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酒詩『小布施ワイナリー ソガペールエフィス サケエロティック TROIS 2018』

この一杯に 何を込めよう
花束か 思い出か 得難い何かを
あるいは
日常を

その全てが大きすぎて、あるいは小さすぎて
わたしはめまいがする
あまりにそれは
そのもの過ぎて いつも困る

そこにすべてがつまっていてはいけないのだ
それは喜びを伝えるものだから
けれど足りなくてはいけないのだ
その満足なしに 次へは行けないから

すべてがある
あの丘の星空 コンビニパンの
けれど足りない
静寂が 鐘がなる境内 舞え幼子

もったいない一杯をくれ
飲むことも捨てることもできずに
幾年が経つような
口の中では四季がめぐる

誰もかなわない愉悦をくれよ
ほらぼくがこうして
世界を斜めに見るさなか
こっちだ と つよく ほら

ああほら あいつと飲みたい
今宵も あいつと飲みたいが
あいつには
あいつの夜があって 沈殿

どうか

混ざり合わないものは
混ざり合わないままに

どうか

ちらりとわく想像力が
置いてけぼりにされますよう
左手で
グラスを持ってみたりする
(左利きの方は右手で さあ)

これは壁ではない
壁では
ああ 飲みたいやつがいるのさ
いつの夜も この夜も 明日も

猶予のない我らに 夢とどうか

一抹の寂しさと優しさを

ほんとうに後悔しないための優しさを

何度でも繰り返してほしい

繰り返す後悔の前では

3秒程度の優しさを 時が撫でる今を

――痺れる、今をよ

わたしの てのひらに どうか


酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。