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思うこと:視点(全日本プロレスのこと その1)

 昨年末から全日本プロレスは、黒幕がどうとか、選手の退団(離脱)とかでかなり揺れております。それはアングル(仕組まれたもの)なのかどうかといったことも含め、ファンの間でもヤキモキする感覚が続いているのかなと感じています。

 キッカケは、昨年11月からの元ノア(というより健介オフィスかw)の中嶋勝彦選手の参戦と、三冠奪取ではないかと思います。

 中嶋勝彦選手の参戦や三冠奪取に嫌悪感を示すファン層というのは、中嶋勝彦選手のサイズ(全日本プロレス基準ではジュニアヘビー級)に起因するところも大きいと思います。私もその一人です。(中嶋勝彦選手自身は素晴らしいプロレスラーです。)

 昨年大晦日の代々木大会、中嶋勝彦選手の三冠に、全日本プロレスの顔でありエース、しかも健介オフィスにおいては中嶋勝彦選手の後輩にあたる宮原健斗選手が挑戦しました。昨年7月にもノアで一騎打ちをしており、そのときは中嶋勝彦選手が勝利したため、今回は宮原健斗選手が勝利し三冠を奪還して、よい気分で新年を迎えることになるだろうと予想したファンも多かったと思います。私もその一人で、その雰囲気を生で感じたくて会場で観戦しました。

 実際に会場にいてびっくりしたのは、意外と中嶋勝彦選手のファンが多かった、彼を目当てに観戦に来ている人が多かったということでした。(それを否定したいという意味ではありません。)

 そして試合は宮原健斗選手の敗戦。会場内の雰囲気はお通夜状態になっていたのを肌で感じました。中嶋勝彦選手のファンが予想外に多かったとはいえ、やはり全日本プロレスの宮原健斗選手を応援する層が多かったのかなというのは肌感覚ではありますが思います。

 私見ですが、全日本プロレスに中嶋勝彦選手が参戦して楽しんでいる層というのは、プロレス全般が好きなファンが多いと思います。ただ、全日本プロレスのファンは、ヘビー級同士のぶつかり合いを目的にしている私のような人も多く、そういう層からは実際の体格がジュニアヘビー級である中嶋勝彦選手の無双設定に反発を抱くのも当然だと思います。

 これは本記事のタイトルにもした<視点>が異なることに起因するものではないでしょうか。プロレス全般が好きな層、全日本プロレスのヘビー級のぶつかり合いが好きな層、どちらも大別では同じプロレスファンという括りの中でしょうけど、見たい部分がかなり異なるのも事実で、後者の場合は現状はかなりの不満を抱く結果に繋がるのは自然だと思います。

 経営的にはどちらのファン層が多いのか、支持を得ているのか、今後の推移はどうなのかで、これからの団体運営を決めていくことになるでしょうし、色々な手を打ちたいのが本音ではないかと思います。今の流れにならざるを得ない経営状況でもあったでしょう。ここ数年推し進めてきたヘビー級同士のぶつかり合いではファン層(顧客層)も頭打ちだったでしょうし。

 厄介なことに、この視点が異なるということは、どのジャンルでもそうかもしれませんがイデオロギーの争いにもなるということです。プロレス全般が好きなファン層からすれば、同じプロレスなんだから楽しもうよという思いでしょう。ヘビー級同士のぶつかり合いが見たいファン層からすれば、自分の大好きなプロレスの成分が薄まる又はなくなるという大きな危機感を抱いてしまうということになります。

 そこの辺りを理解しないと、同じプロレスなんだから楽しめよという声はかなり乱暴であり、ヘビー級同士のぶつかり合い(だけ)が見たいファン層の居場所をなくすようなことにもなってしまうことに気付かないまま、お互いを攻撃し始めることに繋がり、結果として双方のファンを失うということにもなりかねません。

 こういったことは団体や選手も理解していない人が少なからずいると感じています。確かに同じプロレスですが、現代社会は選択肢も増え、ジャンルの細分化も進みました(ジャンルの細分化によるカテゴライズの先鋭化とも言えるかも)。これまでは大きな括りでの同じジャンルだったものが、性質の異なる別のジャンルという括りに変化していくような時代になっているとも感じています。(多様性の弊害ではあると思います。悪いわけではないですが。)

 私は音楽が大好きですが、音楽のジャンル分けはハッキリ言ってよく分かりません。好きか嫌いか、聴きたいか聴きたくないか、区別はそれだけなのですが、上記で書いていることはそれに照らし合わせるとかなりなダブルスタンダードになってしまっています(苦笑)。

 視点がかなり異なると同じものを見ているのに違ったものに見えるというのは往々にしてあるもので、全日本プロレスとしてはしっかりとそれを整理する段階にきているのかなと思っています。

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