2020.4.23 線香花火の灯は消えず。
線香花火はあのように光らなきゃならない。
持ち手と発火の安定したあの花火に憧れてはいけない。
線香花火がもし嫉妬をしたら、どうなる。
夏の夜。じっとりと、汗。微笑み。
の、時間と空間は成り立たなくなる。
線香花火は気が短い花火ではない。
線香花火は光るのみ。
輝くのみ。
灯。
眺めた時間は消えない。
眺められなければならない。
気安く走り回られてはならない。
線香花火はあのように輝かなければ。
いつまでも乾かない初夏の汗を涙という。
たかが発火ごときでそれを乾かしてはならない。
線香花火は乾かない初夏の汗をたたえているのだ。
終わらない夏のことを人は線香花火といい、線香花火が線香花火でなくなったときあの汗は乾き夏は散る。
散らぬ夏のことを指してそれは線香花火、首筋をさらして笑う存在のことを言う。ためらいもなく。
線香花火。
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