のことを考え、企業の方向性を考え、そこからやるべきことを作業者の成長できる領域に落とし込んだ上で、依頼をしているからです。
大きなお題目を、細かな作業をする人に依頼して、全体を管理することを得意としています。
ぼくは仕事を依頼するときに、その人にプラスになるところを意識して、仕事を依頼しています。
たぶんこれ、いい考え方。中堅くらいの年代としてはマインドとして非常に良い。
なので、ぼくがなぜこんなことを思ったかをお話ししたいと思います。
これから若手を多数抱える同じ年代の人、そして今は上の人から仕事をたくさん依頼されている若い人がこの記事を見てくれればいいなと思います。
社会人5年目まで自分が最高の戦力だった
新卒のときはIT企業のSEでした。
新卒のときはオフィス家具の営業になるつもりでした。ITに興味なかったのですが、なんだかんだでSEになりました。
SEになってくすぶっていた社会人3年目頃に、当時の課長から新規事業をつくれと言われ、めっちゃやる気になって結果を出しました。それが今も自分が主戦場としている事業です。
結果を出すと、他の人がスローに見えるんですね。
別の事業で同じように頑張っている先輩と飲みながら、周りよりも自分たちができていると鼓舞し、ますます結果を出すように頑張りました。
人にお願いするようになり、マインドが変わった
やがてぼくの仕事はひとりで仕事をすることに限界を感じ、周りに仕事を依頼することになりました。
自分がやればいいのに、手が足りないから人にお願いするんだって思っていました。
派遣の方と面談をしました。後輩もぼくの部署に来てくれました。その中で一回り以上も年上の先輩が仕事を手伝ってくれるようになりました。
その先輩は、過去に炎上中の大規模案件を途中から引き継ぎ、地獄の業火に見舞われていた先輩です。案件が鎮火した後に、しばらく休養をしてからぼくの仕事を手伝ってくれました。
でもぼくは、その人のことを受け入れられませんでした。
だってその人はぼくの専門分野のスペシャリストじゃないから。自分のスペシャリティの中で成果を出せなかったから、炎上案件に巻き込まれたんでしょって思ってました。
自分の切り開いた分野なのに、この領域を知らない人が、突然先輩風を吹かせてやってきた
先輩が教えてくれた言葉
今になって思えば、その先輩はすごく気を遣ってくれていたんだと思います。
案件を取ってくるところには口を出さず、サポートの部分で助言をしてくださいました。
会社から見ても新興勢力のぼくの領域、ベテランをサポートにつけて盤石にしたかったと思いますし、その先輩もあまり口を出さずに気にかけてくれていたと思っています。
その先輩にたくさん褒めてもらいました。
良い指導をしていただきました。
その先輩から、唯一お叱りを受けました。
その言葉を、深く刻みながら、ぼくは今も仕事をしています。
部下や後輩に使役の言葉をつかってはいけない
先輩とプロジェクト全体の進捗会議をしていました。
各プロジェクトに誰を割り当て、どんな成果を出しているか、それぞれのプロジェクトは進んでいるか。
全体を網羅した報告をしていました。
その会議のときに、先輩がぼくに言ってくれたのが、表題の言葉です。
「○○さんは工数が空くので、こちらのプロジェクトをやらせます」
ぼくは「してもらう」ではなく「させる」と言っていました。
「○○のタスクが空いたら××をさせる」
と言っていました。
そこを先輩は厳しく正してくれました。優しく正してくれました。
「人に作業をお願いする立場であれば、[○○させる]という、使役の言葉をつかってはいけないよ」
穿って、人にお願いすることを覚え、背伸びをし出したぼくに、その言葉は胸に深く刻みつけられました。
あれから8年くらい経ちます。
今はもう会えない、その先輩は、今のぼくを褒めてくれるかなぁ。