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思うこと:チャンピオン・カーニバル2024(全日本プロレスのこと その7)

 全日本プロレスのチャンピオン・カーニバル2024が5月12日の横浜BUNTAI大会において宮原健斗選手の優勝という結果で幕を閉じました。激戦揃いのシリーズで堪能しました。

 お家芸の迷走が昨冬から続いていましたが、このチャンピオン・カーニバル2024ではそれがまるで幻だったかのような感じで、これぞ全日本プロレスだよなっていう雰囲気というか空気感を作ってきていて(これは人それぞれですが私にとっては、という意味と捉えてください)、それが逆に不安にもなる(笑)ような気持ちです。

 特に宮原健斗選手の戦い振りは素晴らしく、優勝に値する内容だったなというのはファンの総意と言っても過言ではないかと思います。ブロック突破を賭けたデイビーボーイ・スミス・ジュニア選手との試合、決勝戦となった斉藤ジュン選手との試合はファンの中でも高い評価が多く、こういう試合をチャンピオン・カーニバル、全日本プロレスに求めているんだっていう声も多く目にしました。

 ここ最近からの変わりようからオールジャパン・プロレスリング株式会社(全日本プロレスを運営している会社)の社長が交代したんじゃないかとか、アドバイバーの霊媒師が代わったんじゃないかとかいう話も飛び交うほどです。(社長のインタビュー発言から霊媒師にアドバイスを求めたりされていたようです。)

 社長としては団体に刺激を与える意味で中嶋勝彦選手を呼んだのでしょうけど、そもそも全日本プロレスというか、多数のファンが求める全日本プロレスの戦いに馴染めなかったのは誤算だったのでしょう。

 勿論、中嶋勝彦選手の参戦により彼のファンが会場に来たのも事実だと思いますし、私もそれは会場で感じました。ただ、想定していた期待値よりも少なかったのかなというのと、全日本プロレスがファンに提供する試合という面での高い評価は得られなかったという結果になってしまったのでしょう。

 中嶋勝彦選手は素晴らしい選手です。彼のことを嫌いな層も一定数はいるようですが、私はただただ全日本プロレスには合わなかったというのが大きな原因だったなと捉えています。

 良くも悪くも多くの全日本プロレスファンはリング内外の外の部分は楽しみこそすれ焦点をあまり合わせず、リング内、試合の内容で最終的な評価を下すという方が多いように思います。リング外で色々と面白いことが行われ、それを面白がったとしても、それと試合内容の採点は別ですという意味です。

 団体側としてはリング内外含めて出来事全体で評価してほしいという気持ちが大きいと思いますし、そう思ってしまうことは理解できます。リング内だけに絞るのは、これで足りるのだろうかという不安や疑心暗鬼になることにも繋がるでしょうし、以前から試合内容がいいと言われながらも集客に苦しんでいる団体としてはそのような発想になるのは当然とも言えます。

 リング内だけに絞ると既存のファンはいいのですが、新規のファンの取っ掛かりという部分では大変だということは分かります。

 ただ今回盛大に実験した結果、リング内を充実させ続ければいいという答えは出たような気がします。集客の面についての苦戦は前段に記したとおり課題としてありますが、試合内容をリング外における物語に紐付けするのではなく、それこそ斉藤ブラザーズがTAXiめし(ミヤギテレビで放送の「OH!バンデス」の一コーナー)でやっているような、プロレスと直接的には関係のないことで観客を集めるという方法が全日本プロレスには合っているのではないでしょうか。

 そこで興味を持たれた方を試合で圧倒してリピーターになってもらい、ファンになってもらうというプロセスが、プロレスに関係したリング外の出来事を提供していくよりもスタイル(あw)的には合っているというのが分かってきたように思えるのです。

 去年の冬からこれまではそれを判断する壮大な実験だったと。ただ、ちゃぶ台返しが得意なのも事実なので、いきなりまたメチャクチャなことをやらかすという危険な香りもまだ残ってはいるのですが……。

 多くの昔からの全日本プロレスファンは近視眼的な人やこうでないといけないという意識が強い人が多いのは事実で、新規参入の障壁とまではいかないまでも悪い意味で壁を作ってしまっており、その状況を打開するということで青柳優馬選手が言われているとおりの社長の筋書きだったとしたら、とんでもない手腕を発揮しているなと思いますね。そうではないでしょうけど。

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