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思うこと:安齊勇馬選手のこと(全日本プロレスのこと その6)

 全日本プロレスが3月30日に開催の大田区総合体育館大会にて、安齊勇馬選手が三冠王座を初戴冠されました(二度目の挑戦)。これまで宮原健斗選手が持っていた史上最年少記録(宮原健斗選手は2016年2月11日に当時26歳11ヶ月で達成)を更新し、24歳11ヶ月での戴冠となりました。おめでとうございます。

 安齊勇馬選手は全日本プロレスに入門テストを経て入団という経緯ではなく、最近の全日本プロレスでは珍しいスカウトによる入門でした。諏訪魔選手が、同じ大学(中央大学)のレスリング部出身の後輩をスカウトしたという構図です。故ジャンボ鶴田氏も同じ中央大学のレスリング部出身で、全日本プロレスの創業者である故ジャイアント馬場氏からスカウトされたという構図とも、時代を経て継がれた形となりました。

 デビューは2022年の9月に行われた日本武道館大会で、入門して約半年後でした。デビュー戦はシングルで、相手は新日本プロレスの永田裕志選手でした。全日本プロレスの安齊勇馬選手への期待度の高さが伺えるマッチメイクでした。

 その後、スーパールーキーとしての才能を如何なく発揮し、その年の東京スポーツ制定のプロレス大賞新人賞を受賞しました。

 2023年には当時の三冠王者であった新日本プロレスの永田裕志選手へ挑戦。デビュー戦の借りを返すべく立ち向かいますが返り討ちにあってしまったりと、ベルト戴冠という目に見えた実績を手にすることはなかったですが、全日本プロレスの中心で活躍していました。

 安齊勇馬選手の最大の特徴はイケメンでしょう。しかも、プロレス界というか、プロレスラーとしては、なんていう枕言葉が必要ないくらい、芸能人の中に放り込んでもイケメン具合になんら遜色ないという、正真正銘さなのです。

 なのに、リング上での表情が素晴らしいのです。表情が素晴らしいプロレスラーとして、新日本プロレスの小島聡選手を私は真っ先に思い浮かべるのですが、匹敵するほどに、そして憎らしいほどにいい表情をするのです。艶気、色気があると言いますか。

 特にやられていても、ぐっと相手を睨みつける表情をが素晴らしいのです。正真正銘のイケメンフェイスのまま、劣勢の中で相手を睨みつけるのです。そりゃ、女性ファンは増えるよ。

 容姿のよさはプロとして大事なものですし、それもまた才能なのです。見た目で判断するなといいつつ、見た目も重要という矛盾を抱えるのが人間なのです。最初のキッカケはなんだっていいのです。容姿がいいから気になった、それでもいいじゃないですか。持って生まれた才能をフルに利用すればいいのです。

 もう一つは、全日本プロレスのエースの系譜というか、天龍源一郎氏からでしょうけど、受けの素晴らしさだと思います。宮原健斗選手と同じように、プロレスラーとしては細い体にも関わらず、受けまくります。そこがいいのです。

 勿論、まだデビューして2年も経っていないということもあり、荒削りですし技が少し軽いといった弱点はありますが、レスリングに裏打ちされた技術力をベースに、そして技の種類を必要以上に試合中に沢山出さずにリズムを組み立てるといったことは意識されて実践されていると思いますので、そんな弱点は直ぐに修正されるでしょう。

 元々空手もやられていたということで、今後は打撃技も出てくるかもしれませんし、渕正信選手から伝授されたフェイスロックもいつか出してくるでしょうし。

 昨年後半から社長が迷走したり、所属選手が去っていったりといったことでファンが不安になっていたとき、今年になってX(旧ツイッター)のポストで「全日本プロレスの未来ではなく今になる」と宣言されていました。

 その宣言どおり、「今」となって新時代を切り開き、新しい風景をファンに届けました。次は、その風景が素晴らしいものなのか、ファンが見たいものであるのか、が重要になってきます。

 私は心配していません。安齊勇馬選手ならできます。願わくば、「今」でありつつ、まだまだ「希望」であり「未来」でもいてほしいです。

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